ニューヨーク仕事人名鑑

ニューヨーク仕事人名鑑 #56 山下彩さん

困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。


ブルックリン区にある「サロン87」でヘアスタイリストとして働く山下彩さんは、サロンワークと並行してファッションブランドやメディア、広告、ファッションウィークなどでもヘアメイクを手掛け多忙な日々を送っている。2年前まで、東京で美容師として経験を積みつつ、名高いヘアコンテスト&ヘアショーの大会で好成績を収め、美容師としてのスキルを着実に積み上げていた。そんな彼女がニューヨークへ移住するきっかけとなったのが、同サロンのオーナーであるヒロ+マリとの出会いだった。

東京で積み上げたキャリアをバネに新境地で一からスタート

「ヘアコンテスト用の作品撮りをしている時に親交を深めたカメラマンさんが、ヒロ+マリさんを紹介してくれたのがきっかけです。ちょうどニューヨークでディーラーさん企画の研修旅行があり、そのタイミングでお会いしたんです。その時、海外のヘア業界に興味はありましたが、移住だなんて別世界の話だと思っていました。その時、ヒロさんといろいろ話をしているうちに『大会での実績があるし、経験豊富だから思い切ってビザを取って米国でチェレンジしてみたら?』と提案してくれたんです。そしたら、急に自分でもやる気が湧いてきて(笑)。思い切って決心しました」

コロナ禍で予定よりも時間を要したビザの申請期間だが、晴れて2022年から海外生活がスタートした山下さんは、いきなり実践となる英語でのコミュニケーションに戸惑ったこともあったそうだが、持ち前の冷静さと技術力であっという間に仕事のオファーを獲得していく。

柔軟性と直向きな姿勢の「現場力」

「変なプライドとポリシーは違うと思います。モデルの髪質や雰囲気がイメージしてたものと合致しない状況など、現場では予期せぬ事態が発生することも当たり前です。そんな時は、いかに機転を利かせられるかが求められます。私は地毛でのアレンジが得意なので、『地毛でこんなことができますよ』とすかさずアイデアを提案することを大切にしています」と話す。彼女のスキルはもちろん、その柔軟性と対応力は現場で最も必要とされる要素だからこそ、彼女のクリエーティビティーがさらに輝いていくのだろう。

右手の手術で人生初めての「休業」

ある日、アイフォンを片手に歩いていたところ、道の段差につまずき転倒。その衝撃で右手を脱臼し手術という事態に見舞われた。「仕事へのやりがいを感じていた矢先、さぁバリバリ働こうって時に、しかも利き手で、周りの人たちに迷惑をかけることになった申し訳なさと情けなさで、本当に落ち込みました」。美容師になって20年、周囲のサポートもあり初めて3カ月という休みをとったそうだ。治るまでの間、語学の勉強と感性を磨くためのイメージ作りをするなど出来ることを欠かさなかったという山下さん。そんな努力家で堅実的な彼女は、旅行で新しい場所を訪れるのが一番の気分転換なんだそう。今夏の休暇は友人とイエローストーンを訪れてリフレッシュしたそうだ。オンオフを大切にすることが、仕事への集中力をよりいっそう高める山下さん流の秘訣なようだ。

山下彩さん

Salon87ヘアスタイリスト

来米年: 2022年
出身地: 鳥取県

好きなもの・こと: 初めての場所にいくこと

特技: どこでも寝られること

東京と埼玉に40店舗を構える美容室でアートディレクターを勤めた後に来米。サロンワークや、ファッション誌・広告の撮影、ニューヨーク&パリのファッションウィークなどを中心に活動。仕事での夢はいつか米ヴォーグの表紙を飾ることだという。

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女子プロレスの窮地に彗星のごとく現れた「ビューティ・ペア」や「クラッシュ・ギャルズ」を覚えている人も多いだろう。1987年からWWEに参戦し海外での活躍を牽引したJBエンジェルス(山崎五紀&立野記代)、94年には女帝ブル中野がWWEに参戦しWWE世界女子王座を獲得するなど大活躍。女子プロレス先進国である日本のレスラーたちは、つねに世界の女子プロレスを牽引する存在だったのだ。そして長い年月を得て再び、日本の女子プロレスが海外で注目されているその実態を取材。