ニューヨークで奮闘する日本人たち。その新しい発想、夢に向かって走る姿は、私たちを常に刺激する。今、輝いている新人に熱い思いを語ってもらい、また推薦者からの応援メッセージも聞く。
――演出家を目指そうと思ったきっかけは?
幼い頃から母の影響でミュージカルを観劇する機会が多く、私自身もダンスやバレエで舞台に立つことが好きでした。
その頃から、舞台に立ちながらも「私ならこんな演出にしたい」と俯瞰で考えている自分に気付き、日本の大学時代はダンスや振り付けに加えて演出もしていました。一旦就活もしたのですが、「演出家として学びたい」という強い思いを大事にしようと、この道に決めました。
――アメリカの学校を選んだ理由は?
演出を学べる演劇系の大学院が日本にはなかったからです。演出や演劇の教育が身近で、学ぶ環境があるのが日本とアメリカの大きな違いだと思います。
――現在メインの活動は?
基本的には舞台の演出をしています。来年3月の卒業公演となるオフブロードウェー作品や、ノンプロフィットシアター、アシスタントディレクターとして携わるエンタメ作品まで、現在8作品持っています。
それから、パンデミックで舞台の仕事がなくなってしまったことで、初の短編フィルムを俳優の友人と製作したのですが、その作品がフィルムフェスティバルで優秀賞を受賞したことを機に、最近はフィルムも手掛けています。
全員で作り上げていく舞台も、繊細な表現をしやすいフィルムも、それぞれ良さがあるのでどちらも好きですね。
――得意な世界観は?
ビジュアル作りを評価してもらうことが多いです。最近はプロジェクションマッピングにも取り組んでいます。作品作りでは、リアル感を取り入れた繊細なアプローチを大切にしています。
――現在は、YouTuberとしても活躍されていますね。
カメラワークやライティングなど撮影技術を学ぶために始めました。最近は英語学習法に関する動画の反響が大きく、フォロワーは8万人まで伸びました。最近は忙しくて少しサボり気味なのですが(笑)。
まだまだ駆け出しの私がここでの生活や体験をありのまま発信することで、海外に出たいと考えている人にとって何か参考になればうれしいです。
――演出家として苦労する点は?
自分よりも年上の方やキャリアが長い方とお仕事する機会が多いので、伝え方を探るプロセスはいつも難しいです。
でも一つの作品を作っている仲間だからこそ、遠慮するのはプロとして逆に失礼。勉強や準備を怠らず、リーダーシップを持てるよう努力していると、俳優の方が私のイメージを超えた演技で返してくれる時があるので、そんな時にはすごく達成感を感じます。
――今後の目標は?
来年の夏には初の長編フィルムを手掛けるので、私らしい作品に仕上げることが目標です。
作品を創作することが私にとって喜びなので、これからも形を問わず創作を続けていきたいです。
河村早規さん
ICU国際基督教大学卒業後、2019年8月に来米。
米アクターズスタジオ大学院演出学科に在籍しながら舞台演出家/マルチメディアアーティストとして活動する。
sakikawamura.com
『新人の日常チェック!』
彼らは日常をどうやって過ごしているのか。仕事場、オフの姿を追う。
舞台作品の最終日にメンバーたちと。パンデミックの状況下ではマスクをつけながらリハーサルを続けた。同作品はオンラインでも配信された
大学院の友人とプロスペクトパークで過ごした誕生日。共に切磋琢磨し合う仲間は貴重な存在だ
撮影監督として参加したコメディー映画の撮影現場風景。ライティングを調整しながら自らカメラを回すことも