巻頭特集

心も体も温まる燗酒の楽しみ方と魅力、そして自宅で作れるホット酒カクテルを紹介

秋風が吹き始め、ここから一気に冬へと向かうニューヨーク。そんな時、肌寒さをほんわか癒やしてくれるのが燗酒だ。今号では、心も体も温まる燗酒の楽しみ方と魅力、そして自宅で作れるホット酒カクテルを紹介する。(取材・文/古村典子)


基本を押さえて、燗酒をもっと楽しむ

燗酒は安いお酒だというイメージを持っている人、おいしい飲み方がわからないという人は多い。そこで日本酒コンサルタントの新川ヘルトン智慈子さんに魅力いっぱいの燗酒の楽しみ方を教えてもらった。

――燗酒を楽しむコツは?

難しく考えすぎないことですね。お燗専用のツールがなくても燗酒は簡単にできるんです。例えば家にある小鍋にお湯を張って、70~80度ぐらいまで温めたら火を止めて、メーソンジャーなどの耐熱瓶に入れたお酒をそこにポトンと入れるだけでできます。温度計がなかったら、瓶を取り上げて、底を触ってみて、熱いけど触っていられるぐらいなら55度前後です。

 

燗酒は熟成チーズやブルーチーズとの相性抜群。うま味+うま味の相乗効果で味覚もお腹も大満足

――燗酒に適したお酒の選び方を、初心者向けに教えてください。

吟醸酒、大吟醸酒や生酒は、一般的にフルーティーでお花のような香りがするのが特徴で、繊細なタイプが多いので、初心者であれば燗酒にするのは避けた方が無難です。一方、ラベルに純米、本醸造、生酛(きもと)、山廃(やまはい)、普通酒といった表記が見えたら、これらは温めても軸がぶれないお酒なので、これを選べば間違いないです。

それから、生酛、山廃に関しては、実は純米大吟醸や純米吟醸でも燗酒にしておいしいものがほとんどです。このタイプのお酒は、モダンな作りをしている吟醸酒や大吟醸に比べて乳酸の力がしっかりしていて、味にボディーもあるので、温めても味が全然崩れないお酒が多いんです。温めるとその乳酸の角が取れて、むしろまろやかでコクが出たお酒になります。

――お酒好きの人にはどんな選び方をすすめますか。

お酒の味わいには、大きく分けて次の2種類のタイプがあります。一つはふっくらとしていてコクがあるタイプで、温めてもうま味がしっかりあるお酒。もう一つは熱々にしてもお酒の形が崩れないけれど、それでいてすっきりとドライなタイプ。いわゆるキレがある辛口のお酒ですね。

自分がほっこり系が好きなのか、すっきり系でいきたいのかをまず考えたらいいと思います。

ほっこり系の例だと、純米、生酛、山廃、または古酒。古酒は燗酒にするとまろやかな「大人のホットミルク」みたいな感じに仕上がります。だしのような味になるものもあります。

すっきり系なら、本当に大まかに言って、新潟のお酒なら間違いないです。八海山、久保田、菊水をはじめ、香りが穏やかで淡麗辛口のすっきりしているお酒が多いです。こうしたお酒だったら大吟醸でも吟醸でも燗酒で楽しめますよ。

――燗酒をおしゃれに楽しむティップは?

ちょっとひねちゃったなと思うお酒でも、スライスしたレモンを入れてお燗をしてあげるとおいしく飲めます。私は「レモン燗」と呼んでいます。

ゴージャスなプレゼンをしたい時や、パーティーでみんなをサプライズさせたい時にちょっと面白いのが「トリュフ燗」。お料理に使ったトリュフを入れたり、ドライにしたトリュフの粉末をほんのちょっと入れてお燗にしてあげると、トリュフの香りがする燗酒ができます。トリュフがなければポルチーニやだし昆布でもいいですよ。

――燗酒とのフードペアリングで何かおすすめは?

燗酒とのフードペアリングは無限大ですが、すぐにトライできるものとしてチーズをおすすめします。さっぱりしているモッツァレラなどではなく、熟成したものがいいですね。ブルーチーズも相性がすごくいいです。深い味わいのチーズに黒コショウやクミンなどのスパイスを足したり、ハチミツをかけたりして、吟醸系の燗酒と合わせると味わいが膨らみます。

 

お話を聞いた人


新川ヘルトン智慈子さん

酒ソムリエで、日本酒マーケティングコンサルティングを専門とするSake Discoveries代表。
燗酒をプロモートするポップアップ・バー「サケ・カリエンテ」を日米で開催する。
Web: sakediscoveries.com
FB:@sakediscoveries
IG:@sakediscoveries

               

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