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2025年も年の瀬を迎える。米国の各メディアでは、この1年を総括する「ベストオブ2025」が出揃いつつある。本特集では、そうしたベストリストを手がかりにしながら、今年のニューヨークを映し出す「ベストオブベスト」をさらに厳選して紹介し、今まさにこの街で生まれつつあるトレンドに迫りたい。
2025年、米国そしてニューヨークは、政治的に大きく揺れ動いた一年だった。1月のドナルド・トランプ大統領の再就任により、移民政策や社会的マイノリティーをめぐる議論が社会的な争点となった。さらに関税政策や戦争・安全保障に関する動きは、米国内にとどまらず、日本や欧州を含む全世界に影響を及ぼした。そしてニューヨークでは 11 月、そうした国と政権の潮流にまるで抗うかのように、市長選において民主党の若き改革派のゾーラン・マムダニが当選する。物価や移民にまつわる政策をはじめとし、ニューヨークという街の未来像をめぐる議論は大きな盛り上がりを見せた。

今年のニューヨークは、政治と社会が揺れ動くなかでも、カルチャーを発信する場としての強度を失わなかった。コロナ禍以降、街に戻ってきた活気はさらに勢いを増し、フードやアートなどのあらゆる分野で新たなトレンドが生まれている。レストランシーンでは、ルーツやストーリーを重視した店が評価を高め、移民文化やローカリティーに注目する動きが際立った。アートの分野では、展示とパフォーマンスなど各種の展覧会が話題を呼び、美術館や公共空間が再び人々の集うコミュニティーの場となっている(今回は現在開催中の展覧会ベストから選出)。本や音楽は、人種的・性的マイノリティーの個人の立場を起点に、世界のありようや社会の歪みを描く作品が多く支持された。今回の特集では、そんな2025年の空気を映し出す「ベスト」に着目し、この街の現在地、そして未来の可能性を探ってみたい。

ベストスポット
シェイクスピア公演に深夜から大行列
Delacorte Theater / Central Park

無料のシェイクスピア公演で知られるセントラルパークの名物スポットが、約18カ月の改修工事を経て、今年夏に再オープンした。老朽化への対応に加え、アクセシビリティーの向上や設備の刷新が行われ、より多くの観客に開かれた公共劇場にアップデート。華やかなブロードウェーとは一味違い、芝生と夜風に包まれながら第一線の演劇を体験できる。『十二夜』公演は大人気で、なんと早朝3、4時から行列を作るほどの事態に。
81 Central Prk W.
値段・開場日は公演・イベントに合わせて
ブラックアートの拠点が再始動

7年間にわたる大規模改修を経て、今年11月に再オープン。長年ブラックアートの中核を担ってきたこの美術館は、展示面積を大幅に拡張し、より開かれた文化拠点へと生まれ変わった。館内では人々が自然に集う階段状の「ストゥープ」などの共有スペースも設けられ、地域コミュニティーとの結びつきをより強く意識した構成に。多様性をめぐる文化機関への圧力が強まる中、ブラックカルチャーを育む場として注目を集める。
144 W. 125th St.
大人16ドル、子供無料 開館日:水曜日~日曜日



