渡邉先生の教育広場

<第9章>志望校リストの「戦略的な組み立て方」ーわが子に合う学校を選ぶために

多様な人種や文化の違いなど、日本人の親御さんにとって、ニューヨークで子育てすることは、時に孤独で難しいこともある。そんな方々のお力になりたい、子育ては地域みんなでするもの、渡邉先生のそんな思いを届けます。


10月号では、ニューヨーク市内の公立校には大きな差があること、そして情報を集めることの大切さをお伝えしました。今月は、いよいよ具体的な学校選びの進め方についてお話しします。

学校選びは「家族の価値観の確認作業」

学校選びとは、「どんな子供に育ってほしいか」を考える時間です。まずおすすめしたいのは、家庭で優先順位リストを作ること。たとえば、①通学時間、②学習スタイル(探究型・アカデミック型など)、③言語サポートの有無、④芸術やSTEMなどの特色、⑤保護者コミュニティーの雰囲気など。「絶対に譲れない条件」と「できれば満たしたい条件」を分けてみましょう。

NYC公立校の種類を理解する

公立校といってもさまざまなタイプがあります。Zoned School(居住区の指定校)は安定した選択肢。ChoiceやScreened Schoolは、アカデミックや音楽教育に力を入れるなど特色が強い学校があります。Charter School(チャーター校)は抽選制ですが、教育方針がユニークで小規模な学びを重視する学校も多数。Gifted & Talented(G&T)プログラムは成績や推薦での選抜制です。これらの違いを理解すると、個々に合う組み合わせが見えてきます。

実践的な学校リストの組み立て方

例として、最優先順位を「通学時間」とした場合を考えてみましょう。

まず、NYC School Searchで住所を入力。自動的に所属するCSD(学区)とZoned School(通学指定校)が表示されます。ニューヨーク市は32のCSD(Community School District)に分かれており、住所で所属が決まります。Zoned Schoolの評判が良ければ◎。指定校なら高確率で入学できます。

もしZoned Schoolが希望に合わない場合、次の選択肢はCharter Schoolです。同じCSD学区内であれば志願可能で、市内に285校あります。授業料は無料ですが、独自のカリキュラムを持ち、別途出願プロセスと抽選が必要です。例えば、CSD2に所属している場合、NYC Charter School Centerで「Select CSD」からCSD2を選択すると、8校の検索結果が出ます。同じ学校名が複数表示されることもありますが、これは小学校と中学校で校舎が異なるため。通学時間を重視するなら、進級時の移動先も考慮する必要があります。

百聞は一見にしかず

学習スタイルや教育理念、学校の雰囲気を知るには、学校見学が不可欠です。Charter Schoolは比較的見学しやすいので、リストができたらHPをチェックして問い合わせてみましょう。

来月号では、学校見学で注目すべきチェックポイントを一緒に考えていきます。


渡邉敦子
Friends Academy of JCS
エデュケーショナルディレクター

米国にて教育学修士課程を取得。ニューヨーク州普通学級、特別支援学級教員免許、および国際モンテッソーリ協会(AMI)の資格を所持。ニューヨーク現地のプリスクールを始め、米国公立小学校や日本語学校での勤務経験が豊富。日本語での教育相談や発達に関する親御さんの悩み解決のお手伝いに尽力している。

Instagram: @kaigai_kosodate_ari

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