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困難に立ち向かい、今を全力で生きる日本人ビジネスパーソン。名刺交換しただけでは見えてこない、彼らの「仕事の流儀」を取材します。
※これまでのビジネスインタビューのアーカイブは、nyjapion.comで読めます。
「多くの人が歌を歌ったりダンスをしたりするのを楽しむのと同じように、私にとって最高の楽しみが不動産なんです」と話すのは池上奈津子さん。
もともとは金融業界出身で、バンク・オブ・ニューヨークやUBSといったメガバンクにも勤めていた経歴を持つが、長年の不動産投資という趣味が高じて、現在はマンハッタンやブルックリン、クイーンズの物件を扱う敏腕ブローカーとして当地で活躍している。
ビジネスアナリストや会計関係のポジションで金融業界にてキャリアを15年余り積み重ねる中で、キャリアチェンジしたのは自身の情熱である不動産投資の知識を増やし、人脈をさらに極めたいという思いからだった。
「それまで数字と向き合う仕事ばかりしてきたので、営業の仕事をするとは自分でも思っていませんでしたね」
競争が激しい不動産業界
スピードが目まぐるしい不動産業界は、激戦区であるニューヨークでは想像以上に激務だ。特にマンハッタンという競争率が激しいエリアでは、メールの返信が2時間遅れただけでクライアントを逃してしまうこともざらで、さまざまな人種がいることによって文化の違いやコミュニケーションギャップも大きい。この職に就いても1年目で約95%が離職するともいわれるほどだ。
不動産業は個人の裁量になるため、その分やれることにも際限がなく正解もない。体力的にも精神的にも過酷な仕事であるが、そんな中でも続けられているのは「やっぱり不動産投資が好きだから」と池上さんは語る。
多様な言語、そして文化が存在するニューヨーク。億を超える高額な取引もあるゆえ、強靭なメンタルと時には巧みな心理戦が必要なことも。「私は正直で嘘がつけないので、この職業では損するタイプかもしれません」と笑う。
救ってくれたのはスピリチュアルの学び
この厳しい業界で活躍してこられたのは、数字が得意な左脳派であると同時に、スピリチュアルの学びを重ねてきたこと、そして昔から人の気持ちを敏感に感じ取ってしまうとても繊細なタイプだったからではないかと言う池上さん。仕事や人間関係のストレスはあるけれど、ありとあらゆる心の勉強をしたおかげで、かなりのことに対応できる自分の土台ができたという。
「これまでの人生一生懸命走り続けてきたと思うんです。頑張るのももちろん大切だけど、結局は自分が好きなことを楽しむのが一番。それは今まで走ってきた自分があるから気付けたことですね」
金融業での豊かな経験とスピリチュアルの知見があるからこそ、数字を使った論理的思考と感情面の両面で、顧客にあったアプローチができるのが池上さんの強みだ。スピリチュアリティーを仕事や自身に役立てながらも、「まだまだ途上です」と笑顔を見せる池上さん。
現在は子育ての真っ只中で、授乳しながら仕事をこなす慌ただしい日々を送る。「子供を育てながら自分も成長させてもらっています。毎日の限られた時間の中でいかに大好きな不動産業でお客さまに喜んでもらって、癒やしを共有できるかが今の私の課題ですね」。
池上奈津子さん
不動産エージェント
来米年: 非公開
出身地: 東京都
好きなもの・こと: 不動産投資、ヨガ
特技: 計算、人を洞察すること
ウィスコンシン大学卒業後、ロヨラ大学シカゴ校でMBA取得。
銀行、金融機関勤務を経て、2008年より不動産エージェントとしてニューヨークの物件を扱う。
16年にブローカー資格取得。
18年に「COMPASS」入社。
日本語や英語での不動産セミナーも開催している。
compass.com/agents/natsuko-ikegami
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