心と体のメンテナンス

薬局で買える!胃薬・風邪薬を賢く利用 薬剤師が解説(後編)

種類豊富な風邪薬
過剰摂取に要注意

Q. 総合感冒薬とはどんな薬ですか?

A.

解熱・鎮痛、咳止め、鼻づまり緩和など、風邪の諸症状に効く複数の有効成分を配合した薬で、処方せんがなくても薬局で買えるOTC薬(Over the Counter Drug)の多くはこのタイプです。眠くなる成分を追加した夜用のものなど、いろいろな種類の商品があります。

昼用の「デイキル(DayQuil)」、夜用の「ナイキル(NyQuil)」、「コンタック(Contac)」「ムシネックス(Mucinex)」などは総合感冒薬です。

総合感冒薬のデイキルとコンタック

 

Q. 解熱・鎮痛剤には何がありますか?

A.

アセトアミノフェン(商品名「タイレノール=Tylenol」など)、イブプロフェン(「アドビル=Advil」など)、アスピリン(「ベイヤー=Bayer」など)、ナプロキシン(「アリーブ=Aleve」など)の主に4つで、これらを含む薬がさまざまな商品名で売られています。アセトアミノフェン以外の3つは、「非ステロイド抗炎症剤(NSAID=Non Steroidal Anti-Inflammatory Drug)」と呼ばれる薬の仲間です。

NSAIDは解熱や筋肉痛の緩和に大変効果的ですが、胃粘膜を傷つけることがあるので、食後の服用が推奨されています。かたやアセトアミノフェンは、NSAIDに比べて効き目は若干弱いのですが、胃腸障害のリスクが低いのが特徴です。

Q. 鼻づまり緩和剤、咳止め剤には何がありますか?

A.

鼻づまり緩和剤の有効成分は、フェニレフリン、プソイドエフェドリンの主に2種類です。両剤とも血管を収縮して鼻づまりを緩和する点は同じですが、プソイドエフェドリンの方がはるかに強力です。

プソイドエフェドリンは「スダフェッド(Sudafed)」の有効成分です。OTC薬とはいえ作用が強く、覚せい剤の原料にもなることから販売が規制されており、購入には写真付きIDの提示などが必要です。

咳止め剤の有効成分はデキストロメトルファンが主流です。よく効く薬ですが、注意点として日米で薬の含有量が違う点が挙げられます。日本では医師の処方または指示が必要な薬の場合で1錠15ミリグラム配合のものを1回1〜2錠、1日1〜4回服用となっています。しかし、アメリカでは1錠で60ミリグラムも含まれる商品もあり、人によっては吐き気を催します。薬の箱や添付文書で含有量を確認し、初めは少量から飲み始めるといいでしょう。

参考までに、咳止め剤に限らず、服用量を減らすために錠剤を安易に割るのはよくありません。薬によっては有効成分をゆっくり放出するなどの工夫がされており、割ってしまうとその効果がなくなることがあるからです。

Q. 風邪薬はどう選べばいいですか?

A.

症状に合わせて有効成分を選び、余分なものは極力体に入れないのが基本です。発熱、咳、鼻水・鼻づまりがあれば総合感冒薬ですし、症状が咳だけなら咳止め剤一つで十分です。

薬剤の過剰摂取には注意してください。例えば、咳止め剤のデキストロメトルファンは総合感冒薬にも入っているので、総合感冒薬と一緒に使用すると飲み過ぎてしまいます。

薬の飲み合わせも体調に影響します。これもデキストロメトルファンの例ですが、パーキンソン病や、一部の精神疾患治療薬との飲み合わせが悪いとされています。添付文書の注意事項をよく読み、特に病気で治療中の人は服用前に主治医に相談してください。

Q. OTC薬使用時の一般的な注意点は?

A.

内服薬は、コップ1杯の水で飲みましょう。経口薬は主に小腸で吸収され、肝臓で代謝を受けて全身をめぐります。ところが水以外の液体で服用すると、代謝酵素に影響が出て薬効が変化することがあるからです。たっぷり水分を取ると、胃を守る効果もあります。また、薬を服用中はアルコールを控えましょう。繰り返しますが、薬は説明書をよく読み、用量・用法を守って正しく服用することが大事です。

症状ごとに有効な成分や作用の強さを覚えておくと、自分にどんな薬が必要で、どんな薬が不要かの判断の助けになります。有効成分が同じ薬は、商品名が違っても理論的に効果は同じです。今後薬を選ぶ際の参考にしてください。

※次回からは、石谷三佳先生に腰や肩の痛みについてお聞きします。

 

樋口聖先生
Sei Higuchi, PhD

_________________

薬学博士、薬剤師(日本の免許)。
城西大学大学院で薬学研究科修士課程修了後、福岡大学大学院で薬学研究科博士課程を修了。
京都大学医学部博士研究員を経て、2015年からコロンビア大学博士研究員。脂質代謝と食欲の関係を解明し、新規の肥満・糖尿病治療法の提案を目指す。
米国日本人医師会(JMSA)主催「NYライフ・サイエンス・フォーラム」運営委員など。

Columbia University Medical Center

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