2017/10/13発行 ジャピオン937号掲載記事

共感マーケティング

第149回 機会にフォーカスする

 ドラッカーの数々の名言の中で、常にポケットに忍ばせている言葉があります。

 「問題ではなく、機会にフォーカスせよ」

 みんな真面目だから、いつも「問題」を探しています。これは会社やお店に限らず、個人でもそうではないでしょうか。年金はどうなるんだろうとか、病気になったらどうしようとか。そこで「対策会議」が開かれます。でも、凹を埋めても水平になるだけ。

 そして機会は周囲に、あちこちに、転がっています。気付かないだけです。機会に気付き、手にし、自社の繁盛につなげるだけでも大仕事です。だから、問題の対処に使う時間なんて、本来ないのです。時間こそが限りある経営資源であり、個人にとっても、あっという間に過ぎ去る人生の時間は二度と元に戻ってきません。

機会を生かす方法 

 問題ではなく、機会を生かすための方法について解説します。

 たいていの会議は「問題解決」に注がれます。そういう会議は開かないと決める(笑)。でも、問題はどうするの? とあなたは思いますよね。問題は、発見したり、その問題で困っている人が解決する、というルールにすればいいのです。

 例えば、コピー代が予算より高くついている問題があるとします。誰が困るのか。コピーを取っている人たちはみんな「必要だ」と思うからコピーしているわけで、予算のことは「知っているけど、知ったこっちゃない」のがホンネです。本気で困るのは消耗品予算を組んだ責任者です。ならばその人が頭をめぐらせる。

 会社にせよ、店にせよ、個人にせよ、問題がなくなることはありません。生まれてから死ぬまで、問題と共にあるのが人間です。ならば、問題を無視してしまう(笑)。放置。これだけで多くの問題が消えていきます。

 なぜなら、問題の大半は、「これこれこういう理由で問題だ」と、問題発見者が作り出したフィクションだからです。水をセ氏0度にしたら氷になる、という物理的現象と同義の問題は存在しません。

 子供の成績もこれが使えます。算数で40点だった。多くの親や子供は失点の60点にフォーカスします。そうではなく、40点得点できたことを分析する。なぜ正解できたのか。40点ということは4割できたわけで、野球でいうなら4割打者です。大したものです。そうすると、「算数は得意科目」になって、勉強が楽しくなります。なあに、子供の時に100点取ったのか40点だったのかなんて、大人になったら全く関係なくなります。それより「できた部分」にフォーカスする視点を養っておく方が大きくなったときに役立ちます。

ボキャブラリー増やす 

 59歳になって改めて思います。「人生、あっという間」。そして時間は有限。

 だからこそ、限られた時間の中で機会を発見する目を養っておく。気付く力を身につけ、日々磨き続ける。人は自分の中にあるボキャブラリーで気付きます。北海道、十勝平野で、私が「何もないところだなあ」と言ったら地元の人に「何言ってるんですか。むこうの山の稜線に当たる夕日の色が刻々と変化しているでしょう?あれがいいんですよ。瞬間瞬間、変化していて」と言われました。

 言われてその気になって見ればそうなんですが、最初はまったく気付かない。それはおそらく、「山の稜線」「夕日の色」「刻々と変化」というようなボキャブラリーが自分の中になかったからだと思います。

 会議はすべて機会発見会議にしましょう。その方が参加してて楽しいし、日頃の気付く力を養うことにもつながります。

阪本啓一

今週の教訓
失点ではなく得点に注目しましょう

阪本啓一
■ブランディング・コンサルタント。大阪大学人間科学部卒業後、旭化成入社。2000年に独立し渡米、ニューヨークでコンサルティング会社を設立。06年、株式会社JOYWOW創業、現在取締役会長。地球と人をリスペクトする、サステナビリティ経営の実現に取り組む。『共感企業 ビジネス2.0ビジョン』『ゆるみ力』などの著書・訳書、講演活動も多数。
www.kei-sakamoto.jp
電子メディア開店! www.orange-media.jp

阪本が選ぶ 読めば分かるこの一冊

ネットで「女性」に売る

「女性には機能性や品質を詳しく説明するよりも、実際に購入したお客様が『どんな場面で使っているのか』を語るほうが、圧倒的に響きます。」(本文から引用)

 著者はセールスコピーライター。成果にコミットメントするコピーや文章を書くプロフェッショナルです。女性にネットで販売するための具体的なノウハウがぎっしり。

 「男性と女性では『現実』の認識が異なる」「女性はそもそも『悩んでいない』」「考える前の『無意識』に訴える」「理想の自分は金髪の外国人女性!?」「視線の先は必ず読まれる」「芸術性よりも『わかりやすさ』」など、今日からすぐに使えます。
 著者も言ってますが、男性にも女性的な発想があるし、女性にも男性的なものがある。要するに、女性100%ということはないわけで、ここで書かれている「売るノウハウ」は男性にも効きます。

 本で訴えていることを本のレイアウトやカラーにも活用していて、その点も勉強になります。

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