【4月18日(火)が申請締め切り】新・タックスリターンの基礎知識

期間限定の連載企画! 米国版・確定申告の季節が今年も到来。しっかり基礎知識を身に付けてから専門家に相談しよう。

監修=尾崎真由美/尾崎真由美会計事務所(1040me.com)


I. Form 1099-Kの報告ルールが変更されました

納税者は、2022年に600ドルを超える商品・サービスに対する第三者からの支払いを受けた場合、2023年1月31日までにForm 1099-K、ペイメントカードまたは第三者ネットワーク取引の決済を受領する必要があります。所得の課税対象に変更はありません。アルバイトや副業、物品の販売など、すべての所得が課税対象となることに変わりはありません。納税者は、Form 1099-K、Form 1099-NEC、NonemployeeCompensation、その他の情報申告書のいずれを受け取ったと
しても、法律で除外されていない限り、すべての所得を確定申告で報告しなければなりません。

2022年以前は、第三者ネットワーク取引は、年間取引回数が200回を超え、その合計額が2万ドルを超える場合にのみ、Form1099-Kを発行していました。2021年のアメリカン・レスキュー・プラン法は、そのようなビジネスを行う方の支払いを処理するサードパーティネットワークの報告基準を引き下げました。

前暦年に以下の支払いを受けた場合、1月31日までにForm1099-Kを受け取る必要があります。

すべての決済カード取引(例:デビットカード、クレジットカード、ストアドバリューカード)および第三者支払ネットワーク取引の決済で、以下のように最低報告基準額を超えている:

① 2022年以前の暦年に対する申告の場合
20,000ドルを超える総支払い額、及び当該取引が200件以上

② 2021年以降の暦年に対する申告の場合
600ドルを超える商品またはサービスに対する総支払い、および任意の取引回数

現在、600ドルを超える単一の取引は、サードパーティプラットフォームにForm1099-Kの発行を請求できます。友人や親戚から個人的な贈り物や個人的な費用の払い戻しとしてサードパ
ーティーの支払いネットワークを通じて受け取ったお金は課税対象ではありません。

IRSは、初めてForm1099を受け取る人、特に1月から2月初旬に確定申告をする「早期申告者」に対して、確定申告をする前に重要な所得書類がすべて揃っているかを確認し、注意するように呼びかけています。確定申告をする前に、重要な所得証明書が揃っているかどうかを確認する必要があります。また、Form1099に記載されている未納税の所得が最初に提出する確定申告書に反映されていない場合、修正申告書と一緒に納税をする必要がある場合があります。

Form1099-Kの情報が間違っている場合、納税者はすぐに用紙の左上に記載されている支払人に連絡してください(IRSは訂正できません)

II. 一部の税額控除は2019年の水準に戻ります

納税者で影響を受ける方は、前年の税制と比較して大幅に少ない還付金を受け取ることになる可能性が高いです。変更されるのはChild Tax Credit、Earned Income Tax Credit、Child and Dependent Care Creditの金額です。

Child Tax Creditに関しては、2021年度は、Child Tax CreditのCreditの額及び対象年齢が拡大されておりましたが、2022年度は、これまでの水準に戻り16歳(12/31/2022時点)に引き下げられ、Creditの額も2000ドルとなりました(ただし、Refundable Creditの額は1500ドル)。

Earned Income Tax Creditに関しては、2022年度は、お子様がいないTaxpayerの場合、受給資格年齢:25歳~64歳未満となり、所得がSingle: 1万6480ドル、Joint: 2万2610ドル以下の場合に上記のEarned Income Creditが受給できる事になりました(お子様がいらっしゃる場合は、お子様の人数により、所得制限の額が異なってきます。詳しくはお問合せ下さい)。

Child and Dependent Care Creditに関しては、共働きのご夫婦のお子様に対するCare Expensesに対して、2021年度は最大で4000ドル(2人以上の場合、8000ドル)あったCreditが、2022年度は3000ドル(2人以上の場合、6000ドル)と変更となり、またRefundable Creditではなくなりました。

III. 調整総所得前(above the line)慈善事業控除(Charitable Contribution)はありません

COVID期間中、納税者は確定申告において最大600ドルの慈善寄付金の税控除を受けることができました。しかし、2022年には、基礎控除を受ける方は、慈善寄付金の調整総所得前控除を受けられなくなる可能性があります。

IV. より多くの人がプレミアムタックスクレジット(the Premium Tax Credit)の対象となる可能性があります

プレミアムタックスクレジットとは健康保険マーケットプレイス(Health Insurance Marketplace)を通じて購入した健康保険の保険料を、資格のある個人と家族が負担するのを支援する還付可能なクレジットです。2022年の税年度についても、納税者は保険料税額控除の適用の一時的な拡大の対象となります。

V.基礎控除(Standard deduction)の変更について

2022年度の夫婦合算申告の基礎控除額は、前年度より800ドル増の2万5900ドルです。独身者と夫婦別姓の場合、基礎控除額は400ドル増の1万2950ドル、世帯主の場合、600ドル増の 1万9400ドルです。

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