巻頭特集

ガラスの中に森や砂漠を再現 テラリウム始めてみない?

自然のリサイクル活動を生かしたミニチュアガーデン、テラリウム。5月に特集した盆栽と並んでパンデミック以降、ジワジワ人気上昇中のエコな園芸にズームイン!(取材・文/加藤麻美)


メンテは最低限でOK!変化する生態系を間近に

─テラリウムとは?

土、空気、食べ物、水など、植物が成長するために必要なものが全て入ったガラスの温室です。密閉された容器は、透明な壁を通して入る光と熱のおかげで小規模な水循環が発生し、植物の成長にとってユニークな環境を作り出します。土壌の水分は根系を通して植物に取り込まれ、蒸散によって葉を通過し、空気中に蒸発し、限られた大気のために容器の壁に結露し、最後に土壌と植物に滴り落ちて再利用されます。植物の成長に欠かせない光合成も、ガラス容器を通して入る光の下に行われます。

─テラリウムの魅力は?

手入れが最低限で済むのにもかかわらず、時間の経過と共に変化する生態と、繊細かつダイナミックなディスプレーが楽しめることだと思います。私個人にとっての魅力は、全ての要素が生態系の中で役割を果たしていることを目の当たりにできること。一言で表現するなら、「芸術と科学の融合」でしょうか。自分がデザインしたミニチュアの庭で、植物や苔が成長していく過程を観察できるのってすごく満足感がありますよ。

─テラリウムの人気が再び高まっているのはなぜだと思いますか?

テラリウムの復活にはいくつかの要因が考えられます。まず第一に、都市空間が密集するにつれて人々が自然とのつながりを取り戻す方法を求めていること。第二に、DIY(手作り)やスローライフの人気を背景に、実践的で創造的な活動に興味を持つ人が増えていることです。場所も取らず管理もしやすく見た目も美しいテラリウムは、狭いアパートに自然を取り入れる理想的な方法です。ニューヨーカーのライフスタイルにはぴったりの園芸だと思います。

 

苔を使った壁掛けタイプやカクタス、熱帯性植物を使ったテラリウムなど、各自の住環境やライフスタイルに応じたテラリウムを提案してくれる。先月21日にマンハッタン区で開催されたストリートフェアで撮影

 

─初めてテラリウムを始める人に、どんな植物や容器(大きさなど)がおすすめですか?

カクタスなどの多肉植物やエアプランツは丈夫で、水やりも最小限で済みます。中くらいの大きさのガラス容器で、上部が開いているもの(オープンテラリウム)が理想的です。また、密閉式の容器(クローズドテラリウム)は熱帯植物を好む初心者には最適です。自給自足の生態系が形成され、メンテナンスがさらに少なくて済むからです。

─テラリウムはどのぐらい長持ちしますか?

寿命は予測不可能ですが、きちんと手入れをすれば2〜3年は保ちます。クローズドテラリウムの中には、20年以上保ったケースもあります。テラリウムを健康に保つためには、そのテラリウムに合っメンテナンス方法に従うことが重要です。

─テラートNYCではどのようなテラリウムを扱っていますか?また、テラリウム作りのワークショップがあるそうですが、具体的にどのようなことが学べるのですか?

多肉植物(カクタス)ガーデンから苔(モス)ガーデン、熱帯ガーデンまで、幅広い種類のテラリウムを用意しています。ワークショップは、植物の選び方から景観デザイン、バランスの取れた生態系の作り方まで、楽しみながら学べる内容です。ガラス容器、各種植物やテラートのラボで栽培した新鮮な苔、デコレーション用の家や橋、動物や人間などのミニチュアなど、全ての材料をこちらで用意しますので、手ぶらで参加できます。

テラリウム作りに必要な材料と道具も販売(59ドル99セント〜)

 

<お話を聞いた人>

チャーリー・ウスカテギさん(地球科学エンジニア)

ブルックリン区ベッドフォードスタイブサント地区を拠点とするテラリウム専門会社・テラートNYCの社長。オリジナルのテラリウム製作と販売、テラリウムの普及に情熱を燃やしている(同社の詳細はP5を参照)。ベネズエラ出身。

               

バックナンバー

Vol. 1328

雑誌『ザ・ニューヨーカー』世界

ニューヨーク発の洗練された洒脱な視点で、調査報道から小説や批評、コミックやイラストまで、多彩な記事を掲載する老舗週刊誌『ザ・ニューヨーカー』。昨年は創刊100周年を迎え、その節目を祝う企画やイベントが相次いで開催された。ニューヨーク公共図書館本館では記念展示が行われ(2月21日まで開催中)、それに連動した名物編集者らによる座談会形式のトークショーが9月に実施。さらに先月には編集部の舞台裏に密着したドキュメンタリー番組がネットフリックスで配信されるなど、同誌は改めて世界中から大きな注目を集めている。本特集ではその歴史と編集哲学に迫りたい。

Vol. 1326

レストランからアート、本、音楽まで 今年のニューヨークベスト

2025年も年の瀬を迎える。米国の各メディアでは、この1年を総括する「ベストオブ2025」が出揃いつつある。本特集では、そうしたベストリストを手がかりにしながら、今年のニューヨークを映し出す「ベストオブベスト」をさらに厳選して紹介し、今まさにこの街で生まれつつあるトレンドに迫りたい。

Vol. 1325

冬のニューヨークを心地よく生きるメンタル&フィジカルスキル

寒さが深まり、心も体も揺らぎやすい冬のニューヨーク。そんな季節に役立つ、心と体を整えるシンプルなケアを紹介。マインドフルネスで気持ちを整え、ピラティスで巡りを高め、冬アイテムで心地よさをプラス。冬を快適に過ごす、心と体のヒントを見つけてみませんか?