ニューヨークで活動する 注目の若手アーティストを紹介

俳優・パフォーマーの松本涼花さん

ニューヨークを拠点に俳優・パフォーマーとして活動する松本涼花さん。舞台や短編映画への出演のほか、仲間と日本文化を身体表現を通して表現するクリエーティブユニット「Edamovement Lab」を立ち上げ、公演を行っている。演劇の聖地・ニューヨークで表現の可能性を切り開く彼女に話を聞いた。


―俳優を志したきっかけと渡米の経緯

私の初舞台は、9歳のときに出演した『アニー』のミュージカルでした。もともと歌が好きで、音楽や踊りも身近に感じていましたが、実際に舞台に立ち、観客の前で演じる楽しさを知ったのは、その時が初めてでした。レッスンは厳しかったですが、舞台上で仲間と一緒に物語を紡ぐ面白さに夢中になり、さらに演劇の世界に惹き込まれていきました。

『アニー』の舞台であるニューヨークは、私にとってずっと特別な場所で、いつかこの街で挑戦したいと思っていました。そんな時、世界で生き生きと活躍するあるアーティストと出会い、そのかっこいい生き様に後押しされ、自分も世界の舞台で表現を試したいと思いました。その後、コロナ禍を経て、留学に向けて一歩を踏み出し、現在もニューヨークで活動を続けています。

―現在はどんな活動を?

舞台や短編映画、イベントなど、さまざまな分野のプロジェクトに関わっています。演劇祭や音楽ショーにも出演し、ジャンルを超えた表現に挑戦する機会に恵まれています。また昨年、舞台を通じて出会った日本人の友人と「Edamovement Lab」というグループを立ち上げ、日本文化や身体表現を軸にした舞台作品を制作・発表しています。第一弾の『The Seven Gods』では、日本の七福神にインスピレーションを受けた公演を行い、多国籍の観客から温かい反響をいただきました。最近では、ジャパンフェスやアニメイベントなどでパフォーマンスする機会もいただき、浴衣やゴスロリなど日本文化を取り入れた公演を行い、観客のみなさんと日本文化を共有できる喜びを感じています。

初主演短編映画『MONO NO AWARE』のワンシーン。JP役を演じた

―表現活動でのこだわり、大切にしていることは?

役を演じるときは、台本に書かれていない部分までしっかり作り込むことを大切にしています。演出家の指示を汲み取ることももちろん重要ですが、ただ従うだけでなく、自分なりの意見や提案を持つことも大切だと考えています。そうすることで、より深い表現が生まれ、役を演じる楽しさも増すようになりました。また、演じるのは自分自身なので、自分自身をしっかり知ることも大切です。自分の強みや、自分が何をしたいのか、何を感じているのかを意識することは、役を演じるときに必ず影響してくるからです。

「Edamovement Lab」の活動では、日本文化をどうニューヨークの人たちに楽しんでもらえるかを大切にしています。日本文化の面白さや美しさを、身体表現を通して伝えることを目指しながら、仲間と一緒に試行錯誤を重ねています。

舞台『Almost, Maine』でのRhonda役は、自分の殻を破ることができた大切な役の一つ

 

―松本さんにとってのニューヨーク

ニューヨークは、本当にたくさんの文化が混ざり合う街です。地下鉄や街角など、歩いているだけで誰かの表現に出会えますし、日々新しい刺激をもらえます。また、多様な人たちが集まっているからこそ、「自分は何者で、何を表現したいのだろう」と深く考えるきっかけも与えてくれます。この街の空気に触れることで、自分の軸を持つことの大切さを教わった気がします。また、サバイブしていくのが大変な街ですが、一方で支え合う温かさにも出会えます。私自身、出会ってきたたくさんの方々に助けられ、自分の挑戦を続けることができていると感じています。ニューヨークは、私にとって自分を見つめ直し、可能性を信じられる場所です。

舞台『US』では、鏡を使ったユニークなパフォーマンスを披露

リハーサル風景。多様なウォームアップ方法を実践中

―今後の展望や目標は?

今後もニューヨークを拠点に、舞台や映像作品に積極的に関わり続け、作品のジャンルや役柄にこだわらず、自分の表現の幅を広げていきたいです。また「Edamovement Lab」の活動もさらに発展させ、日本の文化を言葉に頼らず、“感覚”として観客に届けられるような作品を作っていきたいです。そして最終的には、日米を行き来し、両方の場所で培った経験を活かして活動の場を広げていくのが目標です。自分の中にある日本のルーツや価値観と、ニューヨークで育んだ多様な視点と掛け合わせることで、新しい作品や表現を生み出し、成長し続けたいです。


松本涼花

俳優・パフォーマー。ニューヨークを拠点に、舞台から映像作品まで幅広く活躍中。演劇集団「Edamovement Lab」の設立メンバーとして創作活動にも取り組む。個人Instagram(@ponryoka)と「Edamovement Lab」のInstagram(@edamovement)も要チェック!

               

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