ニューヨークアートシーンで輝く次世代アーティストに注目
ブルックリン区にある松山スタジオで活動するアーティストの小野原和紀さん、永井幸太朗さん、齊藤修さんがグループ展『UNSEEN』を開催する。「新しい扉を開く」節目の時期を迎える三人が、転換期の今だからこそ生まれる表現を追求した。展示の見どころや作品に込めた思いを語ってもらった。
──どのような展覧会になりますか?
これまでアーティストとして活動を積み重ね、実績や経験を培ってきた三人によるグループ展です。ニューヨークに来て間もない永井、大学を卒業し社会人として歩み始めたばかりの齊藤、そして常に変化を恐れず新しい作風に挑戦しつづける小野原。 キャリアの歩み方や現在立っている場所は異なりますが、偶然にもそれぞれが「新しい扉を開く」節目の時期を迎えています。環境の変化や表現の転換期にある今だからこそ生まれる視点が作品の中に色濃く現れています。本展では、これまでの歩みの延長線上にある現在地と、そこからさらに広がっていく新しい可能性を感じてもらえたらと思います。
──「UNSEEN」というテーマに込めた思いは?
直訳すると「まだ見られていない」「目に見えない世界」です。三者共に、架空の人物、空間、心象、事柄をコンセプトに作品制作を行っていますが、作風は異なります。女性の仕草や表情、繊細さといった外在的な要因から着想を得て、架空の女性たちを描く永井。孤独を見つめ、その中に様々な色を見つけながら心象風景を描く齊藤。祈りや魂、霊的世界といった目に見えないものをテーマとした作品を描く小野原。そんな三人に流れる意識を表す言葉として、「UNSEEN」はふさわしいと思いました。それぞれが目に見えないものの力や美しさ、想像と向き合って制作しています。作風やスタイルの違いだけでなく、全く違う作品が同じ空間にあることから生まれる対話、緊張感、調和といった要素も楽しんでもらいたいです。
──作品に対する思いについて教えてください。
永井さん:架空の女性をモチーフに、表情や手の動きを通して内面や感情を表現した作品を制作しました。特に女性の柔らかな曲線を描くことにこだわりました。制作を通して、見えない感情をそのまま描くのではなく、あえて曖昧さを残すことで、他人に開いていくような表現に変わってきたと感じています。はっきりとした答えではなく、見る人それぞれが感情や人物像を想像してもらえたら嬉しいです。

永井幸太朗『「柔」』
齊藤さん:現実の世界の断片を再構成した空間の中に想像を交えたモチーフを加え、孤独感の中に生命力が感じられたり、冷たさと温かさが共存したりするような世界を描きました。制作において最も大変だったのは、孤独を表す中で人体を描いた部分です。今までの私は「孤独」を表す上で「人の不在」を当然のものとして描いてきました。しかし、今回制作した「Ground Floor」では人体的な要素をモチーフに取り入れています。今まで自分の作品に意図的に取り入れてこなかった人体要素を加えることは難しさもありました。しかしそれによってさらに私の描きたい「孤独」の風景に新しい一面が生まれたのではないか、そして、今後の製作にも反映されていくのではないかという予感がしています。

齊藤修『Ground Floor』
小野原さん:今までのシルクスクリーン作品から一変して、細密描写の作品を制作しました。細い描写の作品は歌舞伎の背景絵師時代に背景画に付随する仕事として以前にも製作したことはありますが、自身の作品としては初めての試みです。筆を扱うことで、制作時の感情の入り方により深みを感じられました。表層では直接的に伝えにくい、目に見えない精神的・内面的なものを伝えたいという思いを乗せて描きました。今この瞬間は理解が出来なくとも、いずれその瞬間の意味が分かり、 繋がっていくという必然性を感じることの出来る準備期間でした。 皆様にとって、展示での作品との出会いもそのようであってほしいと願っています。

小野原和紀『AIR BONE』
グループ展『UNSEEN』
日付【4月4日(土)から11日(土)まで】
オープニングレセプションは4月4日(土)午後6時〜9時
場所【Gallery Onetwentyeight( 128 Rivington St)】
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