デザイナー・Sayaka Tokimoto-Davisさんが案内! 最新おしゃれ「ダンボ」〜アートなコミュニティーの発信地〜

ニューヨークを拠点に「SAYAKA DAVIS」を立ち上げ、日本と米国でデザイナーとして活躍するSayakaさん。洋服だけに限らず、ジュエリーやアートなど、止まることを知らない物作りへの情熱と、アーティストを応援する地元コミュニティーへの愛…。そんなSayakaさんに、ご自身のブランドとブルックリン区ダンボ地区への思い、そしてお気に入りスポットを語っていただきました。


─NYでブランドを始めたきっかけ

東京の文化服装学院でデザインを学び、ニットデザイナーとしてアパレル企業に就職しました。以前から留学したいという思いがあったので、働きながら貯金をし、5年間勤めた後、2009年にニューヨークへ語学留学のため来米しました。当時、ニューヨークを拠点にしたブランド「ユナイテッドバンブー」が好きで、英語もろくに話せませんでしたが、インターンでもいいから雇ってほしいと押しかけ、午前中は語学学校、午後はインターンという生活が始まりました。

半年間インターンを続けた後、ブランドがアーティストビザのサポートをしてくれ、正式に就職。それまでとはまったく異なる服作りへのアプローチを学びました。ブランドとしての独自性やクリエーティビティー、そして素材やパターンなどクオリティーを重視した物作りの仕方に、とても刺激を受けました。ニューヨークにはさまざまな人種や文化が共存し、食もアートも音楽も、日本では出会うことがなかった多様な世界観や価値観に日常的に触れることができます。そんな環境が自分の感性を大きく育てたのでしょう。日々、インスピレーションが内側からふつふつと湧いてくる感覚がありました。自分らしくなることができるというか、心が自由になって解放される感覚…。本当に毎日が楽しかったです。そんな中、ちょうど「ユナイテッドバンブー」が洋服のラインを休止し、バッグのデザインのみに移行することになりました。

私はやはり服のデザインがしたかったのと、家族の「自分でやってみたら」という後押しもあり、そのタイミングで12年に自身のブランド「SAYAKA DAVIS」を立ち上げました。今振り返ると、きっとニューヨークに来たこと自体が、大きなきっかけだったのだろうと思います。

─デザインのインスピレーションやモチベーションはどこから?

常に自分の感覚や直観を大事にしています。意識的に自分の感覚に耳を澄まし、日常の中で自分の心が動くこと、たとえば、美術館で絵を見てきれいだなと思う色使いや、聞いていて心地よい音楽、本を読んで思い浮かべる情景や共感する考え方、逆に考えさせられることなど。自然界から色のインスピレーションをもらうこともあります。世の中は常に変化し更新されています。私自身も常に前進していたいと思うし、更新していきたい。服を着ることは自分との対話でもあるので、今日の自分はこういう気分でいたい、とか、逆に、やはり自分はこれが好きなんだ、と変わらない自分軸を再確認したり。そうやって自分と向き合うことで、自然に湧き上がる感情が私の原動力となっています。9年ほど続けている茶道の時間も、週1回ですが、メディテーションとしても、自分自身をゼロにできるいい時間になっています。

─今後の展望

洋服の楽しさは、やはり自分の手で触れ、目で感じ、実際に着て体験すること。近頃は服を買うのもネットでオンラインショッピングになりがちですが、「フィジカル体験」を共有したいという想いから、昨年9月、友人のデザイナー「Hannayoo Works」と一緒にこのダンボブティックを立ち上げました。今後は「SAYAKA DAVIS」の服だけでなく、家具デザイナーやアーティストとコラボレートしたり、地元周辺のコミュニティー活動の場として活用したり、空間全体を通じてインスタレーション展示をしたいと思っています。ダンボはアートコミュニティーが確立されおり、街全体がアーティストたちを応援しています。「SAYAKA DAVIS」もこのショールーム兼ショップを通して、ダンボコミュニティーとより一層つながって支え合い、服だけでなくジュエリーやアート作品など、表現方法を広げていけたら、と考えています。物作りの背景やインスピレーションを共有しながら、訪れる方々の心に触れるような体験を提供できればいいですね。


Sayaka Tokimoto-Davisさん
文化服装学院を卒業後、東京でニットデザイナーとしてキャリアをスタート。2009年にニューヨークへ来米し、コレクションブランド「ユナイテッドバンブー」でデザインを担当。12年に自身のブランド「SAYAKA DAVIS」を立ち上げ日米でデザイナーとして活躍。

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