今、米国の若い世代の間で1970年代後半から80年代にかけて日本で大流行したシティーポップを中心に熱狂的なファンが増えている。ブルックリン区に店を構え、レアものを揃えるフェイスレコードの間宮さんが選ぶ名曲を通して、その魅力を探ってみたい。


最も売れたレコード1982年のシティーポップ金字塔LP

当店で、枚数、金額ともに最も売れたシティーポップのレコードである。日本人でなくとも1曲目の『スパークル』から最後の『ユアアイズ』まで、止まることなく心を掴まれるようだ。ヤマタツは世界共通である。我々のお客様で、ニューヨークから日本に旅行でいき、地方のコンサートに出向く米国人もいる(都心のチケットはプレミアすぎては入手不可能)。

知る人ぞ知る、大のレコード収集家であるヤマタツ自身の意向でサブスクやユーチューブに楽曲を配信せずに、近年まで頑なに拒否していたことも同作をさらに高額盤に押し上げた理由の一つであろう。満を持して2023年にLPとカセットテープが再発され、ユーチューブにミュージックビデオがアップされた。これは事件である。しかし、それでも再発盤も値段が高騰している。それはオリジナルにない帯を再発に付属し、コレクターの心をさらにくすぐっているからである。


フェイスレコード

2018年にウィリアムズバーグ地区にオープン(営業は木曜日から日曜日の午後1時〜7時)。シティーポップをはじめ、山下達郎、竹内まりや、坂本龍一、YMOなどに代表される日本の音楽を中心に、ヒップホップや日本盤のジャズロックなども豊富に取り扱う。在庫数は8000枚、新入荷は毎週金曜日。レコードの買い取りも受け付け中。1994年に東京で創業し、現在は日本全国に全6店舗展開中。


間宮祐一

横浜市出身。脱サラし、2015年からニューヨーク在住。18年に同店をオープン。自身も筋金入りのレコードコレクター。また、ヒップホップの楽曲制作も行い、2020年に客演に『Freddie Gibbs』(グラミー賞ノミネーター)を迎えたシングルレコードを発表。座右の銘は「NO VINYL NO LIFE」。

               

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