巻頭特集

今、ニューヨークを 駆け抜ける注目の企業家たち

企業家たちに聞いた「成功のカギ」

革命的なアイディアで新しいビジネスモデルを展開する女性企業家たちをクローズアップ。


そつなく出来る、は強みにならない断る勇気も学んだ

植物バイオメソドロジーのアプローチから誕生した「Waphyto」のブランディングも担当

HI(NY)はニューヨークと京都を拠点としたクリエイティブエージェンシーだ。「2008年に、パートナーのIkuと立ち上げました。IkuとはNYの美術大学School of Visual Artsで出会い、卒業後の就職先や転職先まで一緒だったので、決断はごく自然な流れでした。現在はブランディングという手法で、クライアントのブランド構築のサポートをしています。デザインをツールに問題解決をし、ビジョンや思いを体現するために多角的なブランドづくりを目指しています」。日米問わずクライアントからのオーダーは耐えないが、創業当時は苦労もあったという。

「会社としての〝強み〟を絞りきれずにいたことです。最初は幅の広いデザインを提供していましたが、アメリカは専門性を重視するため、何でもそつなくこなすことは決して強みにはなりません。会社としての強みを絞り、そして断る勇気を持つ。これが最初にぶつかった大きな壁でした。その後、会社としての強みを絞り、文字に起こしました。会社としてのアイデンティティがはっきりしたので、受けるべき仕事とそうでない仕事もクリアになりました」。会社経営と子育ては似ているところがあるとHitomi Watanabe Delucaさん。「子供も会社も常に頭からは離れず、心配したりしているので、本当に休まる瞬間はありません。かといって、マイクロマネジメントしてしまうと、子供も会社も成長しない。大事に育てながらも、程よい距離も取る。この辺りのバランスが難しいなと思います」。

それでもクライアントの思い描く未来に近づけた時にはやりがいを感じるという。仕事のモットーは常にスタッフの味方であること、という言葉が頼もしい。今後のビジョンは? 「日本の未来を担う子どもたちに、クリエイティブであり続けることの大切さ、そしてクリエイティブな思考によってさまざまな社会問題を解決する手段を生み出すことが可能であることを伝える活動をしたいです」。

 

 

Hitomi Watanabe Deluca
HI(NY) 代表・クリエイティブディレクター

2008年にNYでHI(NY)を設立し、2016年には日本支店を開設。
米国コカコーラの新商品ブランディングや国連の展示会デザインなどを行う。
著書に『ニューヨークのアートディレクターがいま、日本のビジネスリーダーに伝えたいこと』がある。
hinydesign.com


起業家のミッションは新しい市場の開拓
必要なのはパッションと冷静さ

起業家イベントにもたびたび登壇

北米最大のアジア系向けライブ配信型マッチングアプリ「EME Hive」の創業者兼CEOをとして活躍する時岡真理子さん。「2013年、Quipperというモバイル教育のスタートアップを共同創業し、経営に勤しむ中、当時日本人と結婚したいと強く願っていました。欧米の主流マッチングアプリで婚活しても、アジア人で一括りにされ、アルゴリズムで良いマッチングができないことを痛感。当時結婚は切実な悩みで、周りの女友達も同じような境遇に苦しんでいました。そういった女性を助けたいという思いから、アジア人向けマッチングアプリを立ち上げることにしました」。

創業当初はスタッフが突然辞めてしまうなど、孤独を感じたこともあったというが、現在は3カ国にチームを持つ。ライブ配信が強みの同アプリはどのように成長してきたのか? 「中国系のユーザーが、帰国時にライブ配信アプリを活用していることを教えてくれたことです。調べると、中国のライブ配信アプリは時価総額が何千億円も超えており、ライブ配信は欧米市場でも成長すると確信。それから、EastMeetEast(リニューアル後、現在のEME Hiveに)にライブ配信を取り入れ、写真だけでは伝えきれないリアルな本人を伝えることができるようになり、利用頻度が飛躍的に伸びました」。

経営者として大変なことは? 「起業家は、新しい市場を開拓することがミッションであり、そこに市場があると信じ、黒も白に塗り替えてしまう性質があります。一方で、事業を推し進める中で出てきた赤信号をキャッチできる冷静さを持つ必要もあります。双方のバランスをとることは難しいですが、新しい市場で製品を開花させていくことが重要と考えています。最もやりがいを感じる時は、ユーザーにご縁のフィードバックをもらうことですね」。今後のビジョンは? 「ライブ配信を始め、生成AIなど最新の技術を積極的に採用することにより、新しい世代の人々が、より付加価値の高い繋がりをもてる世界を作り上げていきます。個人的には、女性起業家や女性リーダーに必要なトレーニングの機会を増やし、メンタリングを積極的に行うことで、日本の将来を担う子供たちが公平に活躍できる社会を実現するために貢献したいです」。

 

時岡真理子
East Meet East, Inc. 創業者兼CEO

2010年にオックスフォード大学でMBAを取得後、モバイルeラーニングアプリQuipperを共同創業し、2015年にリクルートが48億円で買収。
2013年にアジア人向けマッチング・ライブ配信サービスEastMeetEastを創業。
emehive.co

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女子プロレスの窮地に彗星のごとく現れた「ビューティ・ペア」や「クラッシュ・ギャルズ」を覚えている人も多いだろう。1987年からWWEに参戦し海外での活躍を牽引したJBエンジェルス(山崎五紀&立野記代)、94年には女帝ブル中野がWWEに参戦しWWE世界女子王座を獲得するなど大活躍。女子プロレス先進国である日本のレスラーたちは、つねに世界の女子プロレスを牽引する存在だったのだ。そして長い年月を得て再び、日本の女子プロレスが海外で注目されているその実態を取材。