歴史的名盤レコードを掘る! 今週の1枚

第34回 今週のレコード:修羅の花(梶芽衣子)

今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。


タランティーノ映画で世界が注目した
梶芽衣子のレアなシングル盤

タランティーノの映画『キル・ビル』で世界的に知れ渡った梶芽衣子。同作は梶主演の映画『修羅雪姫』をオマージュしていたが、そのメルヘンな白雪姫ならぬ『修羅雪姫』のサウンドトラックの7インチシングルだ。渋い尺八のフレーズから始まるこの曲をご存じの方も多いはず。この捻り方は凄まじく、気迫を感じる。シングルのみで、後の編集盤のベストにのみ収録された珍しいヴァイナル。カバーアートは日本人女性の美しさと強さと儚さを表現した独自のデザインで、当店でもたくさんのファンがいる。他に有名なシングル盤としては、Wu-TangのプロデューサーのRZAがサンプリングしAFRO SAMURAI(アニメ)で使用した曲『ジーンズぶるうす』も要チェック。今年、Awichの『Wax On Wax Off feat. FERG & Lupe Fiasco』でも、RZAのプロデュースで、サンプルが再使用された。彼女は現代の梶芽衣子であろうか。リスペクト。


フェイスレコード

2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。


間宮祐一

横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。

               

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