巻頭特集

今、ニューヨークを 駆け抜ける注目の企業家たち

コロナ禍を機にブランディングを見直したことで獲得できた新しい顧客

ブルックリン区ウィリアムズバーグで、まつ毛のエクステンション、パーマ、眉毛のパーマを提供するサロンを経営するちとせさん。日本人スタッフによる細やかなホスピタリティーと、まるでラグジュアリーホテルのスパを彷彿とさせる洗練された空間で丁寧な施術が受けられると評判だ。

渡米後に結婚、出産を経て、今後のキャリアについて考えた際、日本で取得した美容師免許を生かし、何か新しいことにチャレンジしてみたいと考えこの世界へ。マンハッタン内の某サロンで経験を積み、2019年10月に同地区に自身のお店をオープン。昨年末には、事業拡大につき徒歩10分程離れた場所へ移転。「パンデミックの時に、マーケティングを見直す機会ができ、ブランディングや価格などを変えたことで、新たな顧客を得ることができました。移転できたのは、リピーターを確実に増やせたこと。また、信頼するチームが私の想いに共感してついてきてくれたおかげです。最高のチームを育成するには、ただ優秀な人材を集めるだけでなく、お互いが気持ちよく仕事ができる環境作りが大切だと思います。私のサロンでは、お客様とスタッフが一番大切です」と語るちとさんは、日頃からスタッフとのコミュニケーションを大切にしているんだそう。

サービスについては、「提供している内容は他店と大きな差はありませんが、他と何が違うのか、当店にしかない魅力とは…を考え、施術の内容から空間作り、接客の仕方など常に気を配っています。そして、なんと言っても施術後にお客様の喜ぶ顔を見ることが一番嬉しいので、そのためにお客様にどうしたら喜んでもらえるか、考える時間が楽しいです」と笑顔で語る。

 

 

小澤ちとせ
Master Piece 代表

2019年にブルックリン区ウィリアムズバーグにアイラッシュサロン「“Lashes” by Chito」をオープン。
昨年末に店舗拡大のため移転し店名を「Masterpiece aka Lashes by Chito」に改名。
masterpiecebeautystudio.com


経営者として大変なのは「人」やりがいを感じるのも「人」

合成ダイヤモンドブランド「ネクストダイヤモンドニューヨーク」他、さまざまな事業を展開する二宮美生さん。「20歳の頃に、現在とは異なる会社を起業したのですが、プロの経営集団の中でビジネスについて学び、その後独立するというライフプランを描いていました。渡米するタイミングで、まだECサイトでジュエリーを購入するということが一般的でなかった時代にこれからはEコマースの時代が来ると確信し、ニューヨークから日本にジュエリーを販売する事業を立ち上げました」。円安ドル高の昨今、海外から日本へ商品を販売する事業は為替という外的要因に悩まされることも多いという。「どんな逆境もチャンスと捉え、日本から米国への輸出ビジネスの開拓、海外資産を日本に投資する不動産ビジネスなどにも取り組み始めました」と常に前向きだ。「海外で活躍する人材を獲得すること、継続して会社に残ってもらうことは大変チャレンジングなことだと思っています。人のマネジメントは大変ですが、優秀な仲間たちに恵まれ、彼らを通じて共に成長出来る機会があることが喜びです。もっとも大変なのは人。そしてやりがいを感じるのも人なので、働く仲間にはビザもサポートしています」。

今後の展開については、「今年は、カタログ販売からTVショッピングまで展開することが既に決まっており、魅力ある商品を一人でも多くのお客様にお届け出来るように尽力していきます。ジュエリー以外では、日本で開発した新しいスピリッツ(お酒)を海外で販売する事業や、日本の不動産投資のビジネスに着手しており、ワクワク出来るような仕事に常に取り組んでいきたいなと思っています」。

二宮美生
ネクストダイヤモンドニューヨーク創業者 / 起業家

慶應義塾大学卒業後、UCバークレーにてファイナンスとビジネスを学ぶ。
マッキンゼーにてコンサルタントとして入社し、活躍後に渡米し、起業。
現在は、自身の会社を5社経営すると同時に、年商1000億を超える上場企業の顧問も務める。
nextdiamond.nyc


お客様に寄り添い笑顔になってもらうことに幸せを感じる

ニューヨークとハワイの不動産の仲介など、幅広い事業を手がけている樫原博美さん。会社設立の経緯は? 「2013年9月7日に会社を設立し、10年目に入ります。勤めていた会社のシステムや方針が変わり、方向性が合わなくなったのがきっかけだったのですが、元同僚からの強い勧めもあり、会社を設立しました」。会社設立当初はもちろん苦労も多かったという。「エージェントとしての仕事はもちろん、会計、短期アパートの運営から営業まで、全てをやる事が思っていたよりずっと大変でしたね。また、経営者は全てのリスク、責任を自分が持つ事が最も大切だと思っていますが、それが大変なんですよね。それでもお客様が喜んでくださるとやりがいを感じます」。ここまで事業を拡大できたのは、適切なパートナーとなるエージェントと二人三脚でこれたことだという。「過去に駐在で来られた方達や海外進出されたい方に繋がって頂けたらと日本で、ニューヨークとハワイでのご縁会を開催。私自身、出会いが財産だと思っており、素敵な皆さんがご帰国されても、こうした活動をしています」。

 

樫原博美
NY Home & Living,Inc. CEO

ニューヨークとハワイの不動産の仲介、短期サービスアパート運営、海外店舗進出サポートなどを行う。
nyhomeinc.com

 

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女子プロレスの窮地に彗星のごとく現れた「ビューティ・ペア」や「クラッシュ・ギャルズ」を覚えている人も多いだろう。1987年からWWEに参戦し海外での活躍を牽引したJBエンジェルス(山崎五紀&立野記代)、94年には女帝ブル中野がWWEに参戦しWWE世界女子王座を獲得するなど大活躍。女子プロレス先進国である日本のレスラーたちは、つねに世界の女子プロレスを牽引する存在だったのだ。そして長い年月を得て再び、日本の女子プロレスが海外で注目されているその実態を取材。