春到来! 週末のプチお出かけ 〜ハドソン川流域・キャッツキル山麓編〜
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「10週間前のデータが、全く使い物にならない。1日でも午前と午後で情報が変わって…こんなことが起こるなんて、考えたこともありませんでした」
3月からの日々をそう振り返るのは、「ゴーゴーカレー」の大森智子社長。この日もマンハッタンのオフィスに出向いていた。
「会社を潰すわけにはいかない。ピンチをチャンスに生かすしかない。それだけをひたすら考えました」
店を「閉められない」
マンハッタンに8店舗(フードホール内店舗を除く)を持つ、一大チェーン店。従業員には現場担当と、内部オペレーション担当がいる。その多くが非日本人。
元々ピックアップとデリバリーを行っていたので、店を開けていた。ただ、未知の感染病を恐れる従業員もいるだろうと考え、一斉アンケートを実施。「仕事に出られるか、出られないか」を尋ねた。
「ほとんどの従業員が『働きたい』と答えたから、店舗を閉めるわけにはいかなくなってしまいました」と苦笑する大森さん。
まだ州政府が具体的な感染対策を打ち出す前から、従業員の手洗い・うがいや検温を徹底し、非接触のデリバリー/ピックアップシステムを導入した。とにかく「客と従業員の不安は何か」を考え、解消することに心血を注いだ。
テレワークになったオペレーションの実情を知るために、自分もテレワークを数日試し、在宅はオーバーワークになりがちなことを知った。現場スタッフの安全性を確かめるために、今でも毎日地下鉄で通勤して、危険性を確認している。
「毎日こんなに働いたことないってくらい、会社のことばかりを考えています」
全てはその言葉のため
マンハッタン在住の顧客しか見込めない厳しい現状は変わらない。売り上げはパンデミック前の70%まで落ちた。大森さんは冷静に、「成功しているのかは、正直分かりません」と話す。
そんな不安を吹き飛ばすのが、「こんな時に店を開けてくれてありがとう」という、客からの感謝。
そしてゴーゴーカレーも社会貢献として、医療、警察、消防関係者に、カツカレーを感謝の価格、5ドル55セントで提供し続ける。
外出自粛と抗議運動・暴動で、ニューヨークは再び混乱の様相。この先、何が起こるか分からない。
「それでも、止まない雨はないから」
Go! Go! Curry
gogocurryamerica.com
各店舗の住所と営業時間は上記ウェブサイト参照。
最近は、アイスやスナックなどもメニューに加えた
アッパーウェストのイタリア料理店「ジョアン」といえば、日本人でもピンと来る人が多い。レディー・ガガの父親であるジョー・ジャーマノッタさんがオーナーを務める店だ。ガガのイメージから豪奢(ごうしゃ)な店を想像するかもしれないが、小ぢんまりしていて落ち着いたローカルレストランといったところ。
政府の助けは不可欠
自粛が始まると、オーダーは、やはり店内営業の頃に比べると伸び悩んだ。
「店内営業の来客数と比べて、今の注文数は15%」とジョーさんはうなる。「どうしても外食から遠ざかってしまいますよね」
最初からデリバリーとピックアップを提供していたが、経済的に苦しくなり、一旦中止。事業縮小に追い込まれた中小企業を支援する政府策、PPPことペイチェック・プロテクション・プログラムが始まると、ジョーさんはすぐさま申請を行った。
金融機関によって対応に差があるという批判もあった同プログラムだが、たまたま「ジョアン」の銀行が「当たり」だったようだ。すぐにチェックが下りた。これを機に、デリバリーを再開させることができた。
今からできる配慮を
ジョーさんが、現在の店内の様子を写真で見せてくれた。透明な仕切りを作り、席同士の接触を限りなく遠ざけるように配慮。
「営業再開のガイドラインを、政府が具体的に提示するのを待っていますが、自分が考えうる、できることをやってみています」とジョーさん。ただし、マンハッタンの飲食店は店舗が手狭なことも多いため、こういった導入が難しい店もあるだろう、とのこと。ジョーさんは寂しげに呟く。
「これから、多くの店が閉店するでしょうね」
飲食だけでは回復しない
予測が難しいのは承知で、「店の完全復活までどのくらいかかると思うか」と聞いてみると、ジョーさんは苦い声で答えた。
「少なくとも、1年…」
リンカーンセンターの近くで、ショービジネスの観客や観光客も多いエリアにあるジョアン。飲食店だけでなく、エンターテインメントが復活しないかぎり、元の姿には戻れない。
「観光シーズンの夏も、今年は見込めない。大変ですけど、やれることをやっていかないと」
Joanne Trattoria
70 W. 68th St.
営業時間は月〜水曜日の午後4時〜8時、木・金曜日は午後4時〜9時、週末は正午から営業。
「Seamless」「Grubhub」から注文可能(電話受付なし)。
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