12 月が勝負! 初めてのタックスリターンで失敗しない準備方法

米国でワークビザでの就労、そして初めてのタックスリターン。慣れない環境で新しいルールに対応するのは非常に大変です。周りの人に聞いて、見よう見まねで申告をしている方もいるかもしれません。しかし、税金の申告は慎重に行うべき手続きであり、正しい知識をもっておくことが安心につながります。この記事では、初めてのタックスリターンで失敗しないように、知っておくべきこと、そして注意点について解説します。これを読んで今年のタックスリターンに備えましょう。

1.タックスリターンとは? 基本の確認

タックスリターンとは、1年間に得た収入や支出を基に納税額を計算し、IRS(米国税庁)に報告する手続きです。米国では給与を受け取る際にあらかじめ税金が差し引かれますが、実際に支払うべき金額は、収入や控除、クレジットなどによって異なります。そのため、毎年の申告で過不足を精算する必要があります。タックスリターンを行うことで、払いすぎた税金が返金(Refund)される場合もありますが、逆に不足分を支払わなければならない場合もあるため、注意が必要です。

 

2.初めてのタックスリターンで気を付けたいポイント

(1)税務ソフトを活用しよう

初めての方におすすめなのが、税務申告用のソフトウェア「TurboTax」です。このソフトは米国でもっとも広く使われており、初心者でも簡単に操作できます。ただし、選ぶプランには注意が必要です。「TurboTax」にはいくつかのレベルがあり、次の点を考慮して選びましょう。

Form 8938(外国金融資産報告フォーム)が必要な場合は、上位プランを選ぶ(*Deluxeかそれ以上は対応しているとのこと)

・ 日本に銀行、証券、保険などの金融口座があり一定基準以上の額を持つ人は、外国口座を持つ特別な納税者として扱われるため、このフォームが必須です。

(2)質問に正確に答える

TurboTax」では、利用者に多くの質問を投げかけます。質問の意図が分からない場合、そのまま進めてしまうと誤った申告につながる可能性があります。迷った時は、オンラインで情報を調べたり、アドバイザー付きのプランを検討したりするのも良いでしょう。

 

3.初めてだからこそ会計事務所の活用を検討

「ソフトで申告するのはハードルが高い」という方は、初めの1~2年、会計事務所に依頼する方法もおすすめです。以下の理由から、会計事務所の利用は初心者にとって大きなメリットがあります。

(1)仕事のスタート時は忙しい

就職直後は、健康保険の選択や401(k)の手続きなど、慣れない手続きに追われることも多いものです。そのうえタックスリターンの準備まで抱え込むと負担が大きくなる場合には、アウトソース先として頼ることができます。

(2)間違いを防げる

初めての申告で間違いをしてしまうと、後々IRSからの問い合わせやペナルティを受けるリスクがあります。プロに任せることでこうしたトラブルを避けることができます。

(3)投資資産の報告は複雑

日米内外に関わらず、不動産投資や賃貸収入を得ている場合、金融投資が多い場合は、税務処理が複雑になります。減価償却や経費計上、資産価値の計算方法を正しく理解するために、専門家の力を得ることができます。

会計事務所に依頼することで確定申告の基礎を学びつつ、少し余裕が出たときに「TurboTax」に切り替えるのも良い方法です。

 

4.初心者が知っておくべきフォームとルール

(1)Form 8938 FBAR

前述の通り、日本(米国外)に銀行、証券、保険口座などを一定額以上持っている方は、このフォームが必要です。これは海外の金融資産を持つ米国納税者向けのフォームです。

(2)w2フォーム

米国で働く際、雇用主から発行されるw2フォームが、収入や税金の基礎データとなります。タックスリターンの際には必ず手元に準備しておきましょう。

(3)Tax Credit Deduction

米国では、納税額を減らせる控除やクレジットが多く用意されています。教育費控除や医療費控除など、利用可能な項目がないか確認しておきましょう。

 

おわりに:タックスリターンは「自分を見つめ直す」絶好のチャンス

米国で初めてのタックスリターンを成功させるためには、事前の準備と正確な情報収集が欠かせません。また、自身でタックスリターンを行うことは、1年間の収入や支出を振り返り、自分の経済状況を深く理解する貴重な機会になります。慣れるまでは難しく感じるかもしれませんが、実際に数字を入力してみることで、どのように税金が計算されるか感覚をつかむことができ、節税の可能性を見つけたり、将来の資金計画を立てたりと、次のステップにつながる気づきが得られるはずです。タックスリターンを自力で進めることは、自分自身に向き合う、年に一度の良い習慣になると思います。「自分のための学びや成長の機会」としてタックスリターンの時間を充実させ、新たな年をスタートさせましょう!

 

〈出典リンク〉

Form 8938  https://www.irs.gov/forms-pubs/about-form-8938

FBAR  https://www.irs.gov/businesses/small-businesses-self-employed/report-of-foreign-bank-and-financial-accounts-fbar

TurboTax about Form8938  https://ttlc.intuit.com/turbotax-support/enus/help-article/tax-forms/file-form-8938-statementspecified-foreign-assets/L3OaimNxB_US_en_US

TurboTax  https://turbotax.intuit.com/personal-taxes/online/


ハラ―基江

CDH会計事務所 Cross-Border Manager

CDHクロスボーダーコンサルティングチームは、日米に家族や資産を持つ方々の国際税務をサポートしています。確定申告、二重国籍者の税務、海外資産報告、相続・贈与、離婚、永住権や市民権の取得・放棄、出国税など。無料オンライン面談予約は下記ウェブサイトから。

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