巻頭特集

心も体も温まる燗酒の楽しみ方と魅力、そして自宅で作れるホット酒カクテルを紹介

家飲みの幅が広がるオリジナル
Hot Sake Cocktails

ニューヨークで活躍する2人のプロがジャピオン読者のために、自宅でできる燗酒カクテルを考案してくれた。簡単にそろう材料ででき、作り方もシンプル、そして秋らしく、何よりもとってもおいしいので、さっそく試してみよう!


29B Teahouse-Tea Dealers

オーナー ステフェン・ラミレスさんの

ほうじ茶と梅酒を使った「Shumin(秋眠)」

日本茶のみならずアジア各国のお茶と茶道具、カクテル、創作料理を提供するティーショップ兼レストラン&バーを営むステフェンさん。茶の湯もたしなみ、並々ならぬお茶の知識を持つステフェンさんが考案してくれたのは、ほうじ茶と梅酒を使ったカクテル。

「多くの梅酒は焼酎ベースで、みんな食後酒として飲むという感覚がありますが、大七生酛梅酒は日本酒ベースでデリケートで、食前酒としても楽しめるんです。これに、宇治の一番茶のみを浅くローストした上品なほうじ茶を合わせてみました」とステフェンさん。ほうじ茶の柔らかでほっこりしたトップノートに、梅酒の酸味が絡んで、まるでシトラスのような味わいが顔を出す。冷めていくと味の表情が少しずつ変化し、今度は梅の甘みが出てくるのが不思議。ゆっくり飲んで味が変わっていくのを楽しむのも秋の夜長にはぴったりだ。

材料

以下のものを2:1の割合で使用
●大七生酛梅酒
●ほうじ茶(Tea Dealer’sのIchibancha Uji Hojichaを使用)

作り方

 

❶ほうじ茶をいれる
❷梅酒を70℃に温める
❸茶碗か耐熱グラスに燗をつけた梅酒を入れ、そこにほうじ茶を注ぐ

ステフェンさんのアドバイス

ポイントは少々熱めの70℃に梅酒を温めること。そして一番気をつけたいのは梅酒とほうじ茶の分量のバランスです。今回は梅酒もほうじ茶もデリケートなものを使ったので、梅酒2:ほうじ茶1の配合になっていますが、もし焼酎ベースの梅酒なら少し分量を少なめにしたり、また通常のほうじ茶を使うなら、少しいれる時間を短くしてライトなほうじ茶にして使うといいと思います。

材料は梅酒とほうじ茶だけ。それだけにどちらも良質のものを選ぶのがおいしく楽しむコツ

 

氷を入れて冷たくすると、酸味の角が取れて、甘みが出てくる

それからこのカクテルは冷やしてもおいしいですよ。氷を入れてキリッとさせると、また異なる風味が楽しめます。

 

日本をはじめアジア各国の農家から直接仕入れたお茶や、作家もののお茶道具を自社ブランド「Tea Dealers」で販売。お茶を介して人が集う空間を目指して4年前に29B Teahouseをオープンし、お茶と共にカクテル、カジュアルな料理を提供する。

29B Teahouse-Tea Dealers
29 Ave. B (bet. 2nd & 3rd Sts.)
teadealers.com


BAR MOGA

ヘッドバーテンダー ジョン・アンソニー・オバーさんの

リンゴと純米酒を使った「Foliage」

木々の葉が色づき、その色がますます深まっていく様子を表現したこのカクテルの名前は「Foliage」。「ニューヨークのスーパーやファーマーズマーケットでリンゴと一緒にあったかいフレッシュアップルサイダーが売られ始めると、ニューヨークに秋が来たなあという気分になります。そんなイメージをカクテルにしてみました」とジョンさん。スパイスの香りも柔らかで、甘めで飲みやすく、温もりがじんわり体の中に染み渡っていく。まるでレメディーのようなカクテルだ。

材料:1杯分

●南部美人特別純米…………………90ml(約大さじ6)
●フレッシュアップルサイダー…………….45ml(約大さじ3)
●レモンの絞り汁……………….小さじ1
●ハチミツ…………….小さじ1
●ジンジャージャム…………….小さじ1
●お湯………………大さじ1
●シナモンスティック……………1/2本
●クローブ……………….1粒
●カルダモン…………………1粒
●スターアニス……………..1個
●シソの葉……………..1枚
●乾燥したレモンスライス…………….1枚

作り方

 

❶日本酒、アップルサイダー、レモン、ハチミツ、ジンジャージャム、お湯を混ぜて、上燗の温度(45℃)まで温める
❷シナモンスティック、クローブ、カルダモン、スターアニスをティーカップに入れる
❸カクテルが温まったら、スパイスの入ったティーカップに注ぐ
❹シソの葉と乾燥したレモンスライスを上にのせて完成

ジョンさんのアドバイス

スパイスを好みに合わせてアレンジしてもOKです。ジンジャージャムがない場合、ハチミツの分量を少し増やし、ショウガの絞り汁を足して作っても大丈夫です。レモンスライスは乾燥したものの方が酸味が抑えられ、マイルドになるのでおすすめですが、なければフレッシュでも構いません。自分の好みで分量を変えてもおいしく飲めるカクテルなので、ぜひ試してみてください。

ハチミツ、ジンジャージャム、スパイスなど、まるで薬膳酒を作るような材料。風邪に効果ありそう!

 

今回は秋らしいスパイスを使ったが、お好みで何か足したり、または減らしてもOK。ただしシナモンは必須!

 

大正~昭和時代(1920年代)のレトロな雰囲気と、その時代にはやった洋食をベースにしたバー&レストラン。焼酎や日本酒を使ったオリジナルカクテルが豊富で、特に日本のウイスキーのセレクションは50種類を超え、全米でも1、2を争う。

BAR MOGA
128 W. Houston St. (at Sullivan St.)
barmoga.com

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