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昨年の秋、日本国内外に温泉旅館やホテルなど72の宿泊施設を運営する星野リゾートが北米本土進出を発表した。そこで選ばれたのがマンハッタン区から車で約3.5時間の場所にあるシャロンスプリングス。同社の初となる米国での温泉旅館開業に注目が集まるということもあり、今回は星野リゾートのインタビューと現地の魅力をお届けする。(文・取材/伏見真理子)
日本の温泉旅館がニューヨークに星野リゾートの矜持と挑戦
2028年に開業を予定する星野リゾートのニューヨーク州・温泉旅館プロジェクトについて、同社に話を伺った。
─このたび、米国本土進出を決められた狙いは?
星野リゾートの企業ビジョンである「Globally Competitive Hotel Management Company(世界に通用するホテル運営会社)」に近づくための一歩と考えています。旅行に関する情報発信や運営会社の拠点を見ると、ほぼ米国本土であり、日本のホテル運営会社が世界に認めていただくためには、米国本土で認知される必要があります。そのため、星野リゾートでは、北米本土への進出をかねてより計画していました。また、過去には日本のホテルが北米進出を目指したこともありましたが、成功したと言える事例はなく、それは「なぜ日本のホテル会社が北米で西洋型のホテルを運営するのか」という問いに答えられなかったためだと考えています。日本のホテル会社が海外に進出するときは、なんらかの形で「期待される日本」を打ち出す必要がマーケティング上はあると考えており、最初の一歩として「日本の温泉旅館」で進出することに決めました。
星野リゾートの代表・星野佳路氏
─シャロンスプリングスを選ばれた経緯は?
米国本土のプロジェクトについては17年から候補地の検討を始めていました。温泉旅館で進出することは決めていたため、温泉が出ることが一番大切な要素でした。また、冬には雪見温泉ができ、春には新緑を楽しめるというように、日本の温泉旅館のような四季を感じられる気候であることも大切な決め手となりました。
シャロンスプリングスは、古くは米国先住民が治癒効果を求めて鉱泉を利用しており、1800年代中盤にはリゾート地として開発されるようになりましたが、1900年代に入り飛行機での旅行が盛んになる中で、観光地として衰退していきました。活気を失って久しくなる温泉地で、地元の方々の協力とサポートを得ながら温泉旅館を開業し、地域の活性化に貢献していくことは、星野リゾートらしい北米事業のスタートであると考えています。
─どのような温泉施設になるのかコンセプトを教えていただけますか?
具体的には計画中となりますが、日本の温泉旅館として、日本文化を存分に味わえるように「日本的な空間デザイン」、「日本食を体験できること」、「温泉体験ができること」そして、「季節や二十四節気などを体感できる日本らしいおもてなし」の要素を大切に考えております。
同社による現地視察当時の様子
─雇用形態はどのように?
具体的な人数などについて、現状は未定ですが、スタッフの大部分は現地での採用となる予定です。採用活動は少しずつ開始しており、まずは、日本文化や日本でのキャリア形成に関心の高い日本語学部・学科がある学校の学生へアプローチしています。卒業後に日本で働き、経験を積んだ後、ニューヨーク州に戻って活躍するというキャリアパスを提案していきたいと考えています。星野リゾートのビジョンや北米での温泉旅館開業というプロジェクトに共感してくれる方々と共に、日本らしい温泉旅館のサービスを提供していきたいと考えております。
─NYジャピオン読者に一言いただけますか。
ニューヨーク州にお住まいの日本人の方々にも、日本文化を身近で楽しんでいただける温泉旅館を目指し、28年の開業を目標に準備をしています。楽しみにお待ちいただけますと幸いです。

(上)「界 津軽」かまくら露天風呂。(下)「界 箱根」の大浴場。界は星野リゾートが全国に展開する温泉旅館ブランドだ。このような温泉が北米で体験できるとあって既に州外からも注目が集まっている
星野リゾート
hoshinoresorts.com






