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日本への本帰国に際して最も気になるのがお金に関する手続きではないでしょうか? 米国で築き上げた大事な資産ですから、帰国という国際間の移管により発生するかもしれない不要な支出、税金の対策や、今後日本で暮らしていくための生活費の確保の方法など、知っておきたい情報は少なくありません。そこで、今回はお金に関わる内容として銀行資産、税金、外国送金について紹介します。
1.銀行資産
〈米国側〉
現在世界中の多くの国で非居住者は原則金融機関の口座を持つことはできません。ただしあくまでも原則であって各銀行によって対応が異なります。ある銀行では一切口座は保有できないのですべて解約するように言われたり、ある銀行では口座は継続して保有できるが取扱金融商品に制限を設けている場合もあります。したがい本帰国を決断したら早めに各銀行に日本へ転出する旨を伝え、今後どうすべきか相談するようにしましょう。年金や預貯金の金利、株式の配当金などの受給や、毎年のIRSの税金の支払いなどのため、米国に口座を残しておいた方が良いケースもあります。また帰国後預貯金の日本からの引き出し方法も忘れずに確認しましょう。インターネット経由のオンラインバンキングや日本にある金融端末からの引き出しが可能か確認しておきましょう。
〈日本側〉
帰国前からもともと日本で口座を保有していればそれをそのまま使用できますので、帰国後必要なら住所変更などの手続きをします。非居住者口座として保有していたのであれば通常の居住者の扱いに変更してもらいます。一方、日本に銀行口座がなく新規に開設する場合には、銀行にもよりますが、原則写真付きの身分証明書(マイナンバーカードまたは運転免許証)が必要となります。また外国籍の人は帰国後6カ月間は口座開設ができないという制限もあります(※1)。
2.税金
税金といっても皆さんが毎年行う確定申告は所得税ですが、その他にもSales Tax(消費税)、固定資産税、贈与・相続税、出国税などの税金がありますが、ここでは確定申告ついて紹介します。
〈米国側〉
帰国後は日本の居住者となりますが、米国籍および米永住者(永住権を返納していない人)は引き続き米国IRSに対して申告・納税義務が継続します。永住者の場合はグリーンカードの有効期限が過ぎても永住者としての身分は変わらないので注意しましょう。対象となる所得は米国だけでなく日本含め全世界の所得が対象となります。また日本に帰化して米国籍を喪失する場合、または永住権の返納者で該当者はその後の確定申告時に米国の資産に関する申告書の提出が必要となります。
〈日本側〉
帰国後は日本の国税局に対しても申告・納税義務が発生します。全世界の所得が対象になりますが、米国籍の場合は帰国後5年間(※2)は米国で得た所得で米国の銀行口座で受け取ったものは対象に含めなくても構いません。ただし同じ年度に日本へ送金または日本で引き出すと課税対象となります。
〈外国税額控除の適用〉
前述の通り所得の多くが日米での二重申告となります。しかし日米租税条約で定める外国税額控除により全部または一部を免除することができます。ただこの手続きはやや複雑なので日米それぞれの専門家と相談されることをおすすめします。
3.外国送金
よく「米国にある銀行資産を日本に送金する際に税金はかかりますか?」という質問を受けますが、送金自体には税金は発生しません。あくまでも税金( 所得税)は所得に対して課されるものなので、自分の銀行口座間の資金移動は対象となりません(※3)。一方近年は各国で犯罪防止の観点から外国送金の際に送金目的、受け取り人など細かく質問されます。米国から自分の日本口座宛に送金する場合も受け取り時に日本に滞在していないと銀行側で受け取りを拒否されることがありますので、送金する場合は事前に銀行に問い合わせた方がよいでしょう。最近Wiseなどの民間送金業者による送金が便利なので関心のある人は調べてみて下さい。
いかがでしょうか?紙面の関係上表面的なことしか紹介できませんが、お金についてはとても重要なことなので手続きする際は各分野の専門家に相談することをおすすめします。
(※1)事情により時間的余裕がない場合は当社へご相談下さい。3~4カ月でのスピード対応も可能です。
(※2)正確には過去10年の内に5年間の日本居住になります。
(※3)米国での所得分を日本へ送金した場合課税所得と見なされる場合があります。
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