渡邉先生の教育広場

<第6章>長い夏休みをチャンスに! 親子で楽しむ「おうちで日本語教室」

多様な人種や文化の違いなど、日本人の親御さんにとって、ニューヨークで子育てすることは、時に孤独で難しいこともある。そんな方々のお力になりたい、子育ては地域みんなでするもの、渡邉先生のそんな思いを届けます。


「最近、うちの子は英語ばかり話して…」そんな悩みを抱えるご家庭へ。現地校が長い夏休みに入っている今こそ絶好のチャンス!机に向かうお勉強ではなく、親子で街を歩き、キッチンで料理しながら、自然に日本語が口から出てくる楽しい体験学習を始めませんか?

実は、ニューヨークには日本語や日本文化を感じられるスポットが数多く潜んでいます。この宝庫を活用した親子スタンプラリーで、街歩きをしてみませんか?手作りスタンプ台紙を用意し、「日本を感じるNYC」をテーマに日系スーパー、ブルックリン植物園の日本庭園、図書館の日本語コーナーなどをコース設定。各スポットで「和食材を日本語で見つけよう」「好きな日本のお菓子を探そう」「I Spy ひらがな!」といったミッションをクリアしながらスタンプを集めます。NYC各地で毎週末開催される「Japan Fes」や「Japan Village」の夏祭りイベントも絶好のスポット。屋台グルメや文化体験を楽しみながら、「これ、日本語で何て言うの?」といった自然な会話が弾みます。

日本語スケジュール表で生活リズムも整える

夏休みの不規則な生活を整えながら日本語にも親しめる方法が、1日のスケジュールの日本語表記です。リビングに「あさ7じ:おきる」「あさ8じ:あさごはん」とひらがなで予定を貼り、文字が読めないお子さんにはイラストも併用します。「つぎは何をするの?」「いま何じ?」といった日常会話が日本語で生まれ、時計の読み方も自然に覚えられます。週末の親子スケジュール作りで、曜日や時間の概念も日本語で身につきます。

一行絵日記で思い出を日本語に

1日の終わりは親子で「一行絵日記」タイム。お子さんに一番楽しかったことを絵で描いてもらい、「きょうは こうえんで あそんだよ」といった一行を日本語で書き添えます。文字が書けない場合は大人が代筆を。「きょうのきもち」欄で「たのしかった」「うれしかった」などの感情表現も自然に覚えられます。週末に一週間分を振り返れば「せんしゅうは なにを したかな?」といった時間感覚も日本語で身につきます。

日本語で親子クッキング

クッキー、ピザ、おにぎり、餃子、クレープ、パフェなど一緒に取り組みやすいクッキングのレシピカードを日英で作成し、材料に「たまご(Egg)」「にんじん(Carrot)」とラベルを貼って視覚化。「Let’s break the eggs! たまごを割ろう!」のように「コードスイッチング」を楽しみ、「小麦粉は英語で何?」といった自然な学習機会も生まれます。作った料理の写真と感想を日英両言語で記録すれば、夏休みの素敵な思い出になります。

日本語学習といえばプリント学習を思い浮かべがちですが、それだけではありません。大切なのは親子で日本語を使って生活することが「楽しいな」「幸せだな」「ラッキーだな」とお子さんに感じてもらえる環境作り。もし一時帰国の機会があるなら、このアクティビティーを日本でやってみてください。きっと9月には、お子さんから「また日本語で遊ぼう!」という嬉しい声が聞こえてくるはず。親子で過ごした夏の思い出とともに、自然な日本語が心に根付いていくことでしょう。


渡邉敦子
Friends Academy of JCS
エデュケーショナルディレクター

米国にて教育学修士課程を取得。ニューヨーク州普通学級、特別支援学級教員免許、および国際モンテッソーリ協会(AMI)の資格を所持。ニューヨーク現地のプリスクールを始め、米国公立小学校や日本語学校での勤務経験が豊富。日本語での教育相談や発達に関する親御さんの悩み解決のお手伝いに尽力している。

Instagram: @kaigai_kosodate_ari

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