今年で13回目を迎えるNYJCF − 短編映画の可能性を探求し未来へつなぐ

今年で13回目を迎えるニューヨーク・ジャパン・シネフェスト(NYJCF)は、今年も11月1日(金)にアジアソサエティーでオープニング上映会、2日(土)にアストリア地区にあるテスピスシアターで上映会が開催される。「日本」をキーワードに、厳選された短編映画を世界へ発信する。今回は、主催者の一人である映像作家、フィルムキュレーターの古川康介さんにインタビューを敢行。


─作品数や内容はどのようにして決めているのですか?

今年は、2日間で20作品以上を上映します。僕たちが作品を選定するにあたり、定めているクオリティーの基準値はとても高いと思います。そこにこだわりがあるからこそ、13回目を迎えられるのだと思います。立ち上げてから5年間は、自分たちの足でさまざまな映画祭に足を運び、その中から日本で制作されたという条件に特化し、慎重に検討していました。お陰様で、今では短編作品の映画祭で最大規模の「ショートショート」や「札幌国際映画祭」などとコラボレーションする機会にも恵まれるようになりました。また、多くの映画祭関係者やクリエイターたちと繋がることもできました。

アジアソサエティーにて行われたオープニングセレモニーの様子

─今年の映画祭は?

今年の新しい試みとして、僕たちの映画祭に応募された作品も上映する予定です。また、今年は日本で制作された作品だけでなく、日本を題材にした作品もいくつか上映する予定です。ニューヨークを拠点とする映画監督の作品もあるので、是非お楽しみにして下さい。

─短編映画の可能性とは?

昔は、劇場映画でクレジットに繋げていくような足掛かり的な存在でしたが、近年デジタル技術も進み、いろんな人が予算をかけなくとも、クオリティーの高い作品を撮ることができるようになりました。ある意味、競争が激しくなってきた一面もありますが、人々が「フィルムメーキング」というものを通して表現できる世界が広がったことは、とても大きな変化だと感じています。昔は、短編といえども映画といえばとにかく「予算」が第一でしたが、今ではアイデア次第で実現できることが増えました。

─NYJCFは在米の日本人だけでなく、米国人からも大きな支持を集めていますが、どのように思われますか?

ロサンゼルスの映画産業と異なり、この街の映画産業は、この街の真髄を象徴するウッディ・アレン監督やジム・ジャームッシュ監督などのインディーズ作品が根底にあると思います。つまり、ニューヨーカーの映画を観る目にそういった地盤があるからこそ、僕たちの映画祭が受け入れてもらえているのではないかなと解釈しています。

日系米国人でホワイトハウスの初の公式カメラマンとして活躍したYoichi Okamoto氏のドキュメンタリー『Yoichi’s White House』

─今後の展望は?

日本の映画監督や映像作家、アーティストの人たちがもっと世界で羽ばたけるよう、彼らとニューヨークの架け橋になれたらという想いです。いつか、日本の町おこしなどにも繋げられたらいいですね。


NYJCFを主催するプロデューサー3人

古川康介

映像作家・フィルムキュレター

Brooklyn College film production卒業。過去にInternational Film festival NYでBest short賞を受賞。数多くの短編映画、ドキュメンタリー制作に関わる。同映画祭を共同主催している。

 

河野 洋

Mar Creation代表、イベントプロデューサー

1992年に来米。2003年にレコード会社「Mar Creation」を設立し、08年からライブ、イベントのプロデュース、アーティストマネジメントを行う。米国NPO法人CUPA副代表理事、NY愛知県人会代表としても活動する。

  鈴木やす

俳優・映画監督

1991年に来米。大学在学中より名古屋ローカルの伝説的人気バラエティー番組『5時サタマガジン』でレギュラーキャストとして活躍し、大竹まこと、野沢直子らと毎週共演。俳優、映画監督としてニューヨークを中心に活躍。

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共同主催者から一言

河野洋さん

2012年にNYJCFを立ち上げた当時、映画祭の運営について何一つ知識も経験もなかった三人が、短編映画に対する情熱だけで、根気よく13年も続けてこれたのは奇跡に近いことだと思います。また、過去に上映した短編作品の多くの監督たちが第一線で活躍していることも励みになっています。映画には夢とロマンがあります。愛を持ってそれを育んでいく先に無限の世界が広がる。そんな映画祭をこれからも作っていきたいです。

鈴木やすさん

3年目でほとんどの映画祭が継続をやめてしまうと言われる中でよく13年間続いたものだと思います。営業、情報収集、現場の仕切りと三人が別の得意分野を持っていたのも幸いしました。これからは関わっていただいた監督へのアフターケア支援にも力を入れていきたいです。


ニューヨーク・ジャパン・シネフェスト(NYJCF)

【会期】2024年11月1日(金)、2日(土)

【オンライン上映】4日(月)〜10日(日)公式ウェブサイトにて

【会場】1日:アジアソサエティー(asiasociety.org)、2日:テスピスシアター(hellenicculturalcenternyc.com

【主催】MarCreation、アジアソサエティー

【公式ウェブサイト】watch.nyjcf.com

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