歴史的名盤レコードを掘る! 今週の1枚

第11回 今週のレコード:Variety(竹内まりや)

今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。


夫・山下達郎があまりの出来に驚いた『プラスティック・ラブ』収録の名アルバム

竹内まりやがデビューした1978年から、1年に1枚という怒涛のようなスパンでアルバムを発表していたが、同アルバムが出る前は3年の間が空いている。某媒体のインタビュー記事で読んだが、当時は休養期間として過ごし、密かに作詞作曲にも励んでいたそうだ。

ある日『プラスティック・ラブ』のデモテープを聞いた夫の山下達郎が、あまりの素晴らしさに腰を抜かしたそうだ。その後も次々と曲をもってきたことで復帰作の第1作となる同アルバムが誕生した。当時12インチの尺の長いディスコシングル盤がリリースされ、高値で取引されている。2021年に待望の再発がリリースされ、入手しやすくなった。

7インチシングルの『Sweetest Music』(シングルのみ)の写真がYouTubeで使用されたことで、ミーム化され世界に広まった。当店でも発売したが、開店前から店の前には行列ができ、発売その日に完売となった1枚である。


フェイスレコード

2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。


間宮祐一

横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。

               

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