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ぎっくり腰って何?原因・治療・予防(Vol.48)
現代に生きる老若男女が健康でいるための生活のポイントを、カイロプラクターのドクターベルモンテが教えてくれる連載。
筋肉びっくりでぎっくり瞬時に激痛の急性腰痛症
読者の皆さんの多くはぎっくり腰の経験をお持ちだと思います。ぎっくり腰の日本語の医学名は、症状そのままに「急性腰痛症」。英語だと特に医学名はなく、「acute back spasm」とか、「acute back musclespasm」と言います。Acuteとは急性、Spasmとは痙攣・発作・引きつけみたいな意味で、つまり筋肉が瞬時に炎症を起こして激痛が起こることを指します。今回は、椎間板や脊椎、神経損傷などの根本原因がある場合を除いて、単に筋肉の炎症としてのぎっくり腰についてお話しします。
実は体の自衛機能
原因は運動やスポーツではなく、決まって「くしゃみをしただけ」とか、「歯磨き中にオエっとなった瞬間に腰がピキッとなった」とか、「カウチに座って床の物を取ろうと上体を片方に傾けたら腰がピキッとなった」などです。皆さんも身に覚えがあるのでは?
要は、筋肉が動く準備ができていない時に、あらぬ方向に瞬時にストレッチされた/負荷がかかった時に起こるのが、びっくり腰ならぬぎっくり腰です。実はこれは一種の体の自衛メカニズムで、筋肉がそれ以上の損傷を避けるために固まる/痙攣するので、ありがたいもの(?)と言えます。痛みが酷いのが辛いところです。ちなみに、座っても、立っても、寝ても痛いぎっくり腰ですが、痛みが起こるのは筋肉の中に神経の末端があるためです。
もう少し医学的に原因を説明しましょう。筋肉・神経・脳は、常に現状把握のために相互に情報をフィードバックしています。何かの拍子(くしゃみとか)に、フィードバック中に一瞬のミスコミュニケーションが起こると、その結果、体に異常を伝えるために筋肉が痙攣するのです。コンピューターがフリーズするメカニズムとよく似ていると思います。

完治には数週間
治療方法としては、最初の 24 時間は患部を冷やすこと。当院では同時に、電気による刺激を与えて筋肉をほぐします。この段階では市販の鎮痛剤や、処方箋薬の筋肉弛緩剤で痛みを和らげることも大事です。 24 時間経ったら今度は患部を温め、血流を促し、筋肉がリラックスできるよう支援します。マッサージや鍼、カイロプラクティック、理学療法などあらゆる方法で患部をほぐし、痛みを緩和し、筋肉の本来の状態を取り戻します。
ぎっくり腰の治療に魔法はありません。最終的には体が自分で筋肉・神経・脳の相互フィードバック機能をリセットしなければなりません。それには時間がかかります。治療をせず放置する場合、完治まで2、3週間が目安です。治療を受けても完治までの時間はそう変わりませんが、治療を受けるメリットは、別の重篤な問題が原因でないことを確認できることと、治癒の過程を医療専門家に監督してもらえること、そして患部を強化するセラピーを受けることで、再発予防につながることです。
さてその予防ですが、ぎっくり腰が最も起こりやすいのは朝起きてすぐの時間帯です。朝、体は究極の脱水状態にあることも理由の一つ。朝起きてすぐにやるべきことは、水を飲むことと(水は筋肉が正常に機能するために必須)、家の中を歩き回って筋肉を温めることです。水を飲む前に歯磨きをしたい人が多いと思いますが、朝一番の歯磨きでぎっくり腰になる人は大変多いです。前屈みの中腰になっての歯磨きは禁物。気をつけてください。
また、ベッドから起き上がる時は、仰向けのまま腹筋だけで一気に起き上がらないこと。まず体を横向けにし、膝を抱えて 10 秒待ったら、足をゆっくりベッドの端から床に下ろします。腕を使って状態を起こしてください。朝は早めに起きて、ゆっくり準備することもぎっくり腰予防の鍵です。
ジョン・J・ベルモンテ 先生
John J. Belmonte, DC
E. 53 Wellness院長。カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。アスリートのけがの治療、妊娠中の痛みの緩和、成長期の子供のカイロ治療も手掛ける。
E. 53 Wellness
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