巻頭特集

ソーバー オクトーバー:一カ月の休肝がもたらす静かな変化

お酒がなくても楽しめるノンアルコールバー&ショップ

ニューヨークには、ノンアルコール、ゼロプルーフカクテルを専門、
または充実して扱うバーやショップがここ数年で増えている。ちまたで話題の店をピックアップ。


ヘカテ・カフェ・アンド・エリクサー・ラウンジノンアルカルチャーが根付く、イーストビレッジの新定番

スタッフも客もフレンドリーでお一人様でも足を運びやすい

イーストビレッジ地区にたたずむヘカテ・カフェ&エリクサー・ラウンジは、アルコールを一滴も使わない“ノンアルコールカクテル専門のバー”だ。店名はギリシャ神話に登場する女神ヘカテに由来し、夜と直感、そして癒やしをつかさどる存在として知られている。

深いブルーとゴールドを基調にした店内は、まるで異世界のような幻想的な雰囲気。グラスに注がれるのは、植物由来のエリクサー=ハーブやスパイスをブレンドしたドリンクだ。人気のカクテル「ミッドナイトメディテーション」は、カモミールとレモンバームが優しく香る一杯。「ダークムーン」は、アクティベーテッドチャコール(炭)が使われ、神秘的な黒の輝きを放つ。

カクテルの種類が豊富で季節限定メニューなどもある

店内ではカードリーディングやゲームナイトなど、多彩なイベントを定期的に開催。一人でも気軽に立ち寄れる雰囲気が魅力だ。

昼はカフェとして、夜は静寂を楽しむバーとして——ここは、「飲まない」ことを我慢ではなく自分らしいスタイルとして楽しめる、ニューヨークの新しいナイトスポットである。

Hekate Café & Elixir Lounge
167 Avenue B./TEL: 646-590-3404/hekatenyc.com

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マイナスムーンシャイン
“飲まない”を選ぶ誇りを、ニューヨークから

ボトルのパッケージも魅力的

プロスペクトハイツ地区にあるマイナスムーンシャインは、ノンアルコール飲料専門のセレクトショップ。オーナーのアクシルさんは、長年の飲酒生活の中で体調や睡眠の不調を感じたことをきっかけに、「アルコールを完全に断つことで得られる健やかさ」に気付いたという。その経験から、“飲まない”ことをよりポジティブに、心地よく楽しめる場を作りたいと考えたのが、この店の原点だ。

オーナーのアクシルさんとフアンさん

「ニューヨークには、いつでも飲みたいドリンクを見つけられる場所が必要だと思った」と話す。こうして誕生した同店では、クラフトモクテルやノンアルワイン、ビール代替飲料、ハーブやアダプトゲン入りのトニックなど、世界中から厳選したドリンクが並ぶ。また、パートナーのフアンさんは、eコマース運営の経験や写真技術を活かして、店舗運営とSNSを支えている。現在はグリーンポイント地区にも新店舗を展開し、コミュニティーとのつながりを広げながら「飲まないカルチャー」を発信し続けている。

Minus Moonshine(プロスペクト本店)
433 Sterling Pl, Brooklyn, NY 11238
TEL: 914-485-7502/minusmoonshine.com

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スピリッテッドアウェ — ブーズ・フリー・ボトル・ショップ
店舗運営×メディア発信を融合させた、米国初のノンアルコール専門店

マンハッタン区の中心部に構える同店は、米国で初めて誕生したノンアルコール専門のボトルショップとして注目を集めている。オーナーのダグラスさんは、自身の飲酒習慣を見直す中で、「飲まない選択肢を、もっと豊かでポジティブなものにしたい」との思いから、2020年秋に同店をオープン。店内には、ノンアルコールビールやスピリッツ、リキュール、ワイン、コンブチャなど、幅広いカテゴリーの商品が並び、“社交”“味わい”“心身のバランス”を意識したセレクションが特徴だ。

共同経営者のアレックスさんは、ソベリティー(飲酒を控える選択)をテーマにしたポッドキャスト『ソーバー・サリーズ』の共同ホストとしても活動。また、同店はノンアルコール飲料専門のメディアプラットフォーム『ドライ・アトラス』の設立にも深く関わっており、業界のトレンドやブランドのストーリーを発信するなど積極的だ。同店は、そんな新しい価値観を体現する、ニューヨークの今を象徴する一店である。

Spirited Away – Booze Free Bottle Shop
177 Mott St.
TEL: 929-277-2520
spiritedaway.co


 

今米国で人気急増のノンアルドリンク

リチュアル・ゼロ・プルーフ・ジン・オルタナティブ
クラシックをアップデートするノンアルスピリッツの革命

従来のアルコールカクテルを楽しんできた愛好家にも、違和感なくノンアル版を提供できるスピリッツ系を中心とするブランド。一番人気はジン。植物性ボタニカルを使い、トニックなどと合わせやすい味わい。
ritualzeroproof.com

 

ル・ロゼ
オーガニックフランス産スパークリングワイン

長年の研究開発から生まれた〈フレンチブルーム〉のノンアルコール・フレンチ・スパークリング。オーガニックのシャルドネワインを原料にしながらも、アルコールを含まないぜいたくな一杯。バランスの取れた複雑さを持つロゼは、ミネラル感とフレッシュさが絶妙に調和し、摘みたての赤い果実の酸味と、ドライな白桃の香りが優雅に広がる。
us.frenchbloom.com


 

只今ソーバーオクトーバー中の人に話を聞いた

ケンさん(40代)ニューヨーク在住15年

久しぶりに会う友達から誘われても、ご飯だけで酒は飲みません。友達との交流はかかせないので、できる限り友達を家に呼び、友達はビール、自分はアスレチックブルーイングのノンアルビールを飲んでいます。

カナさん(40代)ニューヨーク在住12年


お酒を飲むのが日常の一部になりすぎて、休肝日なんてなかったですが、ダイエットしたいので、今お酒をカットしています。味のある炭酸水にレモンかライムを絞り、それをワイングラスで飲んでいます。

シンさん(40代)ニューヨーク在住2年


夏に飲み過ぎてしまったのと運動を始めたので、年末までは禁酒します。どうしても仕事関係の人との付き合いがあるので、バーやレストランに行った際は、モクテルか、サンペレグリノを飲んでいます。

               

バックナンバー

Vol. 1330

新世代グラフィックノベル

ニューヨークの書店で見かけることも多い、大人向けの長編ビジュアルコミック「グラフィックノベル」。その世界の最前線で活動する作家たちの言葉を通して、グラフィックノベルがいま何を問い、どのように読者と向き合っているのかを見つめていきたい。

Vol. 1328

雑誌『ザ・ニューヨーカー』世界

ニューヨーク発の洗練された洒脱な視点で、調査報道から小説や批評、コミックやイラストまで、多彩な記事を掲載する老舗週刊誌『ザ・ニューヨーカー』。昨年は創刊100周年を迎え、その節目を祝う企画やイベントが相次いで開催された。ニューヨーク公共図書館本館では記念展示が行われ(2月21日まで開催中)、それに連動した名物編集者らによる座談会形式のトークショーが9月に実施。さらに先月には編集部の舞台裏に密着したドキュメンタリー番組がネットフリックスで配信されるなど、同誌は改めて世界中から大きな注目を集めている。本特集ではその歴史と編集哲学に迫りたい。