巻頭特集

今、ニューヨークを 駆け抜ける注目の企業家たち

社会にイノベーションを起こした女性起業家たちにインタビュー。彼女たちの情熱とポジティブなマインド、アイデアをビジネスに変えるまでの方法を聞いた。次号は男性篇をお届け。これから起業したい人はお見逃しなく!(文・取材/菅礼子・伏見真理子)


あの注目の女性企業家たちに迫る

高品質、高機能、フォーマルかつ着心地の良い洋服が働く女性から絶大な支持を集めるD2Cブランド「エム・エム・ラフルアー」。CEOのラフルアー宮澤沙羅さんは、金融業界で働いていた時に、いつも決まったブランドを着回していることに違和感を抱き、職場で求められるフォーマルな基準を保ち、自宅で洗濯ができる着心地のよい服が、女性から本当に必要とされていると気づき、2013年に同ブランドを設立。

(左)沙羅さん(右)美也子さん

─ブランド設立10周年ですが、振り返り、何か変化はありましたか?

皆さんに助けていただき、やっとここまでこれたという感じです。パンデミックを機に、在宅ワークをする女性が増えたので、コー・ファウンダー兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーの美也子さんとアイディアを出し合い、オフィスワークにも、在宅ワークにも着こなしを楽しめるスタイルの提案を考えるようになりました。例えば、突然のオンラインミーティングにも対応できるような装いや、長時間着ていても疲れない服、シワになりにくい服などです。働く女性のためのアパレルではなく、「働く女性を応援する会社」として、お客様に寄り添えることができければと考えています。

─「THE M DASH」というWEBマガジンも運営されていますね。

ファッション提案や、各業界で活躍している女性リーダーのインタビュー、キャリアアップに関するコラムなどがあります。より多くの女性が輝けるように、素晴らしいロールモデルを通してライフスタイルの提案もしています。

─日本の繊維メーカーと共同で商品開発されているそうですね。

日本のテキスタイルを活かした商品を世界へ発信したく、クールジャパン機構からの支援もあり日本の繊維メーカーや、生地メーカー、縫製工場などと取引きをしています。

日本は合成繊維の開発、技術が非常に優れているので、その素材と特性を生かして商品開発も行なっています。中でも、2020年からお仕事をしている「エイガールズ」というテキスタイルメーカーと共同開発したシルクのニットと、「米富繊維」と共同開発したリリア・ジャケットが着心地、機能性ともにお客様に大変好評です。

─消費者の手に届くまでの商品の流れにもこだわりがあるそうですね。

服に限らず、あらゆる物に対して言えますが、生産地や、材料が分からないものを購入する時代はもう終わりつつあるのかなと感じています。実際にお客様も商品の生産地や素材に関心があり、ご質問を受けることが多々あります。そういった意味でも、今後は、今まで以上にサステナブルファションの意味を追求し、生産から廃棄までの衣服のサイクルの中で、自然環境や労働環境に配慮したファッション、そしてお客様のニーズを実現する必要があると考えています。

世界の衣料業界の労働者の90%が女性で、その大半が最低賃金で働いています。そんなアパレル業界の背景を踏まえ、私たちの仕事を通してより多くの工場が労働者に対して生活賃金を払うようになることを望んでいます。違った角度から女性に貢献できる仕事ができたらいいですね。

今まではファッションというカテゴリーから女性を応援するということに重点を置いていましたが、今後はサプライチェーンにおける責任ある企業として成長することに注力していきたいです。それはお客様も求めていることですし、とても意味のある仕事だと確信しています。

商品のサイズバリエーションも豊富に用意

 

ラフルラー宮澤沙羅さん
MM.LaFleur創設兼CEO

ハーバード大学卒業後、不動産投資会社や、ベイン&カンパニーでマネジメントコンサルタントとして勤務。
2013年、D2Cアパレル企業「エム・エム・ラフルアー」をニューヨークで設立。
同ブランドのCEOとして活躍する傍ら、3児の母としての顔も持つ。
mmlafleur.com

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