究極の疲れないカラダ

私たちのカラダは毎日怪我をしている〈その3〉

カラダが動くようになったら、支える力をつけるトレーニングに移行します。運動器官は動きを出す機能と安定させる機能に大きく分かれます。たとえば、股関節は動くのがおもな仕事です。もし股関節が機能しないと、ほかの部位が動かなければならなくなります。大体は隣の関節である腰とひざに負担がかかります。

腰まわりは安定させるのが仕事です。お尻の筋肉が弱い人は背中が丸まっていきます。すると背中の関節が動かず、その分、腰が働かされます。上半身と下半身の強さは、両方とも腰に影響します。腰の安定した力の入れ方と使い方は腰痛の人は絶対に知らなければならないポイントです。

リリースによって柔軟性(筋肉や関節に動き)を出しても、安定性(強さ)がないとすぐに壊れてしまいます。支える力をつけるトレーニングが必要です。

そこで、仰向けのまま背中を浮かせたり、ジムでマシンを使った臀筋(お尻の筋肉)のトレーニングが指導されます。しかし、その方法いくら鍛えてもカラダがラクに動けるようにはなりません。たとえば歩く動作ひとつとってもバランス感覚やコーディネーションが要求されます。カラダは総合的に使うものなので、弱い場所だけを鍛えても日常生活で使えるトレーニングにはなりません。

歩くことだけを考えれば、ジムでハードに臀筋を鍛えている人よりも、普段から家でスクワットしている人のほうが歩けるようになる可能性は高くなります。

なぜなら地面に足をついて立ちながら、股関節を動かす全身運動が歩く動きに近いからです。やみくもに筋トレをしても、将来動けるカラダをつくるためには効果的ではありません。トップのアスリートも同様ですが、スポーツでもその動きに適した運動をしなければ効率のよいトレーニングにはならないのです。

またカラダが疲れやすかったり痛みのある人は、決まったカラダの使い方をしている傾向があります。ですから、正しいカラダの使い方を知らないと、しば らくすると同じところで同じ痛みが起こります。慢性腰痛の人は、椅子から立ち上がるたび、床に落ちた物を拾うたびに腰を痛める動作をしている典型的な例です。「カラダの痛み、歪み、柔軟性、使い方、ここまで述べてきたことはすべて機能運動性の話です。痛みを治療したり、ズレたもの、歪んだものを元に戻すのではなく、動くものを動くべき状態に戻して機能運動性を改善させることでカラダも 疲れなくなります。

機能運動性の最たる低下は寝たきりです。もし座っているのがつらく、普段から寝っ転がってテレビを見ているような人は、何もしないかぎり、次は寝たきりの方向にしか進みません。
①軟部組織のリリースをする
②カラダの正しい使い方を知る
③足腰の強さとバランス感覚をつける

こうして一生動ける疲れないカラダが手に入ります。もちろん、疲労回復には食事と睡眠も外せない項目です。しかし、食事はダイエットのためにカットするのではなく、栄養バランスよくしっかり摂ること。睡眠は24時前には就寝して、自然に目が覚める時間までしっかり眠ることを押さえておけばよいでしょう。

今回執筆するにあたって、実践しにくく最後はわたしの医院に行かなければならない方法を書くのは嫌だと思いました。

ここで紹介していく方法を実践することで、最低限日常生活を元気に過ごせるだけの機能運動性を維持することができます。

 

 

仲野広倫
Hiromichi Nakano, DC

創業大正15年、仲野整體4代目。
幼少の頃から自然医療に触れて育つ。
日本の実家で修行を経て、単身渡米。
南カリフォルニア健康科学大学(SCUHS)卒業。
2019年パンアメリカン競技大会、2021年東京オリンピックにアメリカオリンピックチーム(TEAM USA)に正式帯同した唯一の日本人。
カイロプラクティック認定スポーツ医(CCSP)、認定学位(DACBSP)、ストレングスコーチ(CSCS)等の学位を所持しそれらスポーツ医学の知識とトップアスリートの診療経験から筋肉骨格系の症状を根本的に治す『機能運動医学』を考案。
カイロプラクティック、整体等の様に姿勢、骨盤のズレなどの見た目問題ではなく根本的なカラダの『機能運動性』を自分自身で理解、改善することで健康を維持できると書いた出版書籍の『世界の最新医学が証明した 究極の疲れないカラダ』『根こそぎ疲れがとれる究極の健康法』は累計16万部を突破。
アメリカトップレベルのアスリート、著名人の診療にもあたり、現在もミッドタウンにて自らのクリニックTAI NYCにて日々の診療にあたる。


著名人からのコメント

・「仲野さんにはぼくもニューヨークで何度も救われました」坂本龍一さん(音楽家)

・「ピードを落とさず働くために最高のアドバイスが詰まった本」南壮一郎さん(株式会社ビズリーチ 代表取締役社長)

               

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