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在米日本人の健康と医療をサポートする「FLAT・ふらっと」がお届けする連載。アメリカで健康な生活を送
人間は、人とのつながり・交流を求めるようにプログラムされている「ソーシャルアニマル」です。人間の脳は、人と接しているときに活性化されることが、科学的にも証明されています。ところがパンデミック中は、感染防止のための自宅待機とソーシャルディスタンシングで、人と関わらずに生活することを強いられました。これは、「ソーシャルアニマル」としての人間の本能に反する行動なわけです。当然、影響も出てきます。
パンデミック中を通して、カウンセリングの件数が増えました。これは私だけではなく、他のカウンセラーも感じていることです。
特に昨年秋ごろから相談件数が増えています。主な理由は、長引くパンデミックによる疲弊と、先が見えない不安だと思います。
ニューヨーク周辺では夏は感染件数も減少していましたが、秋になってまた増え始めたことによる脅威もあったでしょう。日照時間が短くなり、寒い冬に向かうという季節的な要因も大きいと思います。冬は、ただでさえ気分が落ち込む人が増える季節なのに、 今年はコロナ禍のために一層閉塞感が深まりました。
秋の新学期で、学校が再開されることで落ち込む子供もいました。学生がみんな学校に戻りたいかというとそうではありません。自宅待機と遠隔授業の方を好む、もともと不登校気味の子供は決して少なくないのです。コロナ禍で学校が閉鎖されている間、彼らは「自分だけが学校に行かないのではない」という安心感を持つことができていました。同じ理由で、うつや不安症で職場への通勤ができないといった成人も、みんなが自宅待機するパンデミック中は、逆に安心感が増していました。
友人・知人の間での、集まる・集まらないをめぐる意見の違いは、多少の気まずさを伴っても、大きなトラブルには発展しません。子供の誕生パーティーに呼ばれても、「マスクもせずに大勢が集まる場には行けない」と思ったら、断ればいいわけです。
問題は、家庭内で温度差がある場合です。例えば、子供の学校再開にあたり、遠隔・登校・ハイブリッドのどれにするかで夫婦で意見が真っ二つに割れ、家庭内でけんかが絶えなくなるとか、クラスメートのパーティーに呼ばれた高校生の娘が、「親の許可が出ないのはうちだけだ」と、親子の仲が険悪になるとか。または、ニューヨークから日本に一時帰国したいと思っても、感染を懸念する日本の家族から「帰ってくるな」と言われ、落ち込んでいた人もいました。
これらはいわゆる「パンデミックあるある」で、家庭内だと意見の相違からの口論や感情がヒートアップしがちです。
コツと言えるかは分かりませんが、発想を柔軟にして、自分をいたわってほしいです。こういう非常時には、自分に厳しくするのではなく、「ゆるゆる」で甘くいきましょう。
それから、人間は進歩を感じたい生き物です。小さいことでいいので、何かを始めるのはとてもいいことです。クライアントの中には、「小さいプラントを育て始めました」「初めてパンを焼きました」という人もいます。(後編につづく)
青木貴美さん
(Kimi Aoki, LCSW)
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心理療法士、臨床ソーシャルワーカー。
ニューヨーク大学大学院ソーシャルワーク修士課程卒業。
コミュニティークリニック勤務を経て2008年開業。
18歳以上の大人を対象に、育児・夫婦・家族・恋愛・人間関係に関する悩みや、気分の落ち込み、不安、パニック、ストレス、不眠、適応などの問題に応じる。
相互扶助団体・ニューヨーク日本人シングルマザーの会主宰。
現在遠隔カウンセリングのみ
NY、NJ、TX、IN州在住者対象
TEL: 917-531-0968
mail@kimiaokitherapy.com
kimiaokitherapy.com
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