今年9月にアラ&
ドジャースが巻き起こした異次元な経済効果
2024年の大リーグ・ワールドシリーズでは、ロサンゼルスドジャースがニューヨークヤンキースを5試合で下し、8回目のワールドシリーズ優勝を果たしました。この大会は、北米やアジアを中心にテレビ視聴者数、グッズ販売、観客数、ソーシャルメディアでの反響が大きく増加しました。
視聴者は世界中から
今年のワールドシリーズの平均視聴者数は、北米とアジアで合計3000万人以上に達し、米国内では視聴者数が1580万人と前年より67%増加しました。特に18~34歳の若年層の視聴者が101%増加し、全世代で最大の伸びを見せました。シリーズ中の5試合全てが、その夜のトップ視聴率を獲得しました。
日本でも、大谷翔平選手と山本由伸選手のポストシーズン初出場が注目され、史上最も視聴されたワールドシリーズとなりました。日本国内での平均視聴者数は1210万人に達し、第2戦では1590万人、第1戦では1440万人が視聴しました。特に週末の第1戦と第2戦は高視聴率を記録しました。
さらに、カナダ、メキシコ、ドミニカ共和国、台湾の視聴者数も増加し、MLBアプリでの視聴数も過去最高となりました。ワールドシリーズは、203の国と地域で16言語に翻訳されて放送されました。
驚異的なグッズ売上
ドジャースの優勝直後、ファナティクス社でのグッズ販売は記録的な売上を達成しました。優勝から1時間以内に全スポーツチームのチャンピオンシップグッズ販売記録を更新し、試合終了後の最初の12時間での売上は、2020年の優勝時に記録した売上を20%上回りました。ファナティクスはMLB、NFL、NBA、WNBA、NHLなど、北米の主要スポーツリーグの公式オンライン小売業者として10年以上の実績があります。
さらに、同社はワールドシリーズ後のドジャース選手別のグッズ販売ランキングも発表し、1位には大谷翔平選手がランクインしました。彼の初のポストシーズン出場は大きな話題となりました。
ワールドシリーズMVPを獲得したフレディ・フリーマン選手が2位で、彼はプレーオフ初期に足首の重傷で出場が制限されていたものの、ワールドシリーズで史上初のサヨナラ満塁ホームランを達成し、シリーズの最初の4試合全てでホームランを記録するなどの活躍を見せました。トップ5にはムーキー・ベッツ選手、山本由伸選手、クレイトン・カーショー選手もランクインしました。
ドジャースタジアムでの第1戦とヤンキースタジアムでの第3戦は、ワールドシリーズ史上最高のグッズ売上を記録し、ニューヨークのMLBフラッグシップストアでも過去最高の売上を達成しました。飛躍的な観客動員数
今回のワールドシリーズ5試合での観客総数は25万3104人に達し、1試合平均5万6 2 1人で2 0 0 3 年以来の高い水準を示しました。2 0 2 4 年ポストシーズン全体では総観客数が192万165人となり、過去2番目の規模となりました。また、MLBボールパークアプリの利用も前年比でポストシーズン中7%、ワールドシリーズで9%増加しました。ソーシャルメディアとデジタル
2 0 2 4 年ワールドシリーズでは、MLB史上最多の6日間連続でエンゲージメント数と視聴数が記録され、前年に比べエンゲージメント数が176%、ビデオビュー数が209%増加しました。シリーズ初日の投稿だけでもエンゲージメント数が1430万件、ビデオビュー数が1億6010万件に達し、MLBの記録を更新しました。また、YouTubeでの視聴者の61%が海外からで、そのうち日本が全体の20%を占めました。
ドジャースの優勝によって、特に日本のファン層がさらに拡大し、グッズ販売やソーシャルメディアでの反響が世界中で顕著に現れたワールドシリーズとなりました。ただ、ここで注目すべきは日米以外にも大きな反響があった点で、特に海外への拡大が簡単ではない中で、非常に大きな成功を収めた事例と言えるのではないでしょうか?
中村武彦
青山学院大学法学部卒業後、NECに 入社。 マサチューセッツ州立大学アマースト校スポーツマネジメント修士課程修了。メジャーリーグサッカー(MLS)、FCバルセロナなどの国際部を経て、スペインISDE法科学院修了。FIFAマッチエージェント資格取得。2015年にBLUE UNITED CORPORATIONを設立。東京大学社会戦略工学部共同研究員や、青山学院大学地球社会共生学部非常勤講師なども務める。