リトルポルトガル味めぐり〜ニューアーク編〜

どの店に行くか迷ったらおすすめの店はここだ!

リトルポルトガルのレストランで出される料理は、伝統的なポルトガル料理というよりは、米国人に好まれるイベリア半島の料理、すなわちスペイン料理と折衷させたものが多い。お店の人に「これぞポルトガル料理といったメニューは?」と聞いて、おすすめを提案してもらおう。


海の幸を堪能するなら

シーブラズマリスケリア

平日のランチタイムは近隣で働く会社員、その他の時間帯には地元のポルトガル系住民人、週末は観光客と、いつ行っても混んでいる有名店。店名から分かるようにシーフード料理が得意で、メニューも豊富。エビだけでも調理法に応じて数種類あり、グリルに素揚げ、スチーム、スープ、ガーリック炒めなどどれも素材の味を生かした仕上がりだ。バカリャウを使った料理は「バカリャウ・コジード・コン・トドス(茹でダラの野菜添え)」と「バカリャウ・グレヤーデュ(タラのガーリック焼き)」、「バカリャウ・ア・ブラス(タラの卵炒め)」といったポルトガルの伝統料理を用意。肉料理でおすすめは、ぶつ切りの豚肩ロース肉とアサリ、ジャガイモをガーリック、白ワイン、コリアンダーソースで炒め煮した「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ」。入ってすぐバーカウンターがあり、ふらりと立ち寄って一人飲みするのにぴったり。ビールも悪くないが、ここはやはりアレンテージョ産のボルバワインを選びたい。

ポルトガル名物の魚介のパン粥「アソルダ・デ・マリスコス」はテーブルで最後の仕上げをしてくれる

塩を振って直火で焼いたイワシや有頭エビのさっと炒め、アサリの酒蒸し、タラの卵炒め、日本人が大好きなメニューが並ぶ

Seabra’s Marisqueira

87 Madison St., Newark, NJ 07105/seabrasmarisqueira.com


直球のポルトガル料理

ポルトゲリアバー&レストラン

駅から歩いて20分ほどかかるが、地元住民が「ベスト」と太鼓判を押す人気店。取材で訪れた土曜の昼時は、手前の居酒屋も奥のメインダイニングも大盛況。カウンターも二人用の簡易テーブル席も、赤ワインで「サックリングピッグ」を流し込む中年の男たちで満席。“子豚ちゃん”はもちろんだが、必ず注文したいのは店の外のバーベキューピットで鶏を丸ごと燻し焼きにした「フランゴ・デ・シュラスコ」と、タラとジャガイモのグラタン「バカリャウ・ア・ゴメス・デ・サ(ゴメスさん考案のタラ料理)」。クリーミーでほくほくのジャガイモと干しタラ独特の食感、ほどよい塩味があと引く一品だ。有頭エビのグリル「ガンバス・ア・モザンビーク」は濃厚なエビみそがぎっしり。肉料理にはフライドポテトとライスが付いてくるので、お腹いっぱいになる。メインダイニングはヨーロッパのビストロ風なので落ち着いて食事ができるが、この店ならではの雰囲気を楽しむならぜひカウンターで。

コーニッシュヘンのような小ぶりの鶏を使用し、味付けは塩のみ。テイクアウトする顧客も多い

時計回りに「フランゴ・デ・シュラスコ」「カルネ・デ・ポルコ・ア・アレンテジャーナ」。フライドポテトも大盛り

Portugalia Bar & Restaurant

280 1/2 Ferry St., Newark, NJ 07105


お土産探し&腹ごなしはここで

シーブラズマーケット

ポルトガル系スーパーマーケット。まずは、鮮魚コーナーの手前にあるバカリャウ売り場へ。チョリソ(サラミ)や生ハム、豚皮の唐揚げチチャロン(クセになる味)、パステル・デ・ナタ(エッグカスタード)は必ず買って帰りたい。売れ筋商品は他に、リスボン産のミネラルウォーター「ルソ(LUSO)」や、地中海産シーソルト、バカリャウのオリーブオイル漬け(缶詰)など。

チチャロン

チョリソ

パステル・デ・ナタ

バカリャウ

 

Seabra’s Market

260 Lafayette St., Newark, NJ 07105

TEL: 973-589-8606/seabrasmarket.com


ユネスコの無形文化遺産

ファドが聴けるレストラン in NY C

その表現力と哀愁から日本人ファンも多く、「ポルトガルの演歌」とも呼ばれるファド。リスボンの労働者階級の酒場から生まれたファドは、12弦のポルトガルギター『ヴィオラ・ダ・ファド』の哀切を帯びた泣き叫ぶような音色をバックに、叶わぬ恋や失われた夢、人生のほろ苦さを表現したサウダーデを歌い上げるもので、ユネスコの無形文化遺産にも登録されている。ウエストビレッジ地区にあるポルトガル料理の店、レイタオでは毎月第2水曜日にファドのライブと食事がセットになった「ファドナイト」を開催*。4品のコース料理とポルトガルワインのペアリング、ウエルカムドリンク(3時間)がついて一人140ドル〜(要予約)。

*11月13日、12月11、18日

Leitao

547 Hudson St./leitaonyc.com

               

バックナンバー

Vol. 1318

私たち、こんなことやってます!

患者さまの歯を一生涯守り抜く、高品質で長持ちする歯科医療を目指すDental Serenity of Manhattanのチャン院長と、人と人とのつながりを大切にし、お客様に寄り添ったサポートを心がけるCOMPASS不動産エージェントの石崎さんに話を聞きました。

Vol. 1317

ソーバーオクトーバー 一カ月の休肝がもたらす静かな変化

お酒をやめることは、意志の強さの証しではなく、自分の調子を取り戻すためのセルフケアの一つ。世界中で広がる「ソーバーオクトーバー(禁酒月間)」は、心身のバランスを見つめ直す、穏やかな一カ月の習慣。飲まないことで見えてくる「自分」を、少しの勇気と共に体験してみませんか。

Vol. 1316

知りたい、見たい、感じたい 幽霊都市ニューヨーク

ハロウィーンまで残すところ3週間。この時期なぜか気になるのが幽霊や怪奇スポットだ。アメリカ有数の「幽霊都市」ニューヨークにも背筋がゾッとする逸話が数え切れないほど残っている。こよいはその一部をご紹介。

Vol. 1315

ニューヨークの秋 最旬・案内

ニューヨークに秋が訪れた。木々が色づきはじめるこの季節は、本と静かに向き合うのにぴったり。第一線で活躍する作家や編集者の言葉を手がかりに、この街で読書をする愉しさを探ってみたい。