アメリカ大学の今を知る

〈第一回〉日本の大学入試との違い

自身の子供の進学経験と制度理解をもとに、海外教育コンサルタントが入試制度から学生生活、大学院進学まで、米大学の全体像を解説します


日本とアメリカの大学入試の最大の違いは、評価の軸にあります。日本では長年、学力試験を中心とした点数評価が主流でした。一方、アメリカでは、特定の一日の試験結果ではなく、高校4年間を通じた学びの姿勢や成長のプロセスが評価対象となります。

もっとも近年、日本でもAO入試(現在の総合型選抜)が拡大し、「人物評価」や「活動実績」、「志望理由」を重視する流れが強まっています。この点において、日本の大学入試はアメリカ型に近づいてきていると言えるでしょう。ただし、決定的に異なるのは、その準備期間の長さと日常性です。

アメリカでは、GP A(成績)、履修科目の難易度、課外活動、ボランティア、推薦状、エッセイといった要素が、日常の学校生活そのものから積み上げられていきます。特別な対策期間を設けるというよりも、 9〜 12 年生での毎日の選択や行動が、そのまま出願書類に反映されるのです。アメリカの大学入試は、より長期的で、継続性と一貫性を重視します。だからこそ、「高校4年間のストーリー」が重要になるのです。

 

 

高校4年間でやるべきことー学年別ロードマップ

アメリカの大学入試は、日本のように一度の試験結果だけで合否が決まる制度ではありません。9〜 12年生の4年間を通じて、どのように学び、何に取り組み、どのような成長を遂げたかというプロセスそのものが評価対象になります。点数やGPAも重要な要素ですが、それだけで判断されるわけではなく、学業・活動・価値観が一体となった「成長のストーリー」が問われるのが特徴です。

9年生(Freshman)基礎づくりと興味探し

9年生は、大学入試におけるすべてのスタート地点です。GPAの公式記録が始まり、以降の成績はすべて出願時に提出されます。

学業面では、イングリッシュ、マスマティックス、サイエンス、ソーシャルスタディーズといったコア科目を中心に、基礎学力を安定させることが最優先です。無理に難易度を上げるよりも、確実な理解と継続性が重視されます。課外活動では、スポーツ、音楽、アート、ボランティアなど幅広く挑戦し、自身の興味関心を探る時期。この段階で将来の進路を決める必要はなく、「何に自然と時間を使うのか」を見極めることが重要です。

10年生(Sophomore)方向性を見つける

10年生になると、履修科目や活動の選択が評価に影響し始めます。HonorsやAPといった上位レベルの科目を検討する時期であり、得意分野や将来の関心と整合性のある科目選択が求められます。

課外活動では、9年生で試した中から1〜2分野に軸を置き、継続性が見られるようになります。また州立、私立、リベラルアーツカレッジなど大学の種類を知り、サマープログラムに参加することで進学の視野を広げる生徒も増えてきます。

11年生(Junior)最重要学年/評価の山場

11年生は、合否を大きく左右する最重要学年です。GPAを重視し、APなど難易度の高い科目での成果も評価対象となります。SATやACTは本番期を迎え、志望校の水準を踏まえた受験戦略が必要になります。

そして極めて重要なのが、 12年生が始まる前の夏休みにカレッジエッセイのドラフト作成を開始すること。エッセイは短期間で仕上げられるものではなく、これまでの経験を振り返り、自身の価値観や学びを言語化する時間が不可欠です。この夏の準備が、出願全体の完成度を大きく左右します。

12年生(Senior)仕上げと意思決定

12年生になると、授業や定期試験、SAT、ACT、課外活動やボランティアに加えて、コモンアプリケーション(共通出願システム)を通じた出願作業が重なり、日程は非常に過密になります。そのため、エッセイのドラフトは可能な限り11 年生の夏休み中に終わらせ、 12 年生で仕上げる準備をしておくことが望ましいです。

この学年では出願書類を完成させ、大学によっては面接も行われます。早期および通常出願の合否結果を踏まえ、最終的な進学先を決定します。また、成績の急落、いわゆる「シニアスランプ」は避けなければならず、卒業までの学業姿勢も評価対象となります。

 

矢島美紀

海外教育コンサルタント

海外出産や自身の子供の米英私立校受験の実体験を基に、アメリカから教育コンサルティングを提供。米国教育・大学入試制度に精通し、セミナーやオンライン相談、現地スクールツアーを通じて進路設計を支援。著書『日本のアタリマエを変える学校たち』掲載。医療現場に携わり、医療的視点を取り入れながら、生活・将来設計まで見据えた実践的なアドバイスを行う。

               

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