意外に完治ま&#
ダンサーとカイロ治療(Vol.34)
現代に生きる老若男女が健康でいるための生活のポイントを、カイロプラクターのドクターベルモンテが教えてくれる連載。
体の極限に挑むダンサー体づくりとメンテは必須
先月はゴルフのけがと、その予防について、プロアマ両方の角度からお話しましたが、今回はプロのダンサーの体のケアにおける、カイロプラクティックの役割についてお話ししようと思います。
当院には、実に多くのダンサーが来院されます。アルビン・アイリーやマーサ・グラハムなど、著名なダンスカンパニーで活躍されるプロダンサーもたくさんおられます。ダンサーという職業は、他のプロスポーツ同様、またはそれ以上に肉体の極限に挑むものです。バレエダンサーやフィギュアスケーターを見て、「あれは人間じゃない」と思ったことはありませんか?
カイロプラクティックは、激しい練習や舞台で負ったけがの治療から、長年蓄積した肉体疲労、メンテナンスから予防まで、ダンサーの体をトータルでケアすることに適した医療です。当院では、カイロプラクティックの「アクティブ・リリーステクニック」に加えて、州認定マッサージセラピストによるマッサージセラピー、指圧療法などを組み合わせて治療します。
理学療法士によるリハビリも提供していますし、患部のキネシオテーピング方法も指導し、栄養、サプリメントのアドバイスも行います。漢方医もいるので、必要に応じて鍼や漢方薬の処方も可能で、ダンサーの体が必要とするトータルケアを提供し、喜んでいただいています。
ダンサーに多い膝のけが
ダンサーを含め、プロの運動選手というのは、それぞれのスポーツによって同じ動作を何度も繰り返すため、どんどん体に歪みが生じ、左右のバランスが崩れていきます。先月ここで書いたゴルフなど最たるケースですね。ダンサーの場合、ジャンプや捻りを繰り返すために起こる膝のけがが圧倒的に多いです。
その中に、腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)と膝蓋腱炎(しつがいけんえん)があります。以前もこのコラムで書いたかもしれませんが、これは別名「ランナー膝」と言い、膝の外側が痛みます。腸脛靭帯は、骨盤から膝まで続いている太い筋膜のことで、痛みは膝だけにとどまらず、その靭帯が走る骨盤までの部位で起こることがあります。原因は、腰回りの筋肉が弱いことと、膝の曲げ伸ばしの動作を何回も繰り返すこと。この症状があるダンサーには、しばらく運動を控えてもらい、靭帯をストレッチし、臀部の筋肉を強化していきます。
膝蓋腱炎は別名「ジャンパー膝」で、膝の皿下に痛みを感じます。最初はだるい痛みから、徐々に悪化していきます。膝蓋腱は、膝の皿の前とすねをつなぐ腱で、太ももの筋肉と連動し、蹴ったり、走ったり、飛んだりするときに使います。太ももの筋肉が弱く、ハムストリングが硬くなった状態で何度もジャンプすると、膝蓋腱に負担がかかり、痛みにつながるというメカニズムです。治療では、膝周りと太ももの筋肉を柔軟にすると同時に強化し、ハムストリングを柔軟にするマッサージを行い、運動療法も指導します。膝周辺筋肉のバランスをよくすることが重要です。
もう一つ、ダンサーに多いけがに膝蓋大腿(しつがいだいたい)症候群(PFPS: patellofemoral pain syndrome)があります。膝の正面が痛いとか、階段の昇降時や長時間座っている時に徐々に膝の皿辺りが痛み出します。ヒップ周りの筋力が弱かったり、足首の関節が固かったり、足の安定が悪いことなどが原因として考えられます。
ダンサーに限りませんが、膝に痛みを感じたら自己診断して様子見せず、できるだけ早くカイロプラクターやその他の医療専門家で受診してください。レントゲンやMRI(核磁気共鳴画像)検査で、膝の状態を正確に把握することが、治療、回復への早道です。
ジョン・J・ベルモンテ 先生
John J. Belmonte, DC
E. 53 Wellness院長。カイロプラクター(Doctor of Chiropractic)。全米カイロプラクティック協会会員、ゴルフPGAツアー・スポーツ医学チーム所属。アスリートのけがの治療、妊娠中の痛みの緩和、成長期の子供のカイロ治療も手掛ける。
E. 53 Wellness
211 E. 53rd St./TEL: 212-980-4211
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今月の教訓!
「覚えておこうRICE療法」
アメリカで実践される応急処置が「RICE」です。Rest(休息)、I ce(冷却)、Compress(圧迫)、El evate(持ち上げる)の頭文字をとった略語。例えば捻挫などの直後に当てはめると、Restは「休息と患部の保護」、Iceは「けがの後、迅速に患部を氷またはアイスパックで冷やす」、Compressは「伸縮性のあるバンデージや包帯で、患部を圧迫または包む」、Elevateは「患部を持ち上げて腫れを防ぐ」。専門医の受診を待つまでの間、これを実践してほしいです。
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