プロスポーツから見る経営学

第50回 ビジネス留学生活

学校の賢い選び方は?
詳細ポイントを紹介

暑い日々が続きますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?

今回は、以前もこの連載コラムで少し触れましたが、大学留学に関して少し書かせて頂こうと考える次第です。

最初の留学は…

そもそも私がスポーツビジネス界に転身できたのも、スポーツマネジメントという学問を、アメリカに留学して会得することができたことに始まります。

私は帰国子女ではあるものの、16年間日本で生活をしていたので、単語力はほぼゼロの状態となっていました。

また2002年当時はスマホもグーグル翻訳もなく、あのいわゆる分厚い紙の辞書をいつも持ち歩いていました。今では懐かしく感じられます。

現在はコロナの影響で、対面式の講義がないと学生ビザを新たに取得したり、アメリカに入国したりすることがなかなか厳しくなってきており、いろいろなことが変化しています。

なので、人によっては今すぐの留学準備の参考にはならないかとは思いますが、学校を選ぶ際のポイントは大切なので、紹介したいと思います。

 

中村さんが最初に留学した、マサチューセッツ大学アマースト校。勉強に打ち込むにはもってこいの環境だ

 

①学業以外の誘惑が少ない学校を選ぶこと

勉強に集中するのはなかなか難しいですが、家を出たら日本人の友達に多く出会え、遊びに行ける場所が身近にあるロケーションにある学校は、避けた方が良いと思います。

自分自身は人口約3万8000人のド田舎なキャンパスで過ごしました。教室、図書館、寮で過ごす以外は、大自然の中でスポーツをするか、「自分自身は将来何をしたいのだろうか?」と夢や目標を自問自答することに時間を費やせた、ぜいたくな留学期間でした。

留学では、この自答する時間もとても大切なものだと考えています。

大都会に住むのも、遊ぶのも、卒業後にいくらでもできます。留学期間中はそのための土台作りと考えて留学に集中すべきですし、貴重なお金と時間をかけて行うのであれば、2〜4年間は「とにかく勉強!」と定めないと、もったいないと思います。

②教授の数と学生の数の比率

教授が1人で、学生が100ですと、比率は1:100。これでは、教授ときちんとした関係を築き上げ、研究の深い議論をする時間は、なかなか取ってもらえません。

私の留学した学校は、教授13人に対してクラスメートは25人でしたので、教授へのアクセスはほぼ1:2で、非常に楽でした。卒業後、約20年経過した今でも、懇意にしているほどの関係を築くことができたのは、本当に良かったと思います。

③教授の質

これは定義が非常に難しいですが、教授の履歴書は大抵公式サイトに出ていますので、チェックしてみてください。

教授の実務経験とアカデミックの研究両方が、バランス良くそろっている学校を選ぶ方が、生徒の学びの幅は広がります。

④最後に、卒業生たちの進路

これも各校の公式サイトに出ています。進路相談の専門家がいる方が良いですし、例えば卒業生がビジネス界に進むことが多い学校、あるいは卒業後も研究を深めてアカデミックの世界に進む卒業生の方が多い学校など、それぞれに特徴もあります。

自分の希望する進路と合わせて判断基準の一つにすると良いと思います。

新たな挑戦へ

ここまでは学校を選ぶ際のポイントの紹介でしたが、先述の通り、新型コロナウイルスの影響で、今はオンキャンパスで勉強をすることが難しい状態です。そこで次回のコラムでご紹介したいのは、オンライン留学に関してです。

私自身、100%オンラインの課程と、オンラインとリアル教室のハイブリッドの課程の二つを卒業しています。

その上、コロナ禍の現在は博士課程を、オンライン通学で学んでおります。それらに関してお話できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

 

中村武彦

マサチューセッツ大学アマースト校スポーツマネジメント修士取得、2004年、MLS国際部入社。08年パンパシフィック選手権設立。09年FCバルセロナ国際部ディレクター就任。ISDE法科大学院国際スポーツ法修了。現東京大学社会戦略工学研究室共同研究員。FIFAマッチエージェント。リードオフ・スポーツ・マーケティングGMを経て、15年ブルー・ユナイテッド社創設。

 

関連記事

NYジャピオン 最新号

Vol. 1246

人気沸ピックルボールを楽しもう

あちこちに花も咲き乱れ、4月に入りニューヨークにも春が到来した。本号ではこれからの季節、屋外でも楽しめるピックルボールを紹介する。テニスよりも狭いスペースで出来るピックルボールはここ数年、ニューヨークでも人気だ。

Vol. 1245

春到来! 週末のプチお出かけ 〜ハドソン川流域・キャッツキル山麓編〜

桜の花も満開を迎え春の行楽シーズンがやって来た。ニューヨーク市内から日帰りできるハドソン川流域・キャッツキル山麓の人気のスポットを紹介しよう。

Vol. 1244

オーェックしよ

コロナ禍で飲食店の入れ替わりが激しかったニューヨーク。パン屋においても新店が続々とオープンしている最近、こだわりのサワードウ生地のパンや個性的なクロワッサン、日本スタイルのサンドイッチなどが話題だ。今号では、2022年から今年にかけてオープンした注目のベーカリーを一挙紹介。

Vol. 1243

お引越し

新年度スタートの今頃から初夏にかけては帰国や転勤、子供の独立などさまざまな引越しが街中で繰り広げられる。一方で、米国での引越しには、遅延、破損などトラブルがつきもの、とも言われる。話題の米系業者への独占取材をはじめ、安心して引越しするための「すぐに役立つ」アドバイスや心得をまとめた。