気になるアノ人を直撃

デザインはコミュニケーション 翻訳者として汲みとり、提案するデザイン

気になるアノ人を直撃!

デザインはコミュニケーション

翻訳者として汲みとり、提案するデザイン

グラフィックデザイナーとして日本で商業デザインを手がけてきた経験を生かし、新たにこの街でチャレンジ中の齊藤梨央さん。これまで培ってきた経験を生かす場面もあれば、真っさらな気持ちで仕事に向き合う場面もあるという。今回はそんな齊藤さんを直撃インタビュー。


─具体的にどのようなお仕事を手がけていますか?

分野を限定しているわけではありませんが、実績としては医療系や美容系、教育系が中心です。クライアントの大半が中小企業で、ロゴ作成やチラシなどの販促物のデザインといった横断的なご依頼が多いです。これまで、コラボカフェの内装やディスプレイを手がけたこともありました。フリーランスなので、ヒアリングからデザイン、入稿作業、校正、仕上がりのチェックまで、クライアントのご依頼によって適宜行っているという形です。

NMNサプリメントの販売促進のためのパンフレットデザイン。30代~40代の高感度な女性向けに全面リニューアルを手がけたそうだ

─フリーランスで働く上で大変なことは?

私は、ご依頼があればなんでもやる派ですが(笑)、時には編集作業や校正を行う場合もあります。以前、医療系のデザインを担当した際に、販促物の表記に関する校正のご依頼もあり、薬機法に沿って「薬事校正」というものを提出しなければなりませんでした。必要に応じて私の方で、校正を外部に依頼するケースもあります。フレキシブルさだけでなく、課題解決能力を求められる場合もあるので、そこは大変かもしれません。

─来米のきっかけは?

実は駐在の帯同としてニューヨークに来ております。駐在の話が決まった当時、自分の仕事を方向転換しなければなりませんでしたが、幸いにも現在は、ニューヨークの仕事にもチャレンジすることができています。

─米国で仕事をしてみて新たに発見したことは?

やはり仕事も普段の暮らしにおいても、刺激は多いですね。「グラフィックデザイン」と一言でいっても米国と日本では求められる内容が異なり、今までのキャリアの中で体験しなかったことも多く、勉強になります。例えば、パンフレットを一つ作成するにおいても日本の消費者は、商品の説明やスペックを細かく確認される傾向が強いので、プロモーションをかけるにしても細かい情報まで掲載する必要があります。逆に米国ですと、パッと見た印象や商品のビジュアルをいかに魅力的に見せるかに重きを置いています。時に、細かい説明を入れないでほしいとリクエストをいただく場合もあります。また、紙媒体の販促物が日本に比べると格段に少ないので、それに伴い、日本ではやっていなかったソーシャルメディア(以下SNS)の仕事が増え、今後はその分野においてスキルアップができたらと考えています。

ドクターズコスメティクス美容液のパッケージデザイン

─現在、進行中のお仕事は?

米国に進出を予定している日系企業のクライアントがおり、卸業者や小売店向けの販促物をやらせていただいております。あとは、ニューヨーク市内にあるいくつかの飲食店のSNSデザインを手がけています。アイデアを練るためにも情報収集にアンテナを張り、消費者向けに発信されるものだけでなく、デザインする側が発信するものなど、SNS上のさまざまなデザインをチェックするようにしています。

─今後どのような働き方をしていきたいですか?

米国文化にも触れられる現在の環境を生かし、米市場向けの仕事を幅広く受けてみたいです。ニューヨークに住んでいると、今後は多言語展開の必要性がより高まると感じています。また、仕事をする上で私自身、「自分を表現するアーティスト」というよりも、「翻訳者」のようなデザイナーでありたいなという仕事観をもっています。例えば、クライアントの頭の中でイメージしていることや抽象的なものを、「形」にして見せてあげることは、翻訳の仕事と通じると思います。クライアント自身が気づいていない課題やニーズを汲み取り、解決策としてのグラフィックデザインを提案していけたらと考えています。

「The World’s50 Best Bars」にも選ばれたニューヨーク市内のバーのイベント告知用Instagramストーリーデザイン

外貨両替所のロゴデザイン。日本通貨の“円”を用いてタイムレスでミニマルなデザインを目指し、他店との差別化と認知率向上に繋がった


 

齊藤梨央さん

グラフィックデザイナー。東京にてインハウスデザイナーやデザイン系専門学校の非常勤講師を経験後、渡米。ニューヨークにて子供向けアート講師などを務める。

www.im-creator.com/free/rio_r/portfolio

               

バックナンバー

Vol. 1330

新世代グラフィックノベル

ニューヨークの書店で見かけることも多い、大人向けの長編ビジュアルコミック「グラフィックノベル」。その世界の最前線で活動する作家たちの言葉を通して、グラフィックノベルがいま何を問い、どのように読者と向き合っているのかを見つめていきたい。

Vol. 1328

雑誌『ザ・ニューヨーカー』世界

ニューヨーク発の洗練された洒脱な視点で、調査報道から小説や批評、コミックやイラストまで、多彩な記事を掲載する老舗週刊誌『ザ・ニューヨーカー』。昨年は創刊100周年を迎え、その節目を祝う企画やイベントが相次いで開催された。ニューヨーク公共図書館本館では記念展示が行われ(2月21日まで開催中)、それに連動した名物編集者らによる座談会形式のトークショーが9月に実施。さらに先月には編集部の舞台裏に密着したドキュメンタリー番組がネットフリックスで配信されるなど、同誌は改めて世界中から大きな注目を集めている。本特集ではその歴史と編集哲学に迫りたい。