机の上を走るスケボー、「フィンガーボード」で遊ぼう

フィンガーボードというアクティビティーを聞いたことがあるだろうか?

 

 

読んで字のごとく、指で「走る」ミニ・スケートボードのことだ。オリジナルのスケートボード同様に、空中や段差でトリック(技)を決め、その技術や発想力を競い合う。

実はこれ、ただのイロモノではなく、これまでに幾度となく世界大会が開かれるほど、ディープな人気を持つスポーツ競技だったりする。雰囲気はストリート文化のそれに近い。

 

↑こちらは、フィンガーボードの大手ブランド、「ブラックリバー」(https://blackriver-shop.com)が2012年にドイツで開催した世界大会の様子

フィンガーボードのいいところは、指2本が動けば遊べる手軽さと、いらない箱などを用いて自在に障害物を作り出す、奥深い創造性だ。家の中や公園の片隅、何気なく通っていた道端にも、「ここでボードを走らせたら面白いな」という新しい視点が生まれる。体の移動が限られた現在、今までになく真価を発揮するスポーツだろう。

 

編集部は、2018年の巻頭特集「大人だってスケボーしたい!」の中で、カリスマ的人気のあるプロのフィンガーボードプレーヤー、マイク・シュナイダーさん(記事冒頭のビデオでスケートボードを披露している人)に取材をした。

(※以下内容は、18年当時掲載したものに一部編集を加えています)

 

ーーどう遊ぶの?

2本の指で小さなボードを走らせて、本物のスケボーみたいに技を決めるんだ。元々はスケートボーダーが遊びでやっていたもので、どれだけ技が決められるかを楽しむ。動かすのは指2本だけだから、フィンガーボードにしかできない複雑なトリックもあるんだよ。

ーーはじめたきっかけは?

ドラッグストアなどで安く売っていて、子供はみんな遊んでいたよ。僕は9歳のときに出合ってハマり、すぐに自分のボードを作るようになった。ただ好きだから続けていて、大会に出始めて、気が付いたら16歳でプロにまでなってたよ。
スケボーもプレーするんだけど、スケボー場では誰も僕を知らなくて、フィンガーボードではみんなに声を掛けられる(笑)。9歳の時に家族や友人と創った「フラットフェース」はハンドメードでフィンガーボードを作り続けていて、プロのボーダーとスポンサー契約をしたり、イベントを主催したりしている。僕自身もプレーするよ!

ーースケボーとの違いは?

場所を選ばずに、いつでも誰でも楽しめるところ。指で遊ぶからスペースも取らないし。遊んでいる人はやっぱり子供が多いけど、プレーに年齢は関係なくて、60代のボーダーもいるよ。ボードが滑ればどこでも遊べる。橋の上なんかはスリル満点!

ーー何から始めるべき?

まずは1、2ドルの安いボードで遊んでみて、慣れてきたら、少しこだわったボードを買う。形や表面加工の仕方で、使い心地が全然違って驚くよ。ユーチューブやSNSにたくさんプレー動画があるから、それを観てトリックを真似るといい。

ーー大会はあるの?

ドイツで「ブラックリバー」という有名なブランドが主催している大会があって、僕もよく参加する。ニューヨークは、アップステートでは友人とイベントをやるけど、マンハッタンではあまりないかもしれない。スポーツとしてではなく、趣味の範囲で楽しんでる人も多いからね。 僕はマサチューセッツ州にある自分のショップで月1回くらい、指スケボーダーが集まれるイベントを開催しているから、よかったら遊びに来てね。

ーー競技人口は増えてる?

存在自体を知らない人も多いけど、スケボーと同じく、増えていると思う。最近のスケボーは本当に進化していて、10年前に比べて新しいトリックがどんどん編み出されているから、フィンガーボードも一緒に進化しているんだ。

ーー今後の目標は?

プレーし続けること!

 

マイク・シュナイダーさん
プロ指スケボーダー。マサチューセッツ州ドラカット出身。2003年に自宅にオフィスを構え、ハンドメードの指スケメーカー「フラットフェース」を創業(オンライン販売のみ)。また月1回の頻度で、指スケボーダーのためのイベントを開催している。(www.flatfacefingerboards.com

 

フィンガーボードはドラッグストアで売られている場合もあるが、アマゾンなど通販サイトでも安価なものが売られている。操作に慣れてきたら、「ブラックリバー」と「フラットフェース」の、美しいデザインのボードを手にとってみてほしい。

なお、ボードの上に足を乗せて走る「オリジナル」のスケボーについては、同巻頭特集で取材した「スケートヨギー」(www.skateyogi.com)が、バーチャルのスケボークラスを開催している。もし、ソーシャルディスタンスを保ちながら走れる機会があるのなら、ボードを購入して試してみるといいかも。

 

<記事サムネイル写真>
Photo by Guilherme Cardoso (CC BY-NC 2.0)

               

バックナンバー

Vol. 1316

知りたい、見たい、感じたい 幽霊都市ニューヨーク

ハロウィーンまで残すところ3週間。この時期なぜか気になるのが幽霊や怪奇スポットだ。アメリカ有数の「幽霊都市」ニューヨークにも背筋がゾッとする逸話が数え切れないほど残っている。こよいはその一部をご紹介。

Vol. 1315

ニューヨークの秋 最旬・案内

ニューヨークに秋が訪れた。木々が色づきはじめるこの季節は、本と静かに向き合うのにぴったり。第一線で活躍する作家や編集者の言葉を手がかりに、この街で読書をする愉しさを探ってみたい。

Vol. 1314

私たち、こんなことやってます!

全身の健康につながる口腔治療を日本語で対応するHiroshi Kimura DMD院長の木村洋さん、カイロ・理学療法・鍼を組み合わせ早い回復へと導く石谷ヘルスセンターの認定カイロ医師、ロジャー・ミッチェルさんに話を伺った。

Vol. 1313

ニューヨークで楽しむ オクトーバーフェスト

毎年9月から10月にかけ、世界各地を熱狂で包むオクトーバーフェスト。ドイツ・ミュンヘンで二百年以上続く世界最大のビール祭りは、今ではニューヨークでも秋の風物詩だ。街のあちこちにあふれるジョッキを掲げる笑顔、香ばしく焼けるソーセージ、軽快な音楽…。今号では、一度は体験したい本場さながらのフェストの魅力を紹介。