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ウエストビレッジの一角に、どこかノスタルジックな空気をまとったパイ専門店「ケーバーズ」がある。ロングアイランド地区で生まれたこのブランドは、“農場から都会へ” をテーマに、素朴な焼き菓子をニューヨークの街へ届けている。季節のパイはもちろんビスケットサンドなど魅力は尽きない。今回は同店のミシェルさんに、人気の理由やホリデーシーズンの舞台裏について話を聞いた。(文・取材/伏見真理子)
サンクスギビングのシーズンには毎年どのくらいのパイを作りますか?
昨年は、サンクスギビングだけでハンティントン店とマンハッタン店の2店舗を合わせて、2200個のパイを作りました。サンクスギビングの週は、とにかく注文数が膨大になるため、その量を管理しながらスムーズな受け渡しを行うことが一番の挑戦です。お客さまができるだけ早く、そして気持ちよくパイを受け取れるようにすることが私たちの目標です。
販売しているパイについて教えてください。また、この時期に特に人気のあるパイはどのようなものになりますか?
現在は、ビーガンとグルテンフリー、シュガーフリーなどを含む8種類のパイを販売しています。この時期、特に人気のあるトップ3は、アップル・クランブル・パイ、パンプキンパイ、そして当店のシグネチャーであるカーベリーパイです。これは季節のベリーをブレンドしたオリジナルのパイです。

サンクスギビング用にパイを注文する際に役立つアドバイスや、おすすめの楽しみ方などはありますか?
ご希望のパイを確実にお求めいただくために、できるだけ早めのご注文をおすすめします。当店では受け取りは感謝祭の週の火曜、水曜、木曜に可能で、全てのパイがホリデーに向けて完璧な状態でご用意できるようになっています。
冷たいパイは、冷蔵庫からそのままでもおいしく召し上がれますが、フルーツパイはオーブンで10〜15分ほど温めて、お好みのアイスクリームを添えるのがおすすめです。フルーツパイは常温で最長4日間保存可能で、冷たいパイは冷蔵保存してください。もし余った場合(めったにありませんが!)、冷蔵庫でさらに3日ほどおいしさを保てますよ。

ニューヨーカーのパイの注文や、楽しみ方に何か変化や傾向は見られますか?
確かに変化があります。都市部では、多くのお客さまがコンパクトな空間で暮らしており、少人数での集まりが多いので、1〜2個のパイを注文される方がほとんどです。一方で、ロングアイランド地区では大家族での祝宴が多く、4〜5個のパイをテーブルに並べるお客さまも珍しくありません。
パンプキンパイ
同店のパイや焼き菓子作りにおけるこだわりは?
ケーバーズはもともとハンティントンの小さなローカルファームから始まりました。私たちの基本理念は、「手作りの温かみと懐かしさ、そして誰もが楽しめる包容力を持つお菓子を作ること」です。食事制限のある方でも、心から満足できる一切れを味わってほしいという思いがあります。全てのパイは、シンプルで高品質な材料と伝統的な製法から生まれますが、ビーガンやグルテンフリーなど、現代のニーズに合わせた工夫も加えています。ビーガンパイは植物性ながらもコクと食感にこだわり、グルテンフリーパイはサクサク感と深い風味を持つよう仕上げています。人工的な代替品や添加物を避け、素材同士の自然な組み合わせや、甘みのバランスを大切にしているので、いろいろな方に安心して食べていただけると思います。
創業者のニック・ブルガリスさん
Kerber’s Farm(マンハッタン区店)
264 Bleecker St.
TEL: 212-837-2702 / kerbersfarm.com



