巻頭特集

ファッションウィーク速報も 活発化するNYファッションシーン

ファッション業界の舞台裏で活躍する日本人に直撃!


メイクアップアーティスト

ニューヨークを始め世界中の
ファッションウィークで活躍

ニューヨーク・ファッション・ウィーク(NYFW)を始め、ミラノやパリのファッション・ウィークの有名ブランドのバックステージでメイクの仕事をしているElikaさん。他にもファッションブランドのキャンペーンなど日々忙しくメイクアップアーティストとして働いている。2023年秋冬のNYFWでは「マイケル・コース」、「プロエンザ・スクーラー」、「トリー・バーチ」などを始め、約10ブランドのバックステージでメイクを手がけた。現在はパリに滞在し、パリのファッション・ウィークで仕事をしている。

「日本で経験を積んだあと、2019年にニューヨークに来ました。ファッション業界の中心地でもあるニューヨークで経験を積みたいと思ったんです」。現在はニューヨークを拠点にアシスタントとしての仕事と自身がメインとなっての仕事もこなすなど、着実にキャリアを重ねている。「ファッションショーやファッションのキャンペーンのお仕事、セレブリティとのお仕事が多いです」。

得意とするメイクについては、「アイブロウブリーチが得意ですね。クラシックなメイクが好きなので、アイブロウをブリーチすることで抜け感とモダンさを出すようにしています。」パーソナリティもとても重要だといわれるこの仕事で、自身の強みをこう分析する。「何も考えてない時でもしっかり者に見られるところと、フランス語が少し話せることが強みだと思います」。

大きな仕事に関わる中で、特に印象に残っているプロジェクトについて尋ねた。「2021年9月と2022年2月にヘッドを務めさせてもらった『Dauphinette』というブランドのプレゼンテーションです。アシスタント5人と私で、28人のモデルのメイクをしました。予算の打ち合わせから、アシスタント探し、当日のスケジュールや全体の流れ、アシスタント達の動きを見ながらメイクを完成させ、モデル全員をチェックするなど、普段の撮影とは全く違う仕事で、すごく楽しかったです」。

仕事で悔しいことや辛いことがあったら?「友達と笑い話にします。案外そういうたわいない会話から新事実を知り、悔しかった経験どころかとてつもない良い経験になることも」。心がけていることは、自分のルーツと相手のルーツをどちらも尊重すること。モデルさん達もよくわからない人に顔を触られるのは怖いと思うので、コミュニケーションは毎回とても大切にしています」。

今後の目標についても伺った。「この記事を読んでいる諸先輩方に笑われそうですが、『Louis Vuitton』と『Maison Margiela』のワールドキャンペーン、あと『Alexander McQueen』 のファッションショーで仕事をすることです。どちらのブランドもデザイナーの世界観とハウスの歴史がとても好きでずっと憧れています」。Elikaさんの今後の活躍から目が離せない。

 

 

Elika Hilata

茨城県出身。
2013年に渡仏し、フランス語を学びながらメイクアシスタントとして働きはじめる。
2017年よりニューヨークと東京を行き来しながらユニクロ、BMW、カシオなどの大手企業の広告のメイクを務める。
2019年 アーティストビザを取得、ニューヨークに完全に移住。
ファッションショーや雑誌、広告キャンペーン、セレブリティなど、幅広く活動中。
Instagram@elikahilata_makeup
www.elikahilata.com


ヘアスタイリスト

さまざまな人種のいるニューヨークでナチュラルヘアの
美しさを活かしたスタイルを提案

ヘアスタイリストのRisakoさんも今シーズンのNYFWのバックステージで活躍していた日本人の一人だ。2017年に語学学生として渡米。今ではアーティストビザを取得しヘアスタイリストとして忙しい日々を送っている。「元々英語が話せるようになりたかったこともありました。田舎出身なのでいつも都会や海外に興味があったんだと思います。学生の頃にオーストラリアにホームステイをして異文化を学んだりしていました。東京で美容学校に通い、ファッションが発展した街に行きたいと思うようになり、フランスやイタリアも調べたのですが最終的にニューヨークに決めて渡米しました」。

『Designer Bag Exchange』ではリードで ヘアスタイリストをさせてもらったので17人のモデルにヘアデザインをし、チームをまとめることができたのは素晴らしい経験だったと思います」。

Risakoさんならではのヘアスタイリングについて尋ねた。「個人的に年代物のクラシックなヘアスタイルが好きで、そこに現在の流行りをミックスさせたスタイリングが得意です。ウィッグワークも得意ですね。また、多種多様なニューヨークでは様々な髪質の方がいるので、それぞれの持つ美しさを引き出しつつ髪へのダメージを最小限に抑える為の知識と技術も私の強みです」。 現場のスタッフからの評価も高い「日本人らしい丁寧な仕事をする。とてもプロフェッショナルだと言われます。また、自身の得意とする新しいヘアスタイルの提案やウィッグワークを行った時に、自分の新しい一面が見れた!などとモデルさんから喜んでもらえたりします」。 外国人として海外で働くことは挑戦する事への喜びも多いが、乗り越えないといけない壁ももちろんある。「言葉の壁や文化の違いには良くも悪くも翻弄されてます。言い回しによっては、こちらは良かれと思ってした発言が相手の気分を悪くしてしまうこともありました」。

海外で働く上で心がけていることは?「海外では技術だけではなく、文化の違いから来る思い違いを避ける為にも、コミュニケーションをうまく取ることを心がけています。更に初めましての人が多い現場も沢山あるので、明るい挨拶や名前を覚えるという基本のことを心がけています。仲良くなるようにすると自然と仕事もしやすくなると思っています」。

今後の目標については「もっと沢山の方に楽しんでもらえるような仕事をヘアスタイリストとして発信して行きたいです。」と語った。

 

 

Risako Itamochi

島根県出身、バンタンデザイン研究所東京校でヘアメイクを専攻し卒業後ニューヨークへ留学。
語学学生としてニューヨークで語学の勉強をしつつ、ヘアスタイリストとして活動を始める。
アリアナ・グランデ、ケイト・モス、ヘイリー・ビーバー、ベラ・ハディット、ジジ・ハディットなどのヘアスタイリストを務める著名ヘアスタイリストのもとで経験を積み、現在ではニューヨークのみならずフランス、イタリアなどでもナイキ、バレンシアガ、トム・フォード、ラルフ・ローレン、パトゥ、ランヴァン、など60以上のファッションショーにチームとして携わり活動している。
彼女のクリエイティブな仕事はVogue、 Harper’s Bazaar、NYLON などの雑誌にまで及ぶ。
Instagram@risako_hair
www.risakoitamochi.com

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