巻頭特集

【今週の巻頭特集】NYの「ドラァグクイーン 」ーその歴史から最新スポットまで

ドラァグクイーンの基礎知識 Q&AQ:「ドラァグクイーン」って?A:

きらびやかな衣装と華やかなメークで誇張された「女らしさ」を演出し、ステージの上で歌やダンス、トークやコメディーなどの多彩な表現をするパフォーマー。ルーツはゲイカルチャーにあるが、今では性的指向や性自認を問わず、あらゆる人々が参加し、そのスタイルも一層多様化している。

Q: 「ドラァグ(drag)」ってどういう意味?

A: 語源には諸説あるが、最も有名なのは19世紀のイギリス演劇に由来するというもの。男性俳優が女性役を演じる際、長いスカートの裾を“引きずる(drag)”ように歩いたことから。やがて20世紀の米国で「ドラァグクイーン」という呼称が定着し、今ではLGBTQ+カルチャーを象徴する存在となっている。

Q: 代表的な人物は?

A: 世界的に知られるのは、リアリティー番組『RuPaul’s Drag Race』の司会ル・ポール。 同番組は世界的なヒットを記録し、 ドラァグをメインストリームに押し上げた。ニューヨークでは、伝説的フェス「ウィッグストック」を立ち上げたレディ・バニー、俳優として活躍するリプシンカなど、数多くの伝説的クイーンが登場した。現在は、パワフルなステージで知られるキャンディ・ミューズ、ファッションとアートを架橋する存在・サシャ・コルビー、コメディーのパフォーマンスが人気のボブ・ザ・ドラァグ・クイーンなどが、次世代をけん引する存在として、大きな注目を集めている。


ニューヨークのドラァグスポット4選観光向けショーからアングラパフォーマンスまで

〈ミッドタウンイースト〉
ドラァグ・ディナー・ショーの金字塔
Lips Drag Queen Show Palace & Bar

ニューヨークで最も有名なドラァグ・ショー・レストランの一つ。 きらびやかな照明、ステージを彩る豪華な衣装、 そしてコメディー・歌・ダンスが一体となったショーの迫力は圧巻。 観光客やローカル客を問わず人気を集める。 ショーは毎晩開催され、週末にはブランチタイムの公演も。 初めてドラァグカルチャーに触れる人にも最適のスポット。nycdragshow.com

 

〈ウエストビレッジ〉
老舗ゲイバーでクイーンの社交場
Pieces Bar

1993年創業の老舗ゲイバーで、ニューヨークのドラァグカルチャーを今も支えている。 毎晩のように華やかなショーが行われ、 ローカルのクイーンたちが舞台に立つ。人気の名物イベント「Drag Wars」は、 新世代のクイーンが腕を競う。観客との距離が近く、ステージと客席が一体化するアットホームな雰囲気が魅力。 温かなドラァグコミュニティーとしての側面もある。 piecesbar.com

 

〈ブルックリン・ブシュウィック〉
最先端でアングラ、ドラァグの狂宴
House of Yes

ブルックリンの代名詞的カルチャースポット。ドラァグショーを中心に、サーカス、バーレスク、パフォーマンスアートなどが交差する、 まさにアートとクラブの融合空間。 テーマごとに空間演出が変わり、圧倒的な没入感となっている。観客の参加も奨励される。フォトジェニックで、刺激的な夜になるはず。 houseofyes.org

〈イーストビレッジ〉
知性と遊び心溢れる、文化的スポット
Club Cumming

俳優アラン・カミングが共同経営する、イーストビレッジの片隅にひっそりとたたずむ、知性と遊び心が交錯するバー&キャバレー。ドラァグショーはもちろん、朗読会、ピアノライブ、即興劇など、多彩なパフォーマンスが繰り広げられる。客層も多様でアーティストや演劇人が集う。clubcummingnyc.com

               

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