歴史的名盤レコードを掘る! 今週の1枚

第37回 今週のレコード:空中キャンプ(フィッシュマンズ)

今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。


90年代邦楽の金字塔的作品
極上の浮遊感とトリップ感

ニューヨークでも1990〜2000年代の音楽が若者を中心に人気を博している。その先頭を走っているのがフィッシュマンズと椎名林檎である。もちろん日本でも高価盤ヴァイナルとして君臨している。そのなかでも、90年代の音楽シーンに燦然と輝く名盤が『空中キャンプ』。ダブ、レゲエ、ロックステディーを昇華した揺らめくサウンドと浮遊感あるボーカルは、ここではないどこかへ誘うような極上のトリップ感をもたらす。名曲『BABY BLUE』『ナイトクルージング』も収録されており、まさに金字塔的傑作だ。96年にリリースされたファーストプレスはLimited Edition、Clear VINYL仕様で珍しく、さらに高値で取引されている。コンピレーション『BLUE SUMMER〜Selected Tracks 1991−1995〜』(LP)も入荷して即売れしていた。フィッシュマンズ人気は高まるばかりで、ニューヨーカーもレコードの再発を待っている。


フェイスレコード

2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。


間宮祐一

横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。

               

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