気になるアノ人を直撃

ニューヨークでリアルな自分と向き合い挑戦し続けるー日本人の技術と努力なら米国で必ず成功できる!

ニューヨークと東京でヘアサロンやカフェを経営し、ご自身も現役美容師としてお客様に日々素敵なヘアスタイルを提供し続けるTAKAさん。常に半歩先を見つめ、現在、そして未来で人生やビジネスになにが必要なのかを鋭く考え捉え続けるTAKAさんに、その成功の経緯やビジネス戦略、そして今後の展望を伺った。


─お兄さんの影響でニューヨークへ

兄はフォトグラファーとしてすでにニューヨークで活躍しており、誰からも慕われる人気者でした。そんな兄に対して弟として憧れやライバル心があり、自分も同じレベルに立ちたいという気持ちがありました。それまでは海外に特に興味もなく、将来の仕事も、地元大阪で美容師か料理人になろうと考えてました。しかし、ある日ふと、「このまま大阪のヘアサロンで働き、独立して自分の店を持ち、趣味で飲食店も開いて…」というような未来が想像できてしまったんです。それはそれで安定した道かも知れませんが、先が読める分、なんだか面白みも感じなくて。一方で、海外はまったくの未知数。英語も話せなければ、コネもない。だからこそ、どうせ挑戦するなら海外の方が面白いかも知れない、と思い始めました。21歳で海外への夢を抱き、24歳で渡米。まずは、英語を話さねばと、郊外の英語学校に入りました。ただ、このままずっと田舎にいては、美容師としてキャリアを築くコネクションを作ることができないと思い、週末の度にマンハッタンに出て人脈を広げる努力をしていました。

─現地の美容業界への挑戦

ある日、高級ヘアサロン「ウォーレントリコミ」で働く日本人美容師のもとで、パーソナルアシスタントとして働く機会を得ました。その経験を通じて、米国の美容業界では、アシスタントの育成に力を入れないことに気付きました。当時、私は映画『ペイフォワード』に影響を受けていて、自分が一人前のアシスタントを育てる側となり、美容業界に貢献しようと決意したんです(笑)。この思いが次の世代の美容師たちにも繋がれば良いなと思いました。

31歳の時、ついに自分のサロンをアッパーイーストサイド地区に開きました。当時、このエリアに日系ヘアサロンは一つもなく、ソーシャルメディアも普及していなかったため、どう顧客を獲得するかが最大の課題でした。ちょうどその頃は、口コミサイトのYelpが登場し、ニューヨーカーたちがこぞって利用し始めた時期。そこでまず、ディスカウントのポストカードを店頭で配布して、お客様が周辺エリアの競合店と比較し、お得に来店できる仕組みを作りました。Yelpで高評価のレビューを得ることで、人々に行ってみよう、と思わせる流れを作ることができたのです。その結果、1年もしないうちに5席あるサロンは連日予約でいっぱいになりました。

─飲食店への進出とそれを支えた妻の存在

その2年後、イーストビレッジ地区に2号店をオープン。時を同じくして、サロンの隣にカフェができることになり、美容院の隣に自分のカフェがあれば、お客様が美味しい飲み物を楽しみ、よりリラックスできる場を作れるのでは、と思っていました。そんな時、カフェのオーナーから「経営を引き継いでくれないか?」という相談があり、そのまま引き継ぐことを決心。さらに、富裕層の顧客獲得のため、トライベッカ地区にもサロンを開きました。契約リースの終了とともに、イーストビレッジ店を閉店する経験をし、そのタイミングでコロナが発生。経営にも大きな打撃でした。そんな時、もともと米国企業でテキスタイルデザイナーをしていた妻が、コロナ禍で退社を余儀なくされました。そんな中、彼女が「TOKUYAMACHA」を手伝い始めたことがカフェの転機になりました。妻のアイデアで始めたオニギラズと抹茶が次第に人気を集め、やがて彼女が本格的にカフェの運営を担うと、接客やお客様のレビューもどんどん良くなりました。海外でも日本のコンビニおにぎりが注目され始めていたことも追い風となり、その評判を聞きつけ、フードブロガーやインフルエンサーが次々と来店し、最近では、Eaterや日本のテレビ番組にも取材され、2店舗目もオープンできました。

今後は、さらなる事業拡大も視野に入れつつ、自分自身や家族との時間を大切にし、ライフバランスを上手く取ることが目標です。これまでを振り返り、日本人美容師の技術と努力があれば米国での勝算は十分。これからもニューヨークで新たな可能性を切り開いていけたら良いですね。

1個10ドル前後で販売されているオニギラズ。種類も豊富で見た目も鮮やか。 ボリューム感もあるので、コレ一つでお腹も満足できます

 


TAKAさん
マンハッタン区アッパーイーストサイド地区とトライベッカ地区にヘアサロン『Tokuyama Salon』をオープン。クラシック、シック、セクシーなスタイルを追求し、独自の技術を活かして多様な顧客層を魅了し続ける。日本の伝統的な技術とニューヨークのエッジの効いた感性を融合させ、日本人女性はもちろん、現地ニューヨーカーや著名なセレブリティーまで幅広く人気。カフェの『TOKUYAMATCHA & ONIGIRAZU BAR』のオーナーとしても活躍する。


TOKUYAMATCHA & ONIGIRAZU BAR● イーストビレッジ店

627 E. 6th St.
● フラットアイアン店
115 E. 27th St.

tokuyamasalon.com/cafe

 

Tokuyama Salon

● アッパーイーストサイド店
230 E. 83rd St./ TEL: 646-422-1042
● トライベッカ店
34 N Moore St. /TEL: 212-219-3539

tokuyamasalon.com

               

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