巻頭特集

NYCプライド2024  テーマはReflect. Empower. Unite.

寛容と愛を探求するLGBTQコミュニティーから生まれるアイデアは、ユニークでパワフル。

独自の活動をする団体を紹介

 

超インクルーシブなLGBTQゴスペルクワイア

ファイアアンサンブル 〜The Fire Ensemble〜

troyanthonymuse.com

theshed.org/program/series/26-the-fire-ensemble

ミュージシャンのトロイ・アンソニーさんが2021年に創設。ハドソンヤードの多目的ホール「ザ・シェッド」を中心に活動し、同ホール協賛のワークショップを年2回実施。週1回計10週間のリハーサル後にコンサートを開催している。

ゴスペルといえば、黒人教会で情熱的に歌われるイメージだが、同ワークショップは人種、宗教はもちろんのこと、ゲイであろうがストレートであろうが、「ゴスペルを歌ってみたい人なら誰でもウェルカム!」と超オープン。そのせいか、リハーサルにはさまざまな人種の老若男女が集い、スタジオ内はハッピーさでキラキラしたエネルギーが満ちあふれている。

「誰もが自分を受け入れてもらえる、愛をもらえる場所が必要。そんなコミュニティーを見つけたらずっとその一員でいたいと思うでしょ。このクワイアがそんな存在なの」と話すのは参加者のヨランダ・ブラウンさん。トロイさんもこう続ける。「リハーサルではメンバーからずっと多くの気づきをもらえるんだ。疲れていたり落ち込んでいるときでも、元気や刺激をもらえる。みんながお互いの声を尊重しながら一つの曲を創造する素晴らしさに僕自身が感動しているんだ」

歌うことを通じて生まれる相互理解とインクルーシビティー。これこそ真の意味でのゴスペルではないだろうか。

次のワークショップは今秋に開催予定。今月13日(木)にはコンサートもある。興味がある人はぜひ。

 

週1回、平日の夜にリハーサルを兼ねたワークショップを行っている

昨年のコンサートの様子


LGBTQユースに大人気

スカラティーンズ@ソクラテス彫刻公園 〜Socrates Sculpture Park〜

32-01 Vernon Blvd., Long Island City, NY 11106

socratessculpturepark.org

アートファンの間では国際的な野外ミュージアムとして評価が高いソクラテス彫刻公園。この公園を特別なものにしているのは、野心的で才能あるアーティストの発掘に熱心なこと。サッカーグラウンド一つ分相当の敷地内ではこれまでに1200人以上の作品を紹介。LGBTQアーティストも積極的に採用し、2020年に展示されたジョージ・ギブソンによるクイアキャンプへのオマージュ作品『Because You Enter My House It become Our House(あなたが私の家の扉をくぐったのなら、この家は私たちの家になる)』は大きな話題に。

インクルーシブな環境でメンターシップを与えられ、自らの表現力を伸ばすことができるとしてLGBTQユースの間で大人気の無料プログラム「スカラティーンズ(SCRATEENS)」も見逃せない。これは、絵画、彫刻、写真、プロジェクションザインに興味を持つ市内の高校生を対象にした1年間の実験的アートプログラムで、週1回集まりアート制作に励むというもの。 奨学金として毎月100ドルが支給される。「LGBTQのユースはいつも斬新なアイデアを見せてくれる。僕たちは彼らがのびのびと個性が伸ばせるような環境作りに最大限の努力をしているよ」とプログラムディレクターのリチャード・モラレスさん。公園名は古代ギリシャの大哲学家に因んで命名。ソクラテスもゲイだった。

ジョージ・ギブソンによるピラミッド型の巨大オブジェ

熱心に制作に打ち込むティーンたち


ジャクソンハイツにもオープン

アピチャ・コミュニティー・ヘルス・センター 〜APICHA〜

apicha.org

Queens82-11 37th Ave., Jackson Heights, NY 11372

Manhattan400 Broadway

アジア・太平洋諸島出身者を対象に性感染症およびHIV関連の予防啓蒙と相談、検査、受診を無料で提供するクリニック。1982年に創立された世界初のHIV患者サポート団体ゲイ・メンズ・ヘルス・クライシス(GMHC)からこぼれ落ちがちだったアジア人LGBTQコミュニティーに向けて1989年チャイナタウンで設立された。

移動式ブースを使った無料検査などのアウトリーチを積極的に行ってきたが、性の多様化やニーズに対応して守備範囲を拡張。メンタルヘルスやトランスジェンダー関連の医療ケア、アルコールや麻薬依存症患者へのカウンセリング、保険加入のヘルプなど幅広いサポートを行っている。2022年にジャクソンハイツ地区にクイーンズ区初の、昨年二つ目のクリニックをオープンし、言葉や移民ステータス、支払い能力に関係なく、サービスを提供している。

「ジャクソンハイツ地区は『人種のるつぼ』と呼ばれるニューヨークをそのままミニチュアにしたようなダイバーシティーあふれるエリア。二つ目のオフィスを開設できたということは、私たちのサービスが患者のみなさんから信頼されている証(あかし)だと思う」と胸を張るのは同クリニックのディレクター、ユーチェン・タングさん。

ニューヨーク州保健局の報告によれば、2000年以降HIV感染者数は60%の減少。その一方で最近は淋病や梅毒などの感染者数が急増しているとして注意を促している。

22年、23年にはクイーンズ区主催のパレードにも参加した

               

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