先月14日(日)
実写日本映画では22年ぶり
興行収入100億円突破の話題の映画『国宝』を日本で見てきた!
公開から2カ月余りで興行収入100億円を突破した映画『国宝』。異例のヒットとなっている本映画を観覧した一時帰国中の編集Nが、冷めやらぬ思いをレポート!(ネタバレなし)
物語は、任侠の家に生まれた主人公が歌舞伎役者の家に引き取られ、芸に人生を捧げ、女形として人間国宝に上り詰めるまでの半生を描いた、壮大すぎる一代記。ストーリーだけで胸アツなのに、実はこの原作、吉田修一が3年間リアルに歌舞伎の黒衣として楽屋に入り込み書き上げたらしい。そりゃもうリアリティーが尋常じゃない!3時間という長編だけど、こんな波瀾万丈で数奇すぎる主人公の50年を3時間でまとめるなんて、逆に鬼。上映前にトイレの心配してたけど、開始10分でトイレのことなんて忘れ去ってました。
そして最大の推しポイントは、主人公・喜久雄を演じた吉沢亮とそのライバル役・横浜流星の男前コンビ。「はいはい最近の若いイケメン俳優でしょ」と思ったあなた、油断禁物です。このお二人、顔面国宝なのはもちろんだけど、演技力がとんでもない。圧倒的な表現力で、歌舞伎の世界に生きる二人の男の栄光と狂気が混じり合う濃密な人間ドラマが、スクリーン越しに滲み出ていました。そして素人目にも「これ、めちゃくちゃ訓練したな…」と分かるほどの本格的な歌舞伎の所作。二人の「プロ根性」に感服しました。脇を固める渡辺謙や寺島しのぶなどの名俳優はもちろん、幼少期を演じた若手俳優二人の演技も素晴らしく、こちらも深く印象に残りました。
日本の美、伝統芸能の世界の表と裏…そんなものたちが詰め込まれた、世界に誇れるこの映画。海外ウケも良さそうだから、近い将来米国でも上映があるのでは?と期待しているが、残念ながら現在のところ、米国での上映予定はないそう。『国宝』の世界に少しでも触れたい方は、まず原作から読んでみては。