巻頭特集

お引越し

長距離引越しで失敗しないための10の鉄則

一般に400マイル以上の距離がある引越しおよび他州への引越しは『長距離』と見なされニューヨーク州にはその専門業者が多数ある。引越し先に靴を脱ぐような日本的決まりがない限り、正直、長距離は米系の方がコスパは良いと言われる。ただし、ネットを開くと山ほどでてくる長距離業者。甲乙つけがたく選択に迷う。

大型トラックによる家財道具一式の移動では、破損や紛失、盗難などの不測の事故も起きやすい。そこで選択の目安になるのが、「全米トラック協会」が発行するProMoverの認定マーク。厳しい審査を通過した由緒正しい長距離引越し業者だけに業界組合が与える認定資格だ。また、同団体の下部組織「引越し倉庫会議」ではユーザーのために以下のチェックポイントを提唱している。

ProMoverの認定マーク

1. 引越し業者の身元を確認する

不審な点を示す赤信号には;

・オンライン上に住所や電話番号がなく、「お問い合わせ」機能しかない。

・あまりにも安すぎる見積もり。

・連邦自動車運送業者(MC)番号が表示されていない、またはMC番号が表示されていても連邦自動車運送安全局(FMCSA)のウェブサイトのものと一致しない。

などがある。

 

2. 少なくとも3社から下見見積もりを取る

電話やオンラインで提供される「保証付き」の見積もりには注意。一部の引越し業者は、ユーザーが1人でできる仮想ホームリサーチも提供している。複数の書面による見積もりを取得すること。引越し業者が、家や家具を見ることなく、電話で「最終的な見積もりを提供できる」と言い張ったら赤信号。その業者は使わない。

 

3. 引越し業者の素性をよく調べる

州をまたぐ引越しには、FMCSAによって米国DOTナンバーが義務付けられている(州内の引越しの場合、要件は異なる。州、郡、地域の消費者局、または州司法長官に確認のこと)。FMCSAの引越し業者検索ツールを使うと、登録されている他州向け引越し業者とその苦情履歴の最新版にアクセスできる。

 

4. ユーザーの権利を知る

州をまたぐ引越しに関するユーザーの権利は、連邦政府発行の2つの出版物、「Ready to Move(引越しの準備はできていますか)」と「Your Rights and Responsibilities When You Move(引越しの際のあなたの権利と責任)」に明記されている。

 

5. 業者の賠償責任

引越し業者が紛失や破損の際に負担する賠償責任(評価額)のレベルを把握すること。全額賠償の費用は、法律で、州をまたぐ見積もりには必ず含まれていなければならない。業者の賠償保険は、第三者が契約する従来の保険とは異なる商品。

 

6. 多額の頭金は疑え

業者によっては、(特に夏の繁忙期には)催行日予約のために少額の「誠意ある」手付金を要求することがあるが、いかなる理由であれ、多額の頭金や前払いを求める運送業者には注意が必要。

 

7. 文書化

引越し業者との間で交わされる契約はすべて書面にし、船荷証券と呼ばれる最も重要な書類をはじめ全ての署名済み書類のコピーを取る。白紙書式には絶対にサインしない。

 

8. 貴重品は手持ちで

現金、硬貨、宝飾品類、写真、重要書類などは、手荷物で持っていくか、事前に別送する。

 

9. 業者とは常に電話で連絡が取れるようにする

引越し業者に携帯電話の番号を伝えておき、不測の事態で搬入に変更があった場合に備えて、連絡が取れるようにしておく。迅速で正確な連絡を可能にするため、ドライバーのフルネーム、身分証明書、トラックナンバーをメモしておく。

 

10. 質問をする

分からないことは何でも質問する。引越し業には特有の専門用語があり、時に難解だ。質問に対する答えが不明瞭で、説明を求めても返答をためらう業者は避ける。

 


ジャピオン読者に聞いた 引越し体験あるある!

<体験談1>補償が難しい大事なモノは自分でパッキング

食器の梱包を業者さんにお願いしたところ、大切にしていたアンティークのお皿が割れてしまったことがありました。とても丁寧に作業してくれる業者さんでしたが、こればかりは人間がする作業なので100%ミスがないとは言い切れません。結局は購入時の値段で補償してくれることになりましたが、思い出のお皿や値段のつけられない食器が割られてしまうこともあるので、大事なモノは自分でパッキングしたほうがいいかもしれません。とはいえ業者さんはプロなので、素人の自分が梱包するのも心配なら、業者さんに任せきりにせず、来てくれた作業員さんに「これは特に大事なお皿なので注意してください」と一声かけるコミュニケーションも重要だと思います。(Aさん/30代主婦)

<体験談2>チップも忘れずに!

引越し当日はバタバタでついつい忘れがちなのが、作業員さんへのチップ!日本では作業中に引越し屋さんに缶コーヒーやお茶を準備するイメージがありますが、米国ではチップ(お金)が基本。見積もり額にはチップが含まれていないことが多いので、別途当日に作業してくれた人へ渡せるように、事前に現金を準備しておくことをおすすめします。(Cさん/40代会社員)

<体験談3>荷解き後は梱包材の山!

丁寧な業者さんであればあるほど、1個1個のものを何重にも紙に包んで丁寧すぎる梱包をしてくれます。割れ物に関しては非常にありがたいのですが、割れそうにないものにまで過剰な梱包をされると、荷解き後の梱包材のゴミがとんでもない量になりました。緩衝材が多すぎると1箱に入る容量も減ってトータルの段ボール数も増えてしまいます。適度な梱包がありがたいですね。(Fさん/30代会社員)


日本語が通じる業者リスト

「英語よりも日本語の方が安心」という方には、日本人ならではの繊細なサービスと不安な事情にもスムーズに対応してくれる日系引越し業者がありがたい。

 

安心・丁寧な梱包、安全なトラック輸送

ターザンと同じくらい「屈強」な引越し集団。セキュリティー面においても細心の注意を払っている。リーズナブルな料金設定で職人級の仕事を提供。

Tarzian Moving & Deliveries Corp

TEL: 718-760-8298

tarzianmoving.com/usen

 

重い荷物も正しく安全に

従業員は全員、ニュージャージー州クリフトンにある2万平方フィートの倉庫で、プロフェッショナルで安全な引越し技術の訓練を受けている。

Umex Moving

TEL: 973-287-6659

umexmoving.com

 

日本人ならではの気配りと手仕事が主婦の間で大人気

日本人女性の目線で見たキメ細やかさと心遣いを信条としつつ、頑強な男性スタッフの豊かな経験も活かし、お客様に満足いただけるお引越サービスを提供。

A-co Moving

TEL: 212-595-2874

a-comoving.com/new

               

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