海外在住の日本人にとっての「ホーム」の意味

*こちらは提供記事になります。弊社とは一切、関係ございません。


日本を離れて異国の地で暮らす日本人にとって、「ホーム」とは単なる居住空間以上の意味を持っています。それは故郷の文化的なルーツであり、日々の小さな習慣の積み重ねであり、アイデンティティの拠り所でもあります。たとえ距離が離れていても「日本人であること」を日常のなかでどのように保っていくかが、多くの海外在住者にとって大きなテーマとなっているのではないでしょうか。

小さな習慣が「日本」を支える

例えば、西洋的なライフスタイルに囲まれた中でも日本独自の生活習慣を続けることで、精神的な「帰る場所」を感じる人は少なくありません。靴を脱いで家に上がる、畳の上でくつろぐ、あるいは味噌汁の香りが立ち込める朝の食卓。こうした行動は、日常の中で「内(うち)」の感覚、つまり日本的な安心感や一体感を保つ手段となります。

 

また、週末に家族や友人とマージャン宅を囲むという習慣も、日本的な「ホーム」の空気を生み出すひとつの方法です。音を立てて牌を並べる感触、静かな集中のなかにあるユーモアや会話、勝負が終わった後に囲む一杯の緑茶。マージャンは単なる娯楽ではなく、共にテーブルを囲むことで「日本人同士」としてのつながりを再確認する儀式のような側面もあるのです。

 

しかし、特に多文化的な都市に住む忙しい現代人にとっては、4人のメンツを集めるのも一苦労。そんな場合は、自宅で一人きりの時でもスマホから365日24時間気軽にアクセスできるマージャンサイトにログインして、日本語で通じ合う時間をつくってみるのもいいかもしれません。

離れて気づく「日本らしさ」

また、海外に住むということは、新しい文化に適応することと同時に、自分の文化的背景との関係を問い直すことでもあります。日本を離れたことでかえって「日本らしさ」が意識されるという現象は、決して珍しくありません。例えばアメリカ東海岸だけでなくカナダ、ヨーロッパの都市に住む日本人家庭でも、食文化の継承は重要視されています。スーパーで手に入る限られた食材を工夫して、日本の家庭料理を再現しようとするその努力自体が、家族にとっての「ホーム」を形成していくのです。

 

もちろん、文化的背景が異なる土地では日本的な習慣が理解されにくい場面もあります。以前は靴を脱いで家に入るという習慣を説明しても、現地の人には「なぜそこまで気にするのか」と疑問を持たれることがありました。それでもなお、日本人はその行為を大切にし続けました。それは単なる清潔さの問題ではなく「家の内と外を分ける」という日本独自の空間感覚や精神性が根底にあるからです。こうした価値観は言語化しづらいながらも「ホーム」という感覚を形づくる大きな要素となっていて、現在では一般的なアメリカの白人家庭にも受け入れられるようになってきた習慣です。

コミュニティが生む「帰属意識」

さらに、日本人コミュニティの存在も海外における「ホーム」を支える重要な要素です。現地の日本人会や補習校、文化イベントなどを通じて得られる仲間とのつながりは、孤立しがちな異国での生活において心の拠り所となります。そこでは言葉の壁を気にせずに話せる安心感、文化的な共通認識、そして「わかり合える」という感覚が深いレベルで共有されます。ときには一緒に正月を祝ったり、花見をしたり、マージャン大会が開かれることもあるでしょう。それらすべてが「ホーム」を補完するものなのです。

 

一方でこうした日本的な「うち」を守り続けることには、ある種の緊張も伴います。現地文化に溶け込みすぎれば日本的な自分を見失う不安があり、逆に日本にこだわりすぎれば現地との間に溝ができる可能性もあります。そのバランスを取りながら、どこにいても「自分にとってのホームとは何か」を模索していく過程は、多くの海外在住日本人にとって共通する経験です。

記憶のなかの「日本」に触れる瞬間

日本に住んでいるときは当たり前だったことが、海外では特別な意味を持つことに気づく。それは家の中で香る出汁の匂いだったり、和風の器に盛られた食事だったり、あるいはマージャンの牌を指でなぞる感触だったり。そのすべてが心の中に常にある、日本という「ホーム」の記憶なのではないでしょうか?

               

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