未知の土地で見つける自分ー世界を感じ、自分を歌う

2016年、日本の人気リアリティー番組に出演し、「高校生ウクレレアーティスト」として注目を集めた若き表現者イーデン・カイさん。現在はハワイと日本を拠点に、ギタリストとして、そしてシンガーソングライターとしても活動している。今後はニューヨークにも挑戦していきたいと語る彼の音楽人生に迫る。


 

ギター一本から広がった世界

元々何をやっても飽き性で、ある程度チャレンジしても自分に合わないと思ったら挫折してしまうことが多かったのですが、その中でも唯一続いたのが音楽でした。幼少期からとにかく歌うことが好きで、小学生で一人カラオケに行くくらい。そこから趣味の延長線で8歳から14歳まで原宿にあった音楽スクール「ESP POP STUDIO原宿」に通い、歌の基礎を磨きました。中学では友人に誘われて入った吹奏楽部でトロンボーンを始め、楽譜が苦手だったため耳で覚えて演奏をしていたのですが、それが楽器を楽しむきっかけになりました。ギターに出会ったのは13歳で、Youtubeでフィンガースタイルの動画を見て、「アコギ一本だけで曲が完成するんだ!」と強い衝撃を受けたんです。またその頃、タクシーの中で植村花菜さんの「トイレの神様」が流れ、ギターの音色に強く心を打たれたのを今でも覚えています。そんな時、当時大阪に住んでいた大叔父(父方の祖父の兄)が初めてのギターを贈ってくれたんです。

14歳で両親の都合でハワイへ移住したのですが、当時思春期だったこともあって、周りとちょっと違うことを恥ずかしいと思う時期があったんです。英語を話すことへの抵抗や、文化の違いに圧倒されながら、片手に電子辞書の生活を送ってましたね。でも、多文化が混ざるハワイの環境の中で過ごすうちに、少しずつ気づいたんです。「人と違うことはおかしくない。むしろその違いが、自分の強みになることもあるんだ。」と。それからは肩の力が抜けて、自分に正直でいられるようになりました。自分にとって音楽はコミュニケーションツールの一つであり、自分らしさを大切にすることに気がつけた瞬間ですかね。この時の感情は今でも音楽に向き合う姿勢に大きく影響しています。その後、高校でウクレレのクラスに誘われたことがきっかけでウクレレ演奏にも没頭し始め、SNSにオリジナル曲を投稿するまでに。少ない反応でも喜びを感じるなど、ひたすら音楽と向き合う時間が続きました。

音楽とともに、次の世界へ

大きな転機になったのは、高校でのタレントショーです。千人規模の観客の前で演奏した経験は、「人前で表現すること」を怖がらずに楽しむきっかけになり、音楽への情熱がさらに深まりました。その後、高校2年生で出場した「Brown Bags To Stardom」という大会で、ギターのオリジナル曲を披露し、総合優勝を果たしました。過去にジェイク・シマブクロや伊藤ユナ、ブルーノ・マーズも出場していた大会での優勝は、大きな自信につながり、「本気で音楽をやりたい」という気持ちが、より強く芽生えた瞬間でした。

16歳でインストゥルメンタルアルバム「Touch the Sky」をリリースしました。チャリティーとして貧しい子どもたちへの支援を目的としていたこともあり、純粋に音楽の力で人々を助けたいという思いが込められていました。縁あって18歳でメジャーデビューをした後も、アーティストとしてどのように自分らしい音楽を作り出すか、常に模索し続けました。

今は、音楽に対する自己表現の自由を大切にしながらも、ヒップホップやR&Bなど新しいジャンルにも挑戦しています。「挑戦を恐れず、戦うと決めたなら戦い続ける」。この言葉が自分の軸です。不安や迷いがあっても、自分が本当にやりたいことに向かって行動することで、自分らしさを守れると信じています。SNSを通して届くリスナーの声は、僕にとって大きなモチベーションです。「手術の前日に曲を聴いて勇気をもらった」とか、「人生の大事な局面で背中を押された」といったメッセージを見るたび、音楽を続けてきて本当に良かったと思います。

そして、僕にとってニューヨークは、まだ行ったことのない大きな舞台であり、挑戦の象徴です。現地で感じる刺激や、路上パフォーマンスやライブで得られる体験は、きっと音楽や表現に新しい風を吹き込んでくれると思います。未知の土地での出会いや経験を通して、自分の音楽をさらに広げ、誰かの人生にそっと寄り添える存在になりたい。そして、ニューヨークという場所が、自分にとって新たな挑戦と成長のきっかけになることを心から楽しみにしています。

 

イーデン・カイ(Eden Kai)

東京都八王子市出身。シンガーソングライター、ギタリスト、ウクレレ奏者。ハワイの自然や家族への想いを背景にした、温かくも力強い歌声とメロディが特徴。国や文化を越えて音楽を届ける存在として、アメリカ本土や日本でも注目を集める。ジャンルを超えた楽曲で聴く人の背中をそっと押すような、リスナーの心に寄り添うアーティスト。

@edenkai_official / edenkai.com


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