巻頭特集

お引越し

ケース・バイ・ケース 日系米系を使い分け

一口に引越しといっても、帰国か国内か?近所か長距離か?荷物は多いか少ないか?などパターンは千差万別だ。予算や日程に合った業者をネットを駆使して広く事前調査するのが肝要。ヒントになる最新情報を集めてみた。


これだけは知っておきたい

業界最大手「日通」が教える 帰国ならびに国外引越しの常識

帰国や転勤の辞令は突然やってくるものだが、多くの場合限られた時間で引越しの準備をしなくてはならない。そんな時に心強いのが業界最大手の「日本通運」。全世界49か国743拠点というネットワークと長年培った知識と経験は日本同様に高い品質を誇る。引越しの受付から見積もり、作業、輸送、通関、配達はもとより、作業終了後の清掃や各種公共サービスの解約手続き、後任者向け家具家電の一時保管・配達まで、お客様にとって利便性に優れたサービスを期待できる。

とはいえ「引越しは準備と段取り、仕分けが大事」と言い切るのはNXアメリカの長島課長。海外への場合、準備開始の目安は引越し作業の約3カ月前が理想。入念な準備こそ引越しを成功させる肝である。「コロナ以降主流となったオンライン見積もりにおいても、当社の場合、経験豊かな営業担当者が詳しく丁寧にお客様にご案内します」と長島課長。

 

課長の長島さん

 

駐在員家族(4名想定)のご帰国・海外引越しの場合、船便で送る家財の箱数は約100個から多いと約150個に上る。航空便は別途5箱から10箱程度が相場。「現在、パナマ運河の水位低下やスエズ運河の治安悪化によりニューヨーク発日本向けの船便は喜望峰を回るルート。通常より長めの日数を要します」。海外引越しは世界情勢の影響を多分に受ける。

「引越し先の新居の状況も考慮してください」ニューヨークで愛用していたソファーが日本の新居の玄関から搬入できず、クレーンを使って搬入することになり、想定外の費用が生じたケースもある。「私たちの場合、トレーニングを受けた作業スタッフが大切な食器や装飾品を丁寧に扱い梱包しますのでご安心ください。ただし、梱包前段階の準備(=仕分け)は、お客様に行って頂きます。運ぶ物とそうでない物を事前によく検討し選り分けておくことが大切です」。引越し作業当日に、作業スタッフと一緒に仕分けを行う事態は避けたいところ。準備不足を悔いることにも繋がりかねない。生涯でも一大イベントになり得る海外引越し、出来る限り心の余裕と万全の準備・計画を持って臨みたいところだ。

 

NIPPON EXPRESS(ニューヨーク引越輸送支店)

TEL: 800-447-0808(通話無料)

nipponexpress.com/moving/us/


近所へのお引越し専門「アート・オブ・リビング」

1人暮らしでマンハッタン区からブルックリン区のスタジオに引っ越す時など、荷物も少ないし大きなトラックも必要ない。予算もそれ程かけられない。そこで頼りになるのが市内転居を得意とする小規模運送業者。星の数ほどあるが、やはり仕事が早くて明朗会計の会社が望ましい。先月クイーンズ区(レゴパーク)からブルックリン区(パークサイド)に転居した筆者の経験を共有しよう。

利用したのはブルックリン区に拠点を置くアート・オブ・リビング。保有トラックこそわずか4台だがネット予約もわかりやすく、一時預かり用ストレージを持っているのが魅力に思えた。当初の見積もりでは、料金400ドルだったが、荷物は中サイズの段ボール20箱と多少のスーツケースのみだったので電話で交渉して350ドルにディスカウント。それでも、引越し直前になって、数箱は増えてしまう。頭を抱えて再度相談したところ、追加料金が免除となった。当日は、「まもなくトラック到着」の案内から作業過程の進捗状況まで、頻繁にスマホに連絡が入り、荷物の運び出し、配送も超スムーズ。新居に入りきらない段ボールは同社ストレージで3カ月預かってくれる手配となった。

マルコとミーシャのブジノヴィッチ兄弟が大手運送業者で10年の経験を積んだ後に立ち上げた新しい会社。「前職ではお客様へのきめ細やかな対応ができず、スタッフもユーザーも不平だらけでした。弊社では、トラック台数も増やさず従業員も繁忙期で最大12名。社員は徹底教育してから現場に出します。ローカルと長距離の割合は8:2。おかげさまで、年間発注数は500を超えています。ニューヨークのお客様に寄り添う心温まるサービスだけが信条です」と語るマルコ。ハイテクとヒューマンが程よく共存して小回りのきく引越し業者に好感を覚えた。

アート・オブ・リビングのマルコ・ブジノヴィッチ社長

 

Art of Living Moving & Storage

TEL: 929-250-2929

artoflivingmove.com


1人でできるもん!

単身者や小家族の帰国に選択肢が豊富

単身駐在員や学生、または短期滞在で帰国荷物が少ないユーザーにとって便利なプランを提供するのが米国のクロネコヤマト(Yamato Transport USA)だ。大手の日系運輸業者なので書類作成から荷造り、梱包、日本での荷ほどき、不要資材処理まで全面的にサポートする「らくらく海外パック」という無敵のプランもあるが、料金はかかる。ある程度自分でできる余裕と自信があれば、「単身プランSea(船便)」、「単身プランAir(航空便)」がおすすめだ。

同社サイトの指示に従うと、煩雑な通関書類作成やパッキングリスト作り、梱包まで案外簡単に1人でできる。同社提供の標準サイズの段ボール箱を受け取りスタート。あとは荷物の引取りから配達までお任せで安心だ。また1、2箱等、数箱であれば同社の「国際宅急便」がおすすめだ。重量はいずれのサービスも1箱25㎏までと上限がある。「国際宅急便」は同社と提携関係にある受け付けカウンターに持ち込むだけで完了。「国際宅急便」は同社サイトの追跡機能で現在位置が正確にわかるのが嬉しい。システムが非常に合理的な上、いつでも日本語で対応してくれるので安心だ。

YAMATO TRANSPORT U.S.A.

TEL: 866-554-5658

yamatoamerica.com


荷物詰め放題の定額引越し

小型トラックやバンを24時間いつでもセルフレンタルできる「ユーホール」の引越しサービス。規定のコンテナに入るだけ荷物を積み込めて、重さは最大2000ポンド(約907キロ)以下なら大丈夫というルール。リンゴ狩りなどでよくある「袋一杯入れ放題」の感覚に近い。キングサイズのベッドは簡単に入る大きさで、1つのコンテナあたり1-2部屋分の荷物が収まるイメージだ(引越し先によって金額は異なる。例えばニューヨーク〜ハワイの場合、1コンテナ約5000ドル)。通常は自宅にコンテナが配送され、ガレージなどで自分のペースで荷造りができる。準備が整ったら業者がピックアップする手順だが、道路の狭いニューヨークでは規定場所へ直接持ち込むのも可能。

U-HAUL

TEL: 800-468-4285

uhaul.com

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