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日本人ならではの感覚や知識、審美眼を活かしたビンテージショップが、ニューヨーカーや観光客から人気を集めている。おしゃれが楽しくなる秋、お散歩がてら出かけてみよう。(文・取材/加藤麻美)


美しさや面白みを見出し 着こなしを提案できるのが強み
中学生の頃にはすでに古 着の魅力にハマっていたそうですね?
父の仕事が出版関係だったので、ポパイやホットドッグプレス、ブルータスといった雑誌が家にいっぱいあったんです。雑誌を見ると、モデルがボロボロに色落ちしたリーバイスの501なんかを着ていて「カッコいいな〜」って憧れていました。
祖母が中央線の阿佐ヶ谷に住んでいて、隣駅の高円寺には僕が中学生だった1980年代後半から90年代前半頃、すでに古着屋がポツポツできていたんです。高円寺の古着屋では当時、リーバイスの501が1500〜2000円で手に入ったので、祖母の家に遊びに行きがてら通うようになって、それが始まりです。洋服が好きだけど(中学生で)お金がなかったので、高いものは買えないから。「オルテガのベストにリーバイスの501、靴はモカシン」というのが当時の洋服好きの中学生のスタイルでした。
どんな視点で古着を集めていますか?
僕がニューヨークに来て感じたことの一つが洋服を売る店の数が少ないこと、特に輸入品ですね。東京だと例えば、ヨーロッパのブランドを扱う古着屋さんや、当時はまだ少なかったけれども、日本のハイブランドを集めた古着屋さんなどと、バラエティーがあったんですが、なぜニューヨークには、米国の古着を扱う店しかないのだろうか?というのが出発点でした。最初はヨーロッパに頻繁に行っていましたが、日本にもちろん行くことが多いので、だんだんと行く比率が日本のほうが高くなっていったというのが現状ですね。
飯田さんのお店に来るのはどんな人たちですか?
米国人とヨーロッパ人が4割ずつ、アジア系(非日本人)が2割といった感じです。アイデアを探しに来るファッション関係の人や、日本のコアなブランドや米国では手に入らないものを探している人が多く、常連さんがほとんどです。アジア系は中国からの人が多い印象を受けますね。彼らは皆、とてもおしゃれですよ。
日本人が経営する古着屋や、日本のブランドの古着が人気なのはなぜだと思いますか?
この辺りで古着屋を経営している日本人は、だいたい僕と同じ年頃だと思うんですね。いわゆる中・高校生の時にバブルを経験して、外国のファッションやデザイナーズブランド全盛の雑誌カルチャーの洗礼を受けた世代。まだあの頃は若い子が(そこそこ高い)洋服を買う余裕があったから、
雑誌を読んで研究して、実際に店に行って見て触って、店員さんからいろいろと教えてもらった。
「日本人のバイヤーには目利きの人が多い」と評価されているとしたら、そうやって勉強したマニアックな人が多いということと、そうした知識を基に膨大な商品の中からいいものをセレクトする能力があるということ。メイド・イン・ジャパンの古着がウケるのは、日本の経済がまだ元気だった頃のものだから、デザインも縫製も生地もいい。ある意味最強なわけですよ。今の洋服好きな米国人はクラフトマンシップにうるさいですからね。
それと、欧米では洋服の文化が長いけれど、日本はせいぜい明治から。着物の文化が長かった日本人がそうであるように欧米の人たちは洋服を着崩すことに抵抗があるけれど、日本人にはない。日本人はユニークな着こなしができるし提案もできる。スカートの下にパンツを履くなんてことを始めたのも日本人だし。これは日本人の特性で強みだと思うんですね。古着の世界においても、米国人がなかなか気づかない部分に美しさや面白みを見出して、それを教えてあげることができるからじゃないでしょうか。
 飯田さんが経営するアバウトグラマーの店内。フレンチブランドのボーダーシャツは、ここでしか手に入らないレアものも
飯田さんが経営するアバウトグラマーの店内。フレンチブランドのボーダーシャツは、ここでしか手に入らないレアものも
 
                                         
                     
                     
                    


