巻頭特集

大学進学を考える日本と米国、二つの国で 学び暮らす選択

日米良いところ取り!

自分にぴったりの学びを見つけた
早稲田大学国際教養学部在学生に10の質問

英語で学位のとれるプログラムを持つ有名校の一つ、早稲田大学国際教養学部。実際はどんな感じなの? に答えるべく2年生在学中の冨田梨早さんに直撃インタビューしてみた。


①選んだ理由は?

ニューヨークで育ち、帰国受験を経て高校は日本語で学んでいました。英語が好きで、私の武器でもあるので、それを使える大学をまず考え、自分の学問的興味がまだ定まらなかったので、色々試せる国際教養学部に魅力を感じて選びました。知名度にもちょっと魅かれました(笑)。

②入学試験は?

日本の高校生も、海外からの人でも受験できますが、それぞれの立場で入試方法が違います。私は母国語が日本語生徒のAO入試で、TOEFLなどの英語資格試験、志望理由、高校の平均評定(米国のGPAにあたる)に加えて、英語の長文解読とエッセイをその場で書く筆記試験がありました。

③学生の国籍は?

日本人が多いですが、アジアや欧米など様々な国からの留学生が3割くらいだと思います。世界中で様々な経験をしてきた人が集まっている感じで、それがすごくいいです。居心地が良くて、受け入れてくれている、という空気があります。そこが普通の学部と違うかもしれません。帰国子女の自分と同じような悩みを分かち合える人が大勢いるのも心強いです。

早稲田キャンパスで元気にピース

④カリキュラムは?

授業は全て英語です。しかし、国際教養学部の必修科目以外は、早稲田の他の学部の通常の日本語授業を取ることもできます。結構、自由に幅広く選択できるのが魅力です。日本語のできない学生のためには国際教養学部の必修科目の内容も違うなど、カリキュラムはさまざまです。

⑤授業は難しい?

日本語の授業では、先生が一方的に話す形が多いのですが、国際教養学部は先生もインタラクションを重視するので、ディスカッションが多いです。成績は、試験だけでなく、ディスカッションへの参加度、頻繁なエッセイ提出、プレゼンテーションなど多くの要素で評価されるので、成績を上げるチャンスは沢山あると感じます。試験の一発勝負で高評価がつくという形ではありません。それでもアメリカの大学よりは授業は易しいと思います。エッセイをうまく書けなかったと思っても、案外点数くれたりします(笑)。

⑥一般入試で入った日本人と違いを感じますか?

一般入試で入ってきた学生は、頭が良くて、忍耐力もすごいです。受験勉強した分知識もあり、努力家だと素直に思います。ただ、勉強の仕方が違うというか、日本では高校までにエッセイやプレゼンテーションをする機会があまり無いので、この学部に入った後に、そういう難しさを感じる人も少なくないのではないかと思います。

⑦サークル活動は?

「早稲田大学書道パフォーマンスサークル漣」に所属しています。出来てまだ5年目ですが、100人程いて、色々な学部の人と交流できるのがとても楽しくて、今夢中です。

書道パフィーマンスで凛々しい姿の梨早さん(高橋慈郎・撮影)

 

一筆入魂(中野広海・撮影)

⑧卒業後は?

多くの選択肢が目の前に広がっている感じがして、色々な可能性を探索中です。今のところ、教育学関係に興味があります。周りでは、日本で就職する学生がほとんどですが、英語力とプレゼン力は有利だと聞いています。9月入学の場合、卒業時期も違うため、リクルートスーツで一斉に就職活動するというよりかは、少し自由な印象です。

⑨留学が必修?

今年8月からスウェーデンのヨーテボリ大学へ1年間行きます。国際教養学部は母国語が日本語の生徒は海外留学が必修です。留学先も自分で選べます。留学もこの学部を選んだ理由のひとつなので、とても楽しみですが、もうすでにホームシックになっています(笑)。

⑩アメリカの高校生にアドバイスは?

多様な背景の学生の受け入れ体制は整っているので、安心して来てください。自分に似た人に必ず会えるし、友達もできます。新しい発見がきっとあると思います。


英語学位プログラムのある大学(2023現在)

私立

• 京都先端科学大学
• 慶應義塾大学
• 上智大学
• 同志社大学
• 法政大学
• 明治学院大学
• 明治大学
• 山梨学院大学
• 立教大学
• 立命館大学
• 早稲田大学

国立

• 大阪大学
• 岡山大学
• 九州大学
• 京都大学
• 国際教養大学
(公立・秋田県)
• 筑波大学
• 東京大学
• 東北大学
• 名古屋大学


はじめの1歩

海外からの日本の大学入試情報

子どもが日本の大学を選択肢に入れるとき、どこから情報収集を始めたら良いの?

ステップ1 受験生の国籍
①日本国籍のみ
②二重国籍で日本人として受験
③二重国籍でアメリカ人として受験
④米国籍のみ保持者

ステップ2 入試方法と受験資格
(A)一般入試▶日本の高校生と同じ受験
(B)推薦▶︎主に指定高校などからの推薦
(C)AO入試(総合型選抜入試)▶︎自己PR、論文、面接など大学による
(D)帰国生入試▶︎帰国後2〜3年以内、または海外の高校卒業生対象
(E)留学生入試▶外国籍の学生対象

*2重国籍者は基本的には自分で受験する国籍を選べるが、各大学で資格認定基準が変わるので、直接確認すること

ステップ3 大学・学部のタイプ選び
1)日本語で学位を取る学部・学科
留学生、帰国生の受け入れをする大学・学部は多く、英語の講義も開講されている
・ナレッジステーション(帰国生入試の情報サイト)/gakkou.net
・文部科学省: IB(国際バカロレア)制度を活用しての入学制度のある大学リスト/ibconsortium.mext.go.jp

2)英語で学位を取るプログラム
英語の授業のみで学位を取れるプログラム。現在私立11校、公立9校
(表参照)

3)海外の大学とダブルディグリーをとるプログラム(共同学位制度)
大学が提携する海外の大学と同時に2つの学位を取得するプログラム
文部科学省:共同学位制度導入大学について/mext.go.jp

ステップ4 希望大学の入学時期を確認し願書・試験の準備

ステップ0

ここで初心にもどって、まず学びたいこと、将来の目標がはっきりしている人は、自分にあう大学やプログラムの入学資格、成績や試験を突破できる可能性があるかどうか調べてみよう。はっきり決まっていなくても、リベラルアーツ(教養学部)で色々な分野を学ぶことも有効だ。

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